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販促(プロモーション)とブランディングの違いとは?

市場に自社製品を流通させるため、マーケティング戦略に力を注ぐ企業も多く見られます。マーケティング戦略において、耳にする機会も多いのが「販促(プロモーション)」「ブランディング」という言葉です。これらの言葉を何となく使っているものの、具体的な内容やそれぞれの違いについて、理解できていないという人もいるのではないでしょうか。そこで、この記事ではプロモーションとブランディングの違いについて解説します。

1.販促(プロモーション)とは
2.ブランディングとは
3.ふたつはシームレスに繋がっている
4.まとめ

 

販促(プロモーション)とは

販促(プロモーション)とはどのようなものなのか、概要や主な目的について見ていきましょう。

① プロモーションとは
販促は日本語にすると「促進」「昇進」「奨励」といった意味を持ちます。日本のマーケティング市場においては消費者に対し、購買意欲をあおる活動を指して使われます。なお、日本で行われている広告施策はほとんどの場合「販促」です。

② プロモーションの目的
販促は主に「売上を上げる」ことを目的とした広告施策です。消費者の目を引くような広告デザインを考えることが重要になります。広告を通じて自然と商品を目にする機会が増え、関心が高まり「購入」という結果につなげていくことができます。なお、プロモーションは消費者とのコミュニケートが重要になる施策です。たとえば、売り出したい自社商品があるとしましょう。この商品をただ店頭に置くだけでは売上につなげることは難しいでしょう。だからこそ、セールスマンが店頭販売で熱心に商品の魅力を説明したり、広告を出したりすることが必要になるのです。商品の売れ行きを良くするために、プロモーション活動は非常に重要な活動といえるでしょう。

③ 代表的なプロモーションの種類
販売促進を目的として行うプロモーション活動には、さまざまな手法があります。代表的な種類としては、「広告」「Webプロモーション」「人的販売」などが挙げられます。広告はプロモーションのなかでも、不特定多数の消費者に対してアプローチできる手法です。たとえば、街中にあるポスター広告や新聞などを通じた媒体広告などがこれに該当します。また、ビルなどに設置されたデジタルビジョンを通じ広告を打ち出すこともあるでしょう。テレビコマーシャルはマスメディアに分類され、広告のスペースや長さによってもコストが変わってきます。

Webプロモーションは顧客への情報発信として多く用いられるプロモーションです。インターネットを通じて商品・サービスを訴求します。Webプロモーションの手法にはさまざまな種類があり、なかでもSNSを通じたアプローチに注目が集まっています。若者世代はSNSを利用しているケースが多く、効果的にプロモーションを行えるのです。具体的には、TwitterやFacebookなどに自社ページを作成し、そこから定期的に情報発信を行うというものです。自社のホームページがあれば、SNSにリンク先を添付しておくと情報拡散にもつなげられます。

それ以外にも、メールマガジンの配布という手法もあります。自社の顧客に対して情報を盛り込んだメールを定期的に配信し、直接アプローチを行うのです。また、メディアでの情報拡散を促進するため、SEO施策を通じたプロモーションに取り組むケースもあります。インターネットでキーワード検索をしたときに企業名がページ上部に出てくるよう、対策を講じる企業が増えています。人的販売は顧客一人ひとりに対してアプローチを行う手法です。広告やメディアのように不特定多数ではなく、特定の人に対してプロモーションを行います。

たとえば、保険業や小売業などの自宅訪問セールスなどが該当します。これは、セールス担当者が顧客の自宅を訪問し、商品・サービスの紹介や販売を行うものです。百貨店などでは、顧客に合う商材を用意して外商セールスを行うケースもあります。より身近な例でいうと、スーパーなどで行われる試食販売が挙げられます。実際に商品を調理し、消費者に試食・試飲してもらうことで購入につなげるというものです。人対人のプロモーションは、顧客と直接接するためダイレクトな反応を見られることが特徴です。この反応やフィードバックをもとに、次のマーケティング戦略を立てることができます。

④ プロモーション事例
各企業ではさまざまなプロモーション活動を行っています。なかでも有名なプロモーション活動がJR東日本の「SKISKIキャンペーン」です。若手女優やモデルを起用し、「ぜんぶ雪のせいだ」というような強く印象に残るキャッチコピーを加えた広告は、大きな反響を呼んでいます。今年のコピーは「あの冬が、呼んでいる」。インパクトがあることはもちろん、長年継続していることで成果が大きくなっているプロモーション事例といえるでしょう。

 

 

ブランディングとは

プロモーションと似た言葉にブランディングが挙げられます。両者にはどのような違いがあるのか、チェックしていきましょう。

① ブランディングとは
ブランディングとは、その名前の通り「ブランド」をつくり上げるための活動のことです。ブランドとは、簡単にいうとほかの商品と自社商品を区別するための一連の要素をいいます。たとえば、商品デザインやブランドロゴ、シンボルマークやキャッチフレーズ、商標や名称などさまざまな要素が組み合わさり、ブランドを形作ります。そして、そのブランドを消費者に認知させ、市場でのニーズを把握し、自社のポジションを明確にすることがブランディング活動なのです。

② ブランディングの目的
ブランディングは主に、商品や企業そのものを「好きになってもらう」ことが目的の広告施策です。この点が、直接的に売上のアップを目的としているプロモーションとの大きな違いといえるでしょう。「あの企業といえばあの商品」「このマークはあの企業」というように、わかりやすく市場にイメージを浸透させ、愛着を持ってもらうことが重要になります。ブランディングによって商品・サービスのイメージや知名度が上がっていくことで、信頼や安心感が生まれます。それにより、価格競争などで比較されることがなくなり、結果的に顧客の囲い込みや売上のアップにつなげることができるのです。

③ 代表的なブランディングの種類
代表的なブランディングの種類としては、「企業ブランディング」「製品ブランディング」「マーケティングブランディング」「営業ブランディング」などが挙げられます。企業ブランディングは、消費者とのつながりをどう持つかを考えるものです。主な施策にはホームページ作成やパンフレット配布などがあります。製品ブランディングは消費者にどのような商品・サービスを販売するかを考えるものです。施策としては価格やデザインの設定、付加価値をつけることなどが挙げられます。

マーケティングブランディングは、自社の商品・サービスをどう市場に広めるかを考えるものです。施策として広告の打ち出しやメディアへの露出、ターゲティングなどを行うことが一般的でしょう。営業ブランディングは、消費者に商品を売るための方法を考える活動です。主に販売方法を考えたり、提携先や顧客の選定を行ったりします。

④ ブランディング事例
ブランディングにおいて、企業にはそれぞれ「ミッション」があります。たとえば、スウェーデンの自動車メーカーとして有名な「ボルボ」では、「世界から交通事故をなくすこと」をミッションに掲げています。ボルボのブランド価値は「安全性」です。どのクラスの車を購入しても、オプション不要で同レベルの安全性が手に入ることをプロモーションで伝えてきました。これにより、万が一の事故があったときにも運転手を守る丈夫な車をつくる企業として認知されるようになったのです。ボルボは自動車とは切り離せない安全性というニーズに注目し、競合他社との差別化を図ることで、ブランディングを成功させました。

 

 

ふたつはシームレスに繋がっている

一見、プロモーションとブランディングは相反するものだと思われがちです。しかし、これは大きな誤解であり、両者は敵対するものではありません。プロモーションは購買意欲の引き出しや意思決定を促すための施策であり、「今なら○割引」というようなあおる表現も多くみられます。一方、ブランディングはブランドのイメージ浸透を目指したものであり、上品な表現が多い傾向にあります。そのため、両者は大きく性質の違うものだと思われがちですが、どちらも「企業の業績をアップさせる」という目的には変わりません。どちらかのみを実践するだけでは、事業の成長機会を逃してしまう可能性が高くなるでしょう。

プロモーションだけでは、後々売上の伸びや顧客獲得のためのコストに行き詰まる可能性があります。一方、ブランディングだけでは売上に転換することが難しい可能性があるでしょう。したがって、両者はアプローチ手段が異なるという認識を持ち、効果的に連携させることが大切なのです。どちらか一方に頼るのではなく、目的やタイミングに応じて効果的にプロモーションとブランディングの両方を取り入れることが求められます。

 

販促(プロモーション)とブランディングで効率的に活動しよう

販促(プロモーション)とブランディングはそれぞれ意味やアプローチ方法が異なります。ブランドが掲げる「ミッション」によってブランディング広告の方向性や軸が決まり、それと同時に「ミッション」に沿ったプロモーション活動が行われるという関係で成り立っているのです。ふたつの関係性を理解することで、より無駄のない施策を実施できます。どちらか一方ではなく、両方を効果的に実施することを意識しましょう。

 

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