デザイン思考|客観的な視点を身につける7つの方法
デザイナーである私たちは、本質的な課題解決を目標に、日々クライアントやユーザーの視点を意識しています。しかし、人は多くの時間を“主観”で過ごします。それが故に、仕事や私生活で誰かの立場になって考えようとするとき、客観的に考えたつもりがいつのまにか自分の感情や先入観に引きずられいた‥なんてことも少なくありません。物事を客観的に見ることは、クライアントやその先のお客様の目線や感覚への理解を深め、より良い提案、効果的な問題解決、そしてコミュニケーションの改善につながります。では、どうすれば客観的な視点を身につけることができるのか。この記事では、そのための実践的な方法をいくつか紹介します。
1.客観的視点を持つことが難しい原因
2.客観的な視点を身につける方法
3.今回のまとめ
1. 客観的視点を持つことが難しい原因
デザイナーはクライアントから得た情報をまず第一に考えます。しかし、時にはその情報が最新ではなかったり、目的からずれていることも少なくありません。根本的な課題を解決するためには、さまざまな角度からものを見る目と考える頭を養う必要があります。しかし、客観的視点を持つことは簡単ではありません。まずは原因を理解することで、自分の思考や行動パターンを変えるための第一歩を踏み出してみましょう。以下に、客観性を欠く主な原因を挙げました。大きく分けると、自身のこと・周囲の人によるもの・環境によるものの3種類の原因があります。この中にあてはまる項目がないか、じっくり考えてみてください。
1. 確証バイアス
確証バイアスとは、自分の既存の信念や意見を支持する情報だけを受け入れ、それに反する情報を無視する傾向のことです。人は自分の考えが正しいと感じたいため、反対の証拠があってもそれを見過ごしやすくなります。これにより、客観的な視点を持つことが困難になります。
2. 感情の影響
感情は私たちの判断や意思決定に大きな影響を与えます。特に強い感情は、客観的な事実よりも個人的な感情に基づいた決断を下す原因となることがあります。例えば、怒りや恐怖、愛情などの感情が強い時、私たちは冷静な判断を下しにくくなります。
3. 社会的影響
人間は社会的動物であるため、周囲の人々の意見や行動に影響を受けやすいです。特に、グループ内での共通の意見や圧力によって、個人が自身の見解を変え、客観性を失うことがあります。これは「集団思考」とも呼ばれ、客観的な評価を妨げる要因となります。
4. 過去の経験
個人の過去の経験も、客観的な視点を持つ上での障害となることがあります。過去の成功や失敗の経験は、現在の状況を評価する際のフィルターとなり得ます。これにより、新しい情報や異なる視点を適切に評価する能力が低下する可能性があります。
5. 情報の過剰
現代社会では情報の過剰に直面しています。情報があまりにも多いと、重要な情報を見分けることが難しくなり、結果として偏った情報に基づいて判断を下してしまうことがあります。情報を選択し、整理する能力が低いと、客観性を欠いた見解を持つリスクが高まります。
6. 自己中心的思考
自己中心的思考とは、自分の視点や経験を中心に物事を考える傾向です。これにより、他者の視点や感情を考慮することなく、自己の視点のみを正当化することになります。他者の立場や感情を理解することができないため、客観的な視点を持つことが難しくなります。
2. 客観的な視点を身につける方法
デザインの世界では、客観的な視点を身につけることがとても重要です。デザインは、単に美しいものを作り出す芸術的な行為以上のものであり、それは使いやすさ、機能性、そして最終的にはユーザーの経験を形作るプロセスでもあります。デザイナーが自分自身の好みや先入観に囚われてしまうと、制作物は自己表現の手段に過ぎなくなり、対象とするユーザーたちのニーズや期待を満たすことができなくなってしまいます。しかし、客観的な視点を持つことで、自分の制作物をユーザーの立場から評価することができます。これにより、デザインが直面する問題点や改善の余地が明らかになり、より機能的でユーザー思いな製品を作り出すことが可能になります。クライアント視点やユーザー視点を身につけるために、以下の方法をぜひ取り入れていきたいです。
1. 自己反省の習慣をつける
自己反省は、自分の思考や感情、行動を振り返ることです。毎日の出来事を客観的に分析することで、自分の行動のパターンや感情の起源を理解することができます。例えば、日記をつけることで、自分の行動や感情にどのような事が影響しているかを追跡することができます。
2. 感情を認識し、管理する
感情は私たちの判断を大きく左右します。感情を認識し、それが自分の思考や行動にどのように影響しているかを理解することが重要です。怒りや悲しみなどの感情が高まった時には、一旦深呼吸をして、冷静になる時間を持つようにしましょう。
3. 多様な視点を受け入れる
自分とは異なるバックグラウンドを持つ人々と交流することで、多様な視点を知ることができます。他者の意見や経験を聞くことで、自分の考えが偏っているかもしれないと気づくことがあります。異なる意見を受け入れることで、よりバランスの取れた視点を持つことができます。
4. 情報の源を広げる
情報は私たちの考えや判断に大きな影響を与えます。そのため、一つの情報源に依存するのではなく、多様な情報源から情報を得ることが重要です。異なる視点からの情報を得ることで、より広い視野を持つことができます。
5. 批判的思考を養う
情報を受け入れる際には、その情報の信憑性や背景を常に問うことが重要です。批判的思考を養うことで、情報を盲信することなく、より深く理解することができます。また、自分の考えや意見に対しても同様に批判的に考えることが大切です。
6. フィードバックを受け入れる
他人からのフィードバックは、自分の盲点を知る貴重な機会です。ポジティブなフィードバックもネガティブなフィードバックも、成長のための手がかりとして受け入れましょう。フィードバックを客観的に分析することで、自己改善の方向性を見出すことができます。
7. 一歩下がって状況を見る
問題に直面した時、感情的になりがちですが、一歩下がって全体の状況を見ることが大切です。全体像を把握することで、問題の本質をより明確に理解することができます。また、解決策を考える際にも、より多角的な視点からアプローチすることが可能になります。
3. 今回のまとめ
客観的な視点を身につけることは、、デザイナーとしてのスキルを磨くだけでなく、自己成長のためにも不可欠です。自分自身、そして周囲の状況を冷静に、そして公平に分析する能力を持つことで、より賢明で洞察に富んだ判断を下すことができるようになります。上記の方法を実践することで、日々直面する課題に対しても効果的な解決策を見出すことができるようになるでしょう。現在、「クライアントの思いを上手く汲み取れない」「クライアントの魅力を引き出せるアイデアがなかなか思い浮かばない」といった悩みをお持ちの方は、上記の方法の中から取り組めそうなものを日々の中で実践してみてください。視野を広く、人の立場になってデザインを考えられるよう、「客観的な視点」を大切にしていきましょう。
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