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デザインをより魅力的に|テクスチャの用い方

デザインは、私たちの周りの世界を形作り、コピーやイラスト、写真、色彩、形状などを通じてメッセージを伝えます。しかし、視覚的な要素を論じる際、しばしば見落とされがちな重要な要素があります。それが「テクスチャ」です。テクスチャには、視覚的な豊かさ、質感、奥行きをデザインに与える力を持っています。木の温もり、石の硬さ、布の柔らかさ、金属の冷たさなど、テクスチャはテーマやコンセプトを視覚的に、そして瞬時に伝えることができます。

今回のコラムでは、テクスチャがデザインに果たす重要な役割に焦点を当て、その種類や選び方、適切な利用方法について詳しく探究していきます。

1. テクスチャとは?
2.視覚的な奥行きと質感の演出
3.テクスチャの選択と適用

 

 

1.テクスチャとは?

テクスチャとは、「物体の表面の質感や、模様を表現するための視覚的な要素」です。例えば、木の質感、石の表面、布の織り目、金属の光沢など。デザインにおいて、これらのテクスチャを取り入れることは、制作物に深みやリアルな印象を与え、よりリッチな視覚体験を提供します。
テクスチャは、デザインにおいて3つの重要な役割を果たします。

視覚的な興味を引く

テクスチャは、デザインにおいて一目で興味を引き込むための重要な要素です。平坦な表現よりもテクスチャを用いたビジュアルは、視覚的な豊かさを提供し、デザインをより魅力的に見せます。

特徴を強調する

テクスチャは、「伝えたいもの」の特徴を強調するのに役立ちます。例えば、木材のテクスチャは木材の質感を伝え、石のテクスチャは石の硬さや固さを表現します。これによって、よりリアルな印象を与え、伝えたいテーマやコンセプトがさらに引き立つようになります。

メッセージの伝達

テクスチャは、デザイン上で感情やメッセージを伝える手段として機能します。例えば、リネンや和紙など柔らかい印象のテクスチャは温かさや快適さを、コンクリートや鉄板など粗い印象のテクスチャは固さや堅実さを表現するのに役立ちます。

 

テクスチャの種類

テクスチャはデザインにおいて多様な形で表現され、その種類もさまざまです。デザイナーがテクスチャを選ぶ際には、その特性と用途を理解することが重要とされています。以下で、テクスチャの種類の一例とそれぞれの特徴について見ていきましょう。

ナチュラルテクスチャ

ナチュラルテクスチャは自然界の要素からインスパイアされたもので、木材、石、草、水など、自然の素材から取られたテクスチャが含まれます。これらのテクスチャは温かみや親しみを感じさせ、自然環境に関連するプロジェクトやブランドに適しています。例えば、アウトドアブランドのロゴや、自然由来の原料から製造されている製品のブランドビジュアルなどに用いられることがあります。

インダストリアルテクスチャ

インダストリアルテクスチャは、鋼鉄、コンクリート、ガラスなど、工業的な素材からインスパイアされたものです。これらのテクスチャはモダンでクールな外観を持ち、建築関連業やテクノロジー関連のブランドで一般的に使用されます。

シンプルテクスチャ

ストライプ、ドット、チェック、リーフ柄など、シンプルでパターン化されたテクスチャは、ファッション、インテリアデザイン、ウェブデザインなどの幅広い分野で使用されています。

グランジテクスチャ

グランジテクスチャは、古びた、摩耗した、傷ついたような外観を持つテクスチャです。これらはデザインにおいて不完全さや個性を強調するために使われ、ロックバンドのアルバムカバーやアーティスティックなポスターなど、クリエイティブなビジュアルに適しています。グランジテクスチャはテキスタイルや壁紙としても人気があります。

これらのテクスチャは、デザインの目的やコンセプトに合わせて選択し組み合わせることで、魅力的で個性的なデザインを生み出すのに役立ちます。

 

 

2.視覚的な奥行きと質感の演出

テクスチャは、デザインにおいて視覚的な奥行きと質感を効果的に演出するのに有用な素材です。このセクションでは、テクスチャがどのように視覚的効果を生み出し、質感を表現するのに役立つかについて触れていきます。

テクスチャと視覚的奥行き

立体感の演出

テクスチャを適切に配置することで、平面的なデザインに立体感を与えることができます。例えば、空のテクスチャをデザインの背景に使用することで、前面にあるオブジェクトが手前に浮き出ているような視覚的効果を与えられます。

距離感の表現

テクスチャは、対象物が遠くにあるか近くにあるかを視覚的に示すのに役立ちます。例えば、遠景の山々を描く際に、遠くの山々の前面に霧のテクスチャを合成すると、遠近感があるような印象を付加することが出来、奥行きを演出できます。

 

テクスチャと質感の演出

物質の特性の表現

テクスチャは、異なる物質の特性を表現するのに役立ちます。葉のテクスチャはフレッシュさやオーガニックな印象を与え、金属のテクスチャは冷たさや硬さを示すことができます。これにより、デザインの持つテーマやコンセプトを瞬時に理解しやすくなります。

触感イメージの付与

テクスチャは視覚的なだけでなく、「実際に触ってみたらこんな触感だろうな」というイメージを見る人に連想させることが出来ます。特に紙もののプロダクトや商品パッケージなどの場合、(印刷媒体が紙であることを理解しているのにも関わらず)別の物質で出来ているかのような印象を与え、購買意欲を刺激します。

 

 

3.テクスチャの選択と適用

テクスチャの選び方のポイント

メッセージと一致させる

デザインは伝えたいメッセージと調和する必要があります。ブランドの価値観やスタイルに合ったテクスチャを選びましょう。例えば、アウトドアブランドの場合、自然のものを用いたナチュラルなテクスチャが適しています。

他の要素の邪魔をしないものにする

テクスチャは使用する他の要素に合わせて選ばなければなりません。配置されるフォントや写真の雰囲気とマッチしたものを使用します。また、テクスチャを用いることで読みやすさを損なわないように注意が必要です。

複数のテクスチャを組み合わせる

1つのテクスチャだけでなく、複数のテクスチャを組み合わせることで、より豊かなデザインを実現できます。異なるテクスチャをレイヤー化して組み合わせることで、深みや奥行きを演出することができます。ただし、やり過ぎは禁物です。全体のバランスを見ながら調整していきましょう。

テクスチャの適切な適用方法

適したサイズ感で使用する

テクスチャを使用する際には、スケーリング(拡大縮小)を検討しましょう。例えば、木目のテクスチャを用いたときに木目が主張しすぎると、ごちゃごちゃとして情報が読みづらい印象になってしまいます。また、過度に小さなテクスチャは視覚的な効果を損なうことがあります。スケーリングしてみて丁度良いサイズ感で使用しましょう。

カラーとの調和を見る

デザイン全体を俯瞰してみて、色味の調和が損なわれていないかを確認しましょう。カラースキームとテクスチャを適切に組み合わせれば魅力的な視覚効果を生み出すことができます。

 

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テクスチャはデザイン制作において大切な要素であり、クリエイティブで効果的なビジュアルを実現するために重要な役割を果たします。様々なテクスチャ素材の力を利用してデザインの魅力を高めれば、人々に強烈な印象を与えることができるでしょう。

 

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