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マーケティングと行動心理学 その2―カリギュラ効果―

商品のアピールをするはずの広告で、肝心なところを隠していたり、◯◯な人は見ないでください!といった広告に出会ったことはありませんか?こういった広告表現には、隠されたり、禁止されたりすることで、かえって気になってしまう「カリギュラ効果」という心理作用が働いています。この効果を使って、もっと気になる広告を作ってみましょう。

1. カリギュラ効果とは?
2. カリギュラ効果の使用例
3 .今回のまとめ

カリギュラ効果とは?

禁止されるほど逆に興味・好奇心が強まって、その禁止を破りたくなるという、昔話でも度々登場する代表的な心理効果です。
「カリギュラ効果」という名前の由来は、1980年に公開された古代ローマ帝国の暴君を題材にした映画「カリギュラ」にあると言われています。この映画は残忍な性格で酒池肉林に溺れたとされるカリギュラ帝を主人公にした性・暴力要素の強い刺激的な内容だったため、アメリカではボストンなど一部の州で上映が禁止されてしまいました。すると逆に「州政府に禁止されるほどの内容とはどんなものなのか?」と人々の好奇心が刺激されて、禁止されていない遠い州にまでわざわざ足を伸ばして、この映画を見る人が続出したという現象が起こりました。そんなエピソードにちなんで、禁止されたら煽られる人々の裏腹な心理を「カリギュラ効果」と呼ぶようになったそうです。

カリギュラ効果の使用例

この効果は人の好奇心を刺激する広告コピーに応用しやすい心理効果です。うまく取り入れられているケースを紹介すると、○春館製薬の「○モホルンリンクル」のTVCMではないでしょうか?上品なトーンではありますが、冒頭のメッセージは「初めての方にはお売りできません」といきなり新規顧客の購入を禁止しています。しかしその後に「売れないわけ」と「買うためにはどうすればいいか」が丁寧に説明されています。年齢化粧品を求めているターゲットに対して圧倒的な印象と自発的な好奇心を与えている、「カリギュラ効果」をうまく効かせたお手本のような案件です。
TVCMの他にもブログやサイトの記事タイトルなどにもこの効果が度々使われます。タイトル冒頭に【悪用厳禁】【閲覧注意】【警告・注意】などのキーワードをつけて、閲覧を煽るこういった表現も「カリギュラ効果」の一例です。

今回のまとめ

人は、「自分のことは自分で決めたい」という本能を持っています。そのため、一定のことが禁止されると自由を奪われたように感じ、かえって「自分で選んだ行動」に価値を見出すようになります。他人から禁止されたことをあえてすることで、「行動の制限」というストレスから解放される。それは抗うことのできない人間の欲求なのです。
このように「カリギュラ効果」は、誰もが心当たりのある心の動きを利用しています。
「もっと見てみたい・もっとやってみたい」というターゲットの自発的な好奇心を刺激する訴求をお考えの際は「カリギュラ効果」を是非活用してみてください。

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