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マーケティングと行動心理学 その9―ウィンザー効果―

「最近すごく頑張ってるみたいだね。部長がすごく評価してたよ。」なんて言われると、直接言われるよりも嬉しくなっちゃうことってありませんか?これは、ウィンザー効果という第三者から間接的に情報が伝わることによって、信憑性や信頼感が増すという心理効果が働いているからです。ビジネスのシーンでもとてもよく使われる手法です。今回はこのウィンザー効果を紹介します。

1. ウィンザー効果とは?
2. ビジネスシーンでの活用法
3. 今回のまとめ

ウィンザー効果とは?

ウィンザー効果とは、「第三者が発信した情報は信頼されやすい」という心理効果です。名前の由来は、アーリーン・ロマノネス著のミステリー小説「伯爵夫人はスパイ」に登場するウィンザー侯爵夫人の「第三者のお褒め言葉は、どんなときでも一番効き目があるのよ。」というセリフにちなんで名づけられたと言われています。ではなぜその第三者の言葉は信憑性があるのでしょうか?そのメカニズムをご紹介します。例えばあなたがある商品を買おうとしているとして、その商品の営業担当があなたに「この商品は本当に素晴らしいです。」と言ったところで、「本当なのかな?」「ただ自社の商品が売りたいだけなのでは?」といった猜疑心が生まれます。「自社の商品は他社より劣っています。」なんて言う営業マンは存在しませんから、信憑性は欠けてしまう場合があります。反面、会社の同僚から「あの商品は素晴らしかったよ。」と言われると一気に信憑性が増してきます。なぜならこの同僚に利害関係がないから。ウィンザー効果は第三者に対して利害関係がない場合のみ、その効果を発揮するということです。友人間の話や、口コミ、レビューなどは、利害関係が存在しない場合がほとんどです。なぜなら、ウソを付く必要がないから。利害関係がなければないほど、嘘をつく必要もなくなるので信憑性が増すというわけです。また、もう一つ効果が発揮される場合があります。それは第三者の数が多いとき。人は、個人の判断よりも集団の意見の方が正しいと考えるバンドワゴン効果という心理現象があります。この効果は以前ご紹介しました。詳しくは「マーケティングと行動心理学 その4―バンドワゴンとスノッブ効果―」を御覧ください。これと同様に多くの人が知っている情報の方がより正しいように感じ、影響力が増すのです。最たる例は「食べログ」です。あなたも、どこかいいカフェや居酒屋はないかと探しているとき、「食べログ」などの口コミを参照したことがあるのではないでしょうか?匿名の情報でも、実際に店を訪れた人による率直な感想だと思われるため、飲食店が自ら発信している情報と比べて信頼できると感じているはずです。

ビジネスシーンでの活用法

1.  お客様の声

テレビショッピングやCMで、利用者の声として「○○を飲んでから膝が楽になりました。」「〇〇のおかげで痩せられました。」などと話しているのを見たことがあるのではないでしょうか。メーカー自身が商品のメリットを力説するよりも、顧客に感想を語らせるほうが、信憑性が高まると考えられているためです。この「お客様の声」ですが、顧客の声を集める方法がたくさんあります。

・アンケート

最も基本的な手段は、アンケートに記入してもらうこと。アンケートを回収する手段としては、店頭にアンケート用紙を置いてその場で書いてもらう方法や、ハガキで郵送してもらう方法、Webフォームに入力してもらう方法などがあります。

・インタビュー

顧客に直接インタビューをし、意見を吸い上げるという方法もあります。この方法のメリットは、お客様の話を聞きながら臨機応援に質問を変更できることにあります。より詳しく顧客の話を掘り下げて聞くことができるので、書面では伝わらない本音の部分に触れられるかもしれません。

・モニターを募集する

製品に興味がある方の中から公募で人を集め、情報収集・意見交換を行なうことです。その製品に対して意識の高い顧客から、積極的な意見が聞けることや、状況にあわせて同じ相手から意見をもらうことが出来ることなどがメリットとしてあげられます。

2.  口コミマーケティング

先程も例に上げた「食べログ」や各種通販サイト、SNSなどに投稿される口コミ(レビュー)が、消費者の購買行動に大きな影響力を与えていると言われています。今やすっかり定着した「インスタ映え」も、ウィンザー効果を利用したマーケティングと関係しています。Instagramに投稿してもらうことを狙って視覚的にインパクトのある商品が作られているといったことも今では当たり前に行われています。商品の購入・サービスの利用を促すなら、インターネット上の口コミを軽視するわけにはいきません。企業が商品・サービスをアピールするのではなく、一般の消費者という「第三者」に情報を発信してもらう。これぞウィンザー効果の真髄と言えます。

今回のまとめ

「第三者が発信した情報は信頼されやすい」というウィンザー効果を紹介しましたが理解は深まったでしょうか?シンプルながら、人に何かを訴えたいときには大きな力を発揮します。先に紹介したビジネスシーンの活用法以外にも日常生活や対人関係においても言葉の説得力を増すためのスキルとして、ぜひウィンザー効果を意識してみてください。

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