デザイン思考|バリエーションの考え方
デザイナーは制作の際、”バリエーション”を求められることが度々あります。
しかし、それは容易なことではありません。
デザイナーにとってバリエーションを出すことは、単に異なるデザイン案を作成することではなく、
“異なるアイデアを複数生み出すこと”です。
見た目だけでなく、訴求やコンセプトの部分から考え方を変える必要があります。
実際、私はバリエーションを出すことにいまだ奮闘することもしばしば…自分では違いを出しているつもりでも、他の人に見てもらうと違いがあまりわからなかったり…ということも少なくありません。
さまざまな視点になって異なるアイデアを提示する必要があるため、頭の切り替えが大事な工程です。
バリエーション考えることは、自身の創造性を刺激したり、より広い視野を持って問題解決にアプローチできるようになるなど、デザイナーとしての成長にも強く結びついています。
また、クライアントのニーズやプロジェクトの目的に対して、最適なデザインを選ぶための選択肢を広げることができます。
それでは、限られた時間のなかで魅力的なのバリエーションを出すコツにはどんなものがあるのか?この記事を通じて一緒に考えてみましょう。
1.アイデアのバリエーションを生み出すコツ
2.常識や既成概念にとらわれずに自由な発想で考えてみる
3.今回のまとめ
1.アイデアのバリエーションを生み出すコツ
デザイナーになりたての頃、バリエーションってどうやって出すんだ…?と考えに行き詰まり、
とにかく手を動かすことでアイデアをひねり出そうとしていた時期がありました。
自分にとってはバリエーションのつもりで出しても、どうにも同じようなテイストになってしまう。
そんなとき、当時の会社の先輩から「このバリエーションの出し方だと、たとえばパスタを食べに来たとして、メニューを開いたらトマトベースのパスタしかない、みたいな状況だよ。もっと色んな味から選びたい。和風やクリーム系、魚介系など違う味があるとどれにするか悩んだり、考えることができるよね」というお話をしていただいたことがありました。
バリエーションとは「味」のようなもの。そう考えることで思考が柔らかくなっていったことを覚えています。
難しく考えすぎず、「印象が違う」と感じさせることを意識するといいのかもしれませんね。
下記に今日から実践できるバリエーションを生み出すコツをまとめました。みなさんぜひ試してみてください。私もさっそく取り入れていきたいと思います。
1.アイデアをだれかに聞いてもらう
デザインの初期段階で他者の意見を聞くことは、見落としていた視点を理解するのに役立ちます。特に異なる専門分野の人からのフィードバックは、新しいアイデアを促進します。
2.スケッチブックを活用する
アイデアを素早く形にするためには、スケッチブックを使って直感的に思いついたことをすぐに書き留めることが重要です。これにより、アイデアのバリエーションを迅速に拡大できます。
3.チームでアイデアを考える
チームで考えることで、異なる視点からのアイデアを得ることができます。この方法では、思いがけないバリエーションや新しいアプローチを発見する手助けになります。
4.既存のデザインを再解釈する
既存のデザインやアート作品からインスピレーションを得て、それを元に新しいバリエーションを考えることも有効です。これにより、既知の概念に新たな角度を加えることができます。
5.テーマのローテーションを試す
特定のテーマやコンセプトに基づいてデザインのバリエーションを展開することで、一貫性のある多様なデザインを生み出すことができます。例えば、自然、都市、抽象など、テーマを変えてみることで新たなアイデアが浮かびます。
6.制約を設定する
制約は創造性を刺激します。たとえば、色彩を2色に限定する、特定の形だけを使用する、などの制約を設けることで、創造性が促され、多様なアイデアが生まれやすくなります。
2.常識や既成概念にとらわれずに自由な発想で考えてみる
過去の経験やすでに世の中にあるものなど、セオリーに沿ってアイデアを考えようとすると、どこか見たことあるような似たデザインになってしまったり、バリエーション作成の際に行き詰まってしまいます。
自分が良いと思ったことはそのまま取り入れてみる。また、「このフォント前に誰かがダサいから使わないほうが良いって言ってたんだよなあ」とか「前このデザインを試してあまり反応が良くなかったなあ」など、
だれかの反応を基に規制をかけている選択肢や、「こんなデザイン見たことも作ったこともないから挑戦するのが不安だ」と感じることがあれば”本当にそうなのか?”まずは試してみてください。
処理を変えたら格好良く決まった!意外と〇〇と〇〇の組み合わせが合うことに気づけた!など新たな選択肢が開ける発見があるかもしれません。
業務の中でチャレンジするにはまだ勇気が出ない…という方は、まずは自主制作などで挑戦してみるといいでしょう。自分にブレーキが掛かっていると感じることにはとにかく挑戦してみる、いつもしないことをやってみる、これは意外と発想力を鍛える近道かもしれません。
下記に実践的なアプローチ方法をまとめているので、ぜひ試してみてください。
1.身の回りのものを使う
デザインの着想を得るために日常生活で目にするランダムなものや言葉を選び、それらをデザインの触発として活用することで、モチーフの意外な共通点に気づけたり、コンセプトを強める表現が見つかることがあります。
2. 他の分野からヒントを得る
他の産業や分野で見られるスタイルや技法をグラフィックデザインに取り入れることで、異質で新鮮なビジュアルが生まれます。
3. 逆転の発想を試す
一般的にはあまり使われない色やフォントを主要なデザイン要素として採用することで、注目を集めるビジュアルの作成が可能になります。
4.異なる要素の融合
異なる背景や分野の要素を組み合わせることで、予期していなかった解決策やアイデアが浮かび上がったり、既存の枠を超えた新しいアイデアやコンセプトが生まれることがあります。これにより、デザインが独自性や革新性を持ち、他とは一線を画すデザインが目指せます。
5.文化的な融合を試す
異なる文化的背景から要素を取り入れ、それを融合させることで、国際的かつ多様なデザインバリエーションを作り出すことができます。
6.複合的なアプローチ
二つ以上の完全に異なる概念やアイテムを組み合わせてデザインを考える方法です。このアプローチにより、一見関連しないように見える要素から創造的な組み合わせや意外性のあるアイデアを引き出すことができます。
3. まとめ
今回はバリエーションに富んだデザインの考え方についていくつかご紹介させていただきました。
すでに実践している方もいらっしゃるかもしれませんね。
バリエーションを考える力がつくと、対応できるデザインの幅が大きく広がります。
これにより、クライアントの求める多様なニーズにも応えられるようになり、プロジェクトの成功率を向上させます。
弊社では、さまざまな業種のお客様から制作をご依頼いただくため、常に最適なデザインをご提案できるよう、日頃からあらゆる業種のデザインをインプットするよう心がけています。
オールマイティになろうと思うと少々ハードルが高いですが、自身の得意分野を見つけて、少しずつ対応できる幅を広げて、クライアントの課題解決に役立てるよう力をつけていきたいです。
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バリエーションを出すための考え方にも通ずる部分があると思うので、ぜひ覗いてみてください。