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エディトリアルデザインで知っておきたい基礎知識 -1-

デザインを依頼・校正する際、どこに注意していますか? 紙面デザインの基本を心得ていますか? 紙面サイズやページ構成、折り方を何となくで決めていませんか? 現役デザイナーが今さら聞けないエディトリアルデザインの基礎知識をご紹介します。

 

エディトリアルデザインとは

冊子やパンフレット、雑誌や書籍のページデザインを称して「エディトリアルデザイン」と呼びます。エディトリアルとは「編集の」を意味し、グラフィックデザインの中でも編集を伴うページものの誌面デザインを指します。ウェブとは違い、エディトリアルデザインは紙面サイズやページ数が決まっているため制約が多く、その中でページを最後まで読んでもらうことを考え、より魅力的に引き立てるのがエディトリアルデザイナーの腕の見せどころです。原稿をよく理解し、写真やイラストを効果的に見せることを意識し、IllustratorやInDesignでレイアウトデザインします。印刷入稿や製本の知識も必要で、画像処理や図の作成もエディトリアルデザイナーの仕事です。発注側もエディトリアルデザインの知識を身につけることでデザイナーへ指示しやすくなり、デザイナーの力を十二分に発揮できることでしょう。本記事では、販促で主に使用される冊子とパンフレットのエディトリアルデザインについて解説します。

基礎知識① サイズ

まずは仕上がりの形状についてです。印刷会社によって対応サイズが異なりますが、冊子・パンフレットはA6〜A3で制作可能です。全体の情報量や使用シーンを想定して適切なサイズを選定しましょう。サイズ別に用途を説明します。

A4(210×297mm)/B5(182×257mm)
特にA4は最も流通しているサイズです。クリアファイルに収まる大きさで、文章量も写真もある程度大きく、または多く載せられるので、ビジネスシーンでも使いやすく人気があります。需要が多い分、印刷費が抑えられる傾向にあります。

【A4・B5サイズの主な媒体】
・商品パンフレット
・会社案内
・カタログ
・雑誌
・広報誌
・フリーペーパー


 

A5(148×210mm)/B6(128×182mm)/A6(105×148mm)
1ページに掲載できる情報量が少ない反面、手元で読みやすく手軽さがあり、人気のサイズです。場所を取らず、またハンドバッグにも入るサイズなので、店頭に置かれる商品案内やフリーペーパーに採用されることが多いようです。

【A5・B6・A6サイズの主な媒体】
・商品パンフレット
・フリーペーパー


 

B4(257×364mm)/A3(297×420mm)
このサイズの冊子やパンフレットはあまり見られませんが、新聞紙(406mm×546mm)よりも一回り小さいサイズなので、新聞風のフリーペーパーなど奇をてらいたい時に検討したいサイズのひとつです。写真が大きく載せられるので写真集などの資料として残したい場合にも向いています。

【B4・A3サイズの主な媒体】
・ポートフォリオ(作品集)
・新聞風のフリーペーパー

[メモ]サイズ一覧
A6…105×148mm  B6…128×182mm
A5…148×210mm  B5…182×257mm
A4…210×297mm  B4…257×364mm
A3…297×420mm

 

 

基礎知識② 折り方・綴じ方

こちらも印刷会社や紙種・紙厚によりますが、折り加工は4〜12ページ、綴じ加工は6〜300ページで対応可能です。代表的な折り方・綴じ方をご紹介します。*呼称は印刷会社によって異なります。

パンフレットの折り方は、読む順序(開く順序)の構成から選択したり、折り方の特徴を生かしたデザインも可能です。冊子の綴じ方は、中綴じなら低コストでワイドに開けることが特徴で、4ページ単位で構成します。無線綴じなら中綴じよりも多くのページ数で制作でき、2ページ単位での構成が可能です。中綴じに比べ金額が高くなりますが、ホッチキスを使用しないため安全性を考慮したい場合におすすめです。中綴じのように見開きが完全に広げられないので、デザイン要素をノドの部分に配置しないよう注意しましょう。

 

基礎知識③ エディトリアルデザイン 各部の名称

誌面を構成する各部の名称を知っておくとデザイナーへの指示もしやすくなります。ノド・小口・天・地は余白を確保すると読みやすくなるほか、印刷時の断裁工程や製本工程で文字・図版が見切れてしまうというトラブルが防げます。

 

基礎知識④ エディトリアルデザインの読まれ方

一般的な広告物にも言えることですが、大きく分けると興味→導入→詳細の順で読まれます。したがって、言葉も写真も興味を引きつけるもの・象徴するものは大きく見せ、詳細は小さし強弱をつけるので、要素の大きさも大→中→小になります。

発注する方はデザイン作業をしませんが、知識を身につけておくとデザインの方向性を明確にでき、デザイナーと共通言語でコミュニケーションできるため意思疎通も図りやすくなります。クオリティーの高いエディトリアルデザインを見つけたら、それを参考にして制作してもいいでしょう。

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