自社を知るためのマーケティング分析③|クロスSWOT分析
弊社のホームページにて、「販促ノウハウブック」という、初心者に向けた販売促進のハウツー資料の提供をはじめました。本書は、販促のノウハウを一冊に分かりやすくまとめており、「自社にあった戦略で販促を強化したい人」や、「市場や競合他社の状況を知り、差別化を図りたい人」、「店舗の集客に役立つ情報を得たい人」のような方々に役立つ一冊です。ぜひダウンロードしてみてください。さて、この「販促ノウハウブック」でも紹介している、販促の“基盤”となるマーケティング分析のフレームワークの方法を、事例を交えてより詳しくご説明していきます。すでに資料をダウンロードしている人で、「分析のやり方が難しくてよくわからなかった」と、断念してしまったという人は、こちらをご覧いただき、再度チャレンジしてみてください。またフレームワークのテンプレートは、資料からダウンロードできますので、マーケティング分析に興味のある人は、まずは「販促ノウハウブック」をダウンロードしてみてください。
前回は分析手法のSTEP2、「PEST分析」の方法を紹介しました。
>自社を知るためのマーケティング分析②|PEST分析
今回はマーケティング分析STEP3「クロスSWOT分析」の方法をご紹介します。
1.クロスSWOT分析とは?
2.クロスSWOT分析のやり方 4STEP
3.まとめ
1.クロスSWOT分析とは?
クロスSWOT(スウォット)分析とは、「強み(Strength)」「弱み(Weakness)」「機会(Opportunity)」「脅威(Threat)」の頭文字から名付けられたフレームワークです。内部環境と外部環境をプラス要素とマイナス要素に分類し、分類した要素を掛け合わせることで、自社にとってのチャンスとリスクに沿った販促施策が立案できます。
2.クロスSWOT分析のやり方 3STEP
クロスSWOT分析は、SWOT分析の「強み(Strengths)」「弱み(Weaknesses)」「機会(Opportunity)」「脅威(Threat)」の4つの視点で導き出された情報をクロスする(掛け合わせる)ことで、今後の経営戦略の方向性をさらに見極めるためのフレームワークです。そのため、まずはSWOT分析から順番に行っていきます。それでは、事例に沿ってフレームを埋めていきましょう。
企業例:スズキチキンフーズ株式会社(仮称)
愛知県の創業100年を超える、鶏肉を使った商品専門の老舗お土産メーカー。手羽先を甘辛く煮た「手羽煮込み」が看板商品。
STEP1 内部環境を整理する
STEP1は、前々回の「3C分析」で得た自社の情報(事実)を使います。
>自社を知るためのマーケティング分析①|3C分析
3C分析で得た情報
・ビジネスモデル
・製品力・技術力
・サービス力・営業力
・販売チャネル
・ブランド力
これらの情報を下記のように「強み(Strength)」と「弱み(Weakness)」に分類していきます。
内部環境を分類することで、自社が競合他社と比較して「強みとする部分」と「劣っている部分」を明確化します。
STEP2 外部環境を整理する
次に、前回のPEST分析で得た、自社を取り巻く外部環境の情報(事実)を使って表を埋めていきましょう。
>自社を知るためのマーケティング分析②|PEST分析
PEST分析で得た情報
・政治・法律・業界動向
・景気・賃金・経済動向
・人口・社会変化の動向
・技術の進展・革新動向
これらの情報を下記のように「機会(Opportunity)」と「脅威(Threat)」に分類していきます。
外部環境を分類することで、自社や事業にとって「プラス要素(チャンス)」と「マイナス要素(リスク)」が把握できます。
STEP3 4つの分類をそれぞれ掛け合わせる
ここからが「クロスSWOT分析」です。内部環境と外部環境に分類した4つの要素「強み(Strength)」、「弱み(Weakness)」、「機会(Opportunity)」、「脅威(Threat)」をそれぞれ掛け合わせることで、選択すべき戦略を明確にします。
4つの要素を掛け合わせると、以下のような図になります。
クロスSWOT分析では、以下の4つのパターンの戦略が立てられます。
「強み」×「機会」=「SO戦略」
内部環境及び外部環境ともにプラス要素を掛け合わせることで、自社がもつ「強み」を「機会(チャンス)」に対して発揮していくための戦略。競争優位性をさらに高めるための事業戦略や、自社独自のサービスを立ち上げたスタートアップ企業などがとりやすい戦略。
「弱み」×「機会」=「WO戦略」
例えば、市場は好調であるが自社が競合他社に後れを取っているような場合、その市場に活気がある「機会(チャンス)」を掴むために、自社の「弱み」を克服するための戦略。
「強み」×「脅威」=「ST戦略」
外部環境の「脅威(リスク)」に対して自社の「強み」で切り抜けていく戦略。
「弱み」×「脅威」=「WT戦略」
自社の「弱み」に、さらに外部環境の「脅威(リスク)」が追い打ちをかけるといった最悪の事態を避けるための戦略。守りに徹する、もしくは事業の縮小撤退など思い切った判断を伴う。
それでは、それぞれの戦略の具体例を見ていきましょう。
クロスSWOTにより得られた戦略に優先順位をつける
クロスSWOT分析を行って戦略を列挙しても、どこから手を付けていいか迷うかと思います。すべて同時に実行できるとは限らないため、実際には戦略の優先順位をつけましょう。
例えば、上記の企業例でいう「ST戦略」の『鶏料理点の手羽先として売り出す』と「WO戦略」の『高級な商品を開発』は、新しい商品ラインナップの開発という点で同じですが、外食事業の鶏肉料理店は安い印象は無いものの、どちらかというと大衆向けであることから、開発の方向性は異なります。予算の都合で商品開発はいずれか一方向とするのであれば、優先順位をつける必要があります。
また、「WT戦略」では『SKU数を減らすことでオペレーションをシンプルに』とも言っていることから、「そもそも新商品の開発が最優先だろうか?」という点も考慮すべきといえます。戦略実行による費用対効果を鑑みて、今回は何を採用とし、何を不採用とすべきか、自社や市場の状況と照らし合わせながら優先順位をつけ、販促施策を立案していきましょう。
3.まとめ
SWOT分析をしっかり行い、さらに目標達成に向けた戦略立案を行うためのクロスSWOT分析の活用は大変有効です。フレームワークで実際に書き込んでいくプロセスは、頭の中が整理できます。また、チームや組織メンバーに対して共有ができることで、理解を得やすくなり、立案した戦略の実行がしやすくなるメリットがあります。
クロスSWOT分析で「機会(チャンス)」を逃さずモノにするのはもちろん、「弱み」に向き合い「脅威(リスク)」に備えることが重要です。マイナス要素にもしっかり向き合うことで、逆境に負けない体制づくりをしていきましょう。
次回は分析STEP4「STP分析」をレクチャーします。