事業者もデザイナーも気をつけたい|景品表示法について
この世に存在する無数の広告には、商品やサービスの質や安さを売りにしているもの・効能の良さ・立地の良さなど 謳い文句がつきものです。売りたいものを消費者に訴求するのが広告の役割ですが、消費者にはその良さをしっかりと伝えたいですよね。 そんなときに、つい見栄を張った表記してしまったり、表示についての知識がなくてクレームを引き起こしてしまうなどのトラブルを招いてしまうケースが考えられます。 日本には「景品表示法」という法律があり、不当な表示をしてはならないという決まりがあります。 今回は「景品表示法」についてと「景品表示法」の処罰対象となる事例をいくつか簡潔に紹介しますので、広告制作の際にお役立ていただけると幸いです。
1.景品表示法とは?
2.事例1:「食品偽装」
3.事例2:「誇大広告」
4.事例3:「おとり広告」
5.まとめ
1.景品表示法とは?
景品表示法は、正式には、不当景品類及び不当表示防止法(昭和37年法律第134号)といいます。 消費者なら、誰もがより良い商品やサービスを求めます。ところが、実際より良く見せかける表示が行われたり、 過大な景品付き販売が行われると、それらにつられて消費者が実際には質の良くない商品やサービスを買ってしまい不利益を被るおそれがあります。 景品表示法は、商品やサービスの品質、内容、価格等を偽って表示を行うことを厳しく規制するとともに、 過大な景品類の提供を防ぐために景品類の最高額を制限することなどにより、 消費者のみなさんがより良い商品やサービスを自主的かつ合理的に選べる環境を守ります。
(消費者庁サイトより引用:https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/fair_labeling/)
2.事例1:「食品偽装」
景品表示法と聞いてまず「食品偽装」問題を思い浮かべた方も多いのではないでしょうか?1930年代ごろから昨今に至るまで 度々ニュースに取り上げられているので耳にしたことがあるかと思います。 主な「食品偽装」には「産地の偽装」「原材料の偽装」「消費期限・賞味期限の偽装」などが挙げられます。 当たり前ですが、消費者に正しい産地・原材料・期限を伝えることはとても重要で、もし問題が起こった際には消費者だけでなく、社会からの 信頼も失ってしまうでしょう。特に誤った原材料・期限を伝えることはアレルギーへの懸念や食中毒を引き起こす原因になりかねません。
3.事例2:「誇大広告」
虚偽の情報や本来より誇張して表現した広告を「誇大広告」と言います。 「飲食店のメニューの写真と実際に出てきた写真が全く別物!」とSNSで軽く騒ぎになったりすることがあります。そこまでで収まればいいのですが、 偏った虚偽・誇張を打ち出すとこれもまた大きな問題へと発展していきます。誇大広告の分かりやすい例として「有利誤認表示」と「優良誤認表示」の2つを紹介します。 まず「有利誤認表示」とは、「お得に見えたが、実際はそうでなかった」というものが当てはまります。「これだけの料金を払えば全てのサービスが受けられる」と 明記してあるのにも関わらず後から追加料金がかかったり、「他社の2倍の量!」と明記しておきながら内容量が他社と同量程度だった場合などが当てはまります。 また、曖昧でまぎらわしい・分かりにくい表記も避けた方がよいでしょう。例えば商品やサービスの金額が大きく左右する要素を注釈レベルで小さく書いてしまって あとでクレームに繋がるなどのケースが考えられます。 次に「優良誤認表示」ですが、上記した「商品が掲載・記載させていたものより良くなかった」という広告や、事例1で挙げた「食品偽装」がこちらに当てはまります。 デザイナー側もつい商品をよく見せようとして過度なレタッチをしたりしてしまいがち。直しすぎには注意しましょう。 また、医薬品や医療機器に関しては「薬機法」という別の法律があり、情報を誇大することを完全に禁じています。このように他の法律にも結びつく例もあります。
4.事例3:「おとり広告」
3つ目の事例は「おとり広告」です。「実際には購入することができない商品やサービスであるにもかかわらず、一般消費者が購入することができると誤認する恐れがある広告」がそれにあたります。よく例として挙げられるのが不動産の広告です。インターネット上に架空の物件や既に成約済みの物件情報を掲載して、 問い合わせのあった顧客に対して別の物件を勧めるというものが、おとり広告の代表的な方法です。 飲食店で置き換えると、「100品限り!」と謳っておきながらその商品を全く用意しておらず、その商品目当てで店に足を運んだ消費者が他の商品を選ばなければ ならざるを得ないといったケースが該当します。補足ですが、不動産業に関しては「宅建業法」という別の法律で「おとり広告」や事例2の「誇大広告」を完全に禁じています。 事業者側はその業種の職業に就けば学ぶこととは思いますが、デザイナー側は様々な業種の広告を取り扱う仕事。「知らなかった」では済まされないため、知見を広めておくことが大切です。
5.まとめ
いかがだったでしょうか? 気をつけていればまず起こりうることのないことではありますが、万が一起こってしまっては取り返しのつかない問題です。 このようなことが起こらないために、事業者とデザイナーの双方が、情報の相違がないか何度も確認・校正して世に広告として発信することを心がけましょう。 校正に関して記した下記のコラムもございますので、未然に問題発生を防ぐためにも併せてご覧いただくのがオススメです。
適切な情報を分かりやすく伝えて、消費者が安心して見れる、そして興味を惹かれる広告を作っていきましょう!