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人類を導くためのデザイン|サインデザイン

あなたが平日の朝、通勤あるいは通学している最中にある周りの景色を想像してみてください。
駅のホームであったり、交通量の多い交差点であったり、ふと立ち寄ったコンビニのトイレであったり。そういった公共の場所に共通して必ず存在するもの、それは「サイン」。
駅のホームでエレベーターを探している時には矢印で道を指し示してくれて、交差点では信号機や標識で直感的にドライバーに情報を伝えてくれて、トイレの中ではどのボタンを押せばいいかをピクトグラムで教えてくれる。
人の形だったり、ただの線だったり、矢印だったり様々な形式がありますがこれらはすべてデザインされた「サインデザイン」なのです。
私たちの生活の中には当たり前のようにある存在ですが、とても奥が深いものなのです。

1.サインデザインとは
2.ユニバーサルデザインの重要性
3.日本の美しいサインデザイン事例
4.まとめ

 

1.サインデザインとは

「サイン」は人々の生活に欠かせないとても身近なものですが、ただやみくもに表示すれば良いというものではありません。
人々がよりスムーズに行動し、より快適に過ごし、より豊かに生活できるように、「サイン」をさまざまな角度から考えながら計画し設計することを「サインデザイン」といいます。そしてその計画や設計に携わる人を「サインデザイナー」と呼びます。
「サインデザイン」の及ぶ範囲は、単に標識や看板などの表示面のデザインや、モノのかたちのデザインだけではありません。
広告、パッケージ、ディスプレイ、インテリア、建築、景観デザインや街づくり、都市計画にいたるまで、人々の生活を取り巻くすべてのものごとに深くかかわる可能性を、「サインデザイン」は秘めています。

引用元:サインとは | 公益社団法人日本サインデザイン協会(SDA)
https://www.sign.or.jp/about_sign

スマートフォンの普及により便利な世の中になったとはいえ、駅構内や大型ショッピングモールの中などでは、サインなしで目的地にたどりつくのは難しいですよね。
どんな人でも快適に利用できるようにデザインされていなければいけません。そのためには、ユニバーサルデザインの視点からもシステムを考える必要があります。

 

2. ユニバーサルデザインの重要性

昨今ではよく耳にするようになった「ユニバーサルデザイン」、具体的にはどういったデザインの事でしょうか。

ユニバーサルデザインの7原則

1.どんな人でも公平に使えること。
2.使う上での柔軟性があること。
3.使い方が簡単で自明であること。
4.必要な情報がすぐに分かること。
5.簡単なミスが危険につながらないこと。
6.身体への過度な負担を必要としないこと。
7.利用のための十分な大きさと空間が確保されていること。

ユニバーサルデザインは、建築家でありプロダクトデザイナーのロナルド・メイス(アメリカ)が提唱した言葉で、バリアフリーとはまた別の概念として生まれました。
「年齢や能力、状況などにかかわらず、デザインの最初から、できるだけ多くの人が利用可能にすること」が基本となっており、障害の有無、年齢、性別、国籍、人種等にかかわらず多様な人々が快適に過ごせるよう、あらかじめ都市や生活環境を計画する考え方です。
公共の場所であればあるほど多様な人々が利用するため、より多くの人が理解でき、安全・快適に利用できるサインである事は必須といえます。

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カラーユニバーサルデザイン|誰もが見やすい広告づくり
https://s-modern.com/column/2090/

 

3. 日本の美しいサインデザイン事例

理解できるサインである事は必須ですが、施設や景観デザインのブランディングイメージを損なわないためのサインデザインである事も重要です。
ここでは、過去に日本サインデザイン賞で賞を獲得した、美しいサインデザインの事例をご紹介します。

1.市原湖畔美術館

千葉県市原市の南部、1990年代に建てられ老朽化した「水と彫刻の丘」再生するプロジェクトとしてスタートしたプロジェクト。壁に直接プリントされたサインがユニークですね。
引用元:
http://www.sign.or.jp/about_sda/business/sda-award/2014-2/%E5%B8%82%E5%8E%9F%E6%B9%96%E7%95%94%E7%BE%8E%E8%A1%93%E9%A4%A8%E3%82%B5%E3%82%A4%E3%83%B3%E8%A8%88%E7%94%BB

 

2.LUMINE 0(ゼロ)

新しくオープンした、ルミネの先進的なギャラリースペースのサイン。使用されている書体も極細で、ミニマルを極めた潔いデザインです。
引用元:
https://www.sign.or.jp/about_sda/business/sda-award/2016-2/lumine-0%EF%BC%88%E3%82%BC%E3%83%AD%EF%BC%89

 

3.読書の森 松原図書館



池の中に「水の中に建つ建築」として建てられた、松原市の新市民図書館。図書館の雰囲気にあった落ち着いた印象のサインが美しいですね。
引用元:
https://www.sign.or.jp/sda-award/%e8%aa%ad%e6%9b%b8%e3%81%ae%e6%a3%ae%e3%80%80%e6%9d%be%e5%8e%9f%e5%9b%b3%e6%9b%b8%e9%a4%a8

 

4.赤間くるみ幼稚園


ブランディングからトータルでデザイン設計されている幼稚園。サインデザインのコンセプトは「触れるサイン、遊べるサイン」。
子供だけではなく大人も楽しくなってしまう、絵本の中に入り込んだようなストーリーを感じさせるデザインです。
引用元:
https://www.sign.or.jp/about_sda/business/sda-award/2019-2/%e8%b5%a4%e9%96%93%e3%81%8f%e3%82%8b%e3%81%bf%e5%b9%bc%e7%a8%9a%e5%9c%92%e3%83%88%e3%83%bc%e3%82%bf%e3%83%ab%e3%83%87%e3%82%b6%e3%82%a4%e3%83%b3

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日本サインデザイン賞の過去受賞作一覧はこちらから閲覧できます。
https://www.sign.or.jp/about_sda/business/sda-award

 

4. まとめ

サインデザインの奥深さ、理解していただけたでしょうか?
ぱっと見の印象は単純なように見えても、計算され尽くして設計されているサインデザインの数々。
身近なサインも意識して見てみると、意外な発見があるかもしれませんよ。