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カラーユニバーサルデザイン|誰もが見やすい広告づくり

デザインをするうえで色を選ぶことは非常に重要になってきます。「売れる色|カラーマーケティングとは」でもご紹介しているように、人が五感で受け取る情報で一番多いのは視覚であり、その中でも形より色に影響を受けるといいます。しかし、色というものはだれにでも同じように見えているわけではありません。今まで色に気を遣って広告を制作をしたり、依頼していたとしても、ある人にとってはもしかしたらそれはとても見にくいものになってしまっていたかも。そのような人にも配慮し、情報がなるべくすべての人に正確に伝わるように作られたものを「カラーユニバーサルデザイン」 と言います。今回はちょっとした気の遣い方で簡単に、あらゆる人が視認しやすいデザインを制作することができるコツをご紹介いたします。

 

1.色弱者の方の特性について
2.色弱者の方の見分けやすい色・見分けにくい色
3.配色以外での改善例
4.まとめ

 

色弱者の方の特性について

人間の色の感じ方は一様ではなく、色の見え方が一般の人と異なる人が多く存在します。この中で、いわゆる色弱者(色覚異常・色盲・色覚障害・色覚特性、近年では色覚多様性とも称されます)は、日本では男性の20人に1人、女性の500人に1人と言われ、日本全体では300万人以上いるとされており、希少な存在ではありません。また、加齢に伴い、後天的に薄黄色のフィルターを通してものを見たときのように色覚機能が弱くなることもあるそうです。これらの人たちは、視力は普通と変わらず細かいものまで十分見えますが、一部の色の組み合わせについて、一般色覚者と見え方が異なります。色弱にはタイプがあり、大きく赤色・緑色・青色のいずれかを見る力が正常に機能しない3タイプに分けられます。

 

色弱者の方の見分けやすい色・見分けにくい色

そんな色弱者の方が見分けやすい色は明度・彩度に差が出ている配色です。色弱者は色相の見分けが苦手な分、明度や彩度の差にはむしろ敏感であり、同系色の明暗の識別には可能です。特に明度差がはっきりしているデザインは、色の見え方が一般的な方でも視認性が優れていますよね。目立たせたいところ・伝えたいところには明度差を積極的に意識するよう心がけましょう。

 

それでは逆に、どのような色が見分けづらいのでしょうか。一例ですが、図と併せてご紹介いたします。

1.ある色と、それに赤成分または緑成分を足した色は区別しにくい(例:「紫と青」「緑と茶色」 「赤と茶色」など)
2.高彩度の色に比べ、低彩度の色はさらに識別が難しくなる(例:「水色とピンク」「灰色と淡い水色、薄緑」など)
3.色が見えていないわけではなく、見える領域が狭いので色分けに気付かないことがある

 

どうしてもこの色を使わなければならない、というわけでなければ、より多くの人に発信したい広告を制作する際には彩度の低い色を使うのは避けた方が良いでしょう。そうなってくると、色弱者の立場になって制作物を作って見たい思う方も出てくるのではないでしょうか?そこでおすすめのアプリケーションを紹介します。3タイプの色弱者の色の見え方をカメラを通してシミュレーションすることができる「色のシミュレータ」です。アプリを通して見てみて、3タイプどの画面でもしっかり見えるか確かめるのにオススメです。(上の1~3の図を「色のシミュレータ」で見てみると、認識のできなさにきっと驚くと思います。)
https://apps.apple.com/jp/app/%E8%89%B2%E3%81%AE%E3%82%B7%E3%83%9F%E3%83%A5%E3%83%AC%E3%83%BC%E3%82%BF/id389310222

配色以外での改善例

ただ、どうしてもたくさんの色を使わなければならないデザインを制作・発注しなければならない場面に直面することもあると思います。そこで、配色以外でも色がしっかり伝わる方法をご紹介します。まず一番簡単な方法は色名を表記することです。たとえばカラーバリエーションの多い商品のパッケージを作ることになり、売場に並べられたとしましょう。たくさんの色があると、色弱者は色の違いがわからず買ってみたら欲しかった色ではなかった…ということもしばしばあります。(特に近年流行のくすみカラーなどの判別はとても難しいです)そこで、パッケージに文字で補って伝えることにより誰にでも分かりやすいデザインになりますし、間違いが生まれません。また、グラフなどを制作する際にたくさんの色を使用しなければならない際には、項目ごとにパターンを用いったり、実線・点線・破線を使い分けたりすることでどこを指しているかがわかりやすくなります。このように、多色使いのデザインでも色を判別させる解決策はたくさんありますし、難しいことではありませんのでぜひ積極的に取り入れてみてください。とても当たり前のことを述べていますが、この配慮が色弱者にとって助かるものになるのです。

まとめ

広告制作にかかせない「色がもたらす効果」を考え配色し、印象の与え方を意識するということはもちろん大事ですが、さらにもうワンステップ、色弱者も含めたどんな人にも伝わる広告制作を心がけると、よりたくさんの方の目に留まるものが出来上がるでしょう。これを読んだ機会に、カラーユニバーサルのことをぜひ考えてみてはいかがでしょうか。

 

 

>関連ページ
売れる色|カラーマーケティングとは
https://s-modern.com/column/1812/