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エディトリアルデザインで知っておきたい基礎知識 -4-

あなたは普段「長文」を読んでいますか? 雑誌に新聞、書籍など、身近で見慣れている人が多い「長文」。実は「組版」という多くの知識と技術が必要なデザインが施されています。先回(https://s-modern.com/column/4637/)に続き、エディトリアルデザイナーを目指す方、デザインを勉強中の学生の方、仕事でイラストレーターを使用する方にぜひ覚えてほしい基礎知識をまとめました。

1.組版とは
2.基礎知識(11) Illustratorでの組版【きれいに見える段落設定】
3.基礎知識(12) Illustratorでの組版【読みやすい行間と字間】

組版とは

簡単に言うと、誌面上に定められた四角形の領域に原稿を配置することです。四角形内で文字を組むことから「箱組」とも呼ばれ、雑誌、新聞、書籍で見られる配置方法です。イラストレーターやインデザインで印刷データを箱組を行う際は、初期設定のままでは文字がバラついて読みにくいため、字間、行間、句読点の処理などを設定する必要があります。本記事では、組版におけるIllustratorの機能とおすすめの設定をご紹介します。媒体によって組版や表記のルールが定められていますので、その場合はルールに準じて制作してください。

基礎知識(10) Illustratorでの組版【英数字は半角に】

横書きにおいては、基本的に英数字は半角で入力することをおすすめします。全角の英数字は日本語の文字のように矩形を1文字として作られているため、どうしても余白ができてしまい、文字がバラついて見て読みにくくなってしまいます。半角に直すことで単語ごとのまとまりとして認識しやすく、可読性が向上します。電話番号や住所の番地も半角にしましょう。

基礎知識(11) Illustratorでの組版【きれいに見える段落設定】

Illustratorの初期設定のままの箱組だと文字がバラついて少し読みにくいので、段落パネルで整える設定を行います。初期設定から変更するのは基本は下図の2箇所でOKです。

①均等配置(左揃え)
箱組の場合、単なる「左揃え」ですと箱内の右側に不揃いな余白がでてきます。箱内の左右いっぱいに文字を配置するために「均等配置(左揃え)」にします。

②文字組み:なし
初期設定「行末約物半角」の「約物」とは、句読点や記号のこと。これが設定されていると、英数字の前後にある日本語との間にわずかなアキが出てしまうため「なし」にしてアキをなくします。

【禁則処理】
初期設定では「強い禁則」が設定されていますが、これが「なし」になっていると句読点や括弧類、音引きなどの位置が行頭に来てしまうなど、読みづらい文面になってしまいます。うっかり忘れないよう必ず設定してください。禁則処理のプルダウンから細かく設定できるので活用してみてください。

基礎知識(12) Illustratorでの組版【読みやすい行間と字間】

行間と字間は、間隔が広すぎても狭すぎても読みにくくなってしまいます。読みやすさを第一に、適切な間隔を設定しましょう。

【行間】
行間は、文字サイズの1.5倍〜2倍の数字を行送りで設定すると読みやすくなります。下図のように、広すぎると視線の動きが途切れてしまい、逆に狭すぎると1行1行を捉えにくくなります。フォントによって印象が変わるので、そのフォントにあった行間であることも意識しましょう。

【字間】
行間と同様、字間も広すぎ・狭すぎに注意が必要です。Illustratorのカーニング設定を活用すると、きれいな字間が自動でできます。「メトリクス」と「オプティカル」なら字間のぱらつきがなくなり、句読点や鉤括弧の余白も文字にフィットするように詰められるためおすすめです。が、箱組においては「オプティカル」は向かないためご注意を。

まとめ

デザインの世界では単に文字を打ち込むのではなく、こうした細かな配慮によって読みやすい文面になることがよく分かります。デザイン制作の際は画面上の見た目だけでなく、実寸でプリントアウトし、実際に読むことで客観的に読みやすいかを確かめることが大切です。美しい組版でレベルの高いエディトリアルデザインを目指していきましょう。

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