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作字デザイン|既存フォントからの作字方法

文字のデザインは、ビジュアルのクオリティを左右するとても重要な要素の一つです。しかし「デザインの雰囲気に合ったフォントを使いたいけど、イメージ通りのフォントがない..! だけど一から作字をする時間もない..!」と焦ってマウスを濡らした夜も、デザイナーにはあると思います。大丈夫。作字はいつだって私たちデザイナーの味方です。今回はそんな時のために、既存フォントから短時間で上質な作字をする方法をご紹介します。

目次
1.フォントの分析 / 選定
2.作字のやり方
3.まとめ

1.フォントの分析 / 選定

フォントの分析と選定は、既存フォントから作字をする上でとても大切なステップです。ここではフォントの特徴を分析することで、理想のイメージに近いフォントを選定する方法をご紹介します。

フォントの分析

まず和文フォントは大きく分けて明朝体とゴシック体の2種類があります。
明朝体は太い縦線と細い横線で構成され、視認性が高く文章や新聞記事などに使われることが多い、上品な印象のフォントです。一方ゴシック体は縦線と横線が同じ太さで構成され、明朝体に比べてより現代的な印象のフォントです。見出しやタイトル、ポスターや広告などに使用されることが多く、読みやすさよりも強い視覚的効果が求められる場合に使用されます。

フォントの選定

それぞれのフォントの特徴を理解したら、次はデザインに合うフォントのイメージを明確にしていきましょう。例えばポップな雰囲気のビジュアルであれば、上品な明朝体ではなく、ゆるめのゴシック体を選ぶと良いでしょう。
また、デザインのコンセプトによっても選ぶべきフォントは変わってきます。例えばスポーツ関連のデザインであれば、力強く、ダイナミックな印象を与えるフォントがおすすめです。

以上のように、フォントの分析と選定は、作字の成功に欠かせないステップです。フォントの特徴を分析し理解することで、ビジュアルに合ったフォントのイメージを明確にすることができ、コンセプトに沿ったフォントを選定することができます。では、次は実際に既存フォントから作字をしていく方法をご紹介します。

2.作字のやり方

ベースとなるフォントを決めたら、次はいよいよ作字です。この項目では例として

ゴシック体をベースにした、ポップなデザイン
明朝体をベースにした、古風なデザイン
ゴシック体と明朝体を組み合わせた、オリジナリティのあるデザイン

の3種類の作字方法をご紹介します。

■ ゴシック体をベースにした、ポップなデザイン

こちらは、スマートな印象ながらもちょいクセありのフリーフォント「スマートフォントUI+」をベースに作字をしていきます。

1.ウェイトを調整する

ベースフォントのウェイトを、イメージに近くなるよう調整します。理想のウェイトがないフォントでも、Illustratorであれば線をつけたり、パスのオフセットで簡単に調整することができます。

2.文字をパーツごとに分解する

作字の自由度を上げるために、フォントをアウトライン化しパーツごとに分解します。

3.文字のバランスを調整する

パーツの位置や長さ、角度を調整して、理想のイメージに近づけていきます。その際、少しずつ細かく調整するよりも、大胆に思いっきり動かした方が印象的になりやすいです。

以上で完成です!どうでしょう?ベースのフォントよりもだいぶポップな印象に仕上がったのではないでしょうか。ちなみにこちらの制作時間は15分ほどなので、一から作字をするよりもだいぶ時短でできます。さて、次は明朝体ベースの作字方法をご紹介します。

 

■ 明朝体をベースにした、古風なデザイン

こちらは、おしとやかな印象のフリーフォント「はんなり明朝」をベースに作字をしていきます。明朝体はゴシック体に比べてかなり細かく作られているので、作字の難易度は少し上がりますが、めげずにやっていきましょう!

1.変倍をかけつつ、ウェイトを調整する

ぽってりと古風な印象にしたいので平体をかけつつ、ウェイトを少し細くします。フォントの印象を変える一番簡単な方法は、長体や平体などの変倍をかけることです。フォントにもよりますが、長体をかけるとキリッと真面目な印象に、平体をかけるとぽってりと愛らしい印象になります。

2.スリッドを入れる

スリッドを入れて、よりアイコニックな印象にしていきます。

3.形を詰めていく

はらいを伸ばしたり、パーツの角度を変えたりして形を詰めつつ、文字に溜まりをつくることでより「和」っぽくしていきます。溜まりはIllustratorのパスのオフセット機能で、簡単につくることができます。

さらに、次はゴシック体×明朝体の作字方法をご紹介します。

 

ゴシック体と明朝体を組み合わせた、オリジナリティのあるデザイン

こちらは、ベーシックながらも親しみやすいフォルムが特徴の、モリサワフォント「A1ゴシック」と「A1明朝」を組み合わせて作字していきます。今回はタイプが異なるフォントを使用するので、さらに少しだけ難易度がUPします。ベースフォントがわかりにくいほど、オリジナリティが出せるので、タイトルや名前で存在感を出したいデザインにオススメです◎
モリサワのフォントを利用するには、原則としてライセンスが必要です。ライセンスの種類や購入方法、利用範囲などは製品によって異なります。

1.文字をパーツごとに分解し、組み合わせる

ゴシック体、明朝体、それぞれの文字をざっくりとパーツごとに分解し、組み合わせていきます。文字ごとのゴシック要素と明朝要素の配分を同じくらいすることでバランス良く見えます◎どの部分をゴシック要素・明朝要素にするかで、文字の垢抜け感が変わってくるので、ベストな組み合わせを探っていきましょう!

2.サイズ感やウェイトを調整する

ゴシック体と明朝体は文字のサイズ感が少し異なります。そのため、パッと見て違和感のないサイズ感を目指して、パーツを調整していきましょう。サイズを調整したら、気になってくるのがパーツのウェイトです。文字全体に安定感を持たせるため、太さも整えていきましょう。

3.ディテールを調整する

文字に一体感を出すために全体の持ち味を統一していきます。ここで言う「持ち味」とは、主に文字の“起筆部分の形状”や“余白量”を指します。それらを統一することで、文字にまとまりが生まれ、オリジナリティのあるデザインに仕上がります。

以上で完成です!

3.まとめ

いかがだったでしょうか?フォントの分析や選定、そして作字のやり方についてご紹介しましたが、これらのポイントを押さえれば、誰でも短時間で上質な作字を制作できます。これでもう焦ってマウスを濡らす心配はありませんね!
このコラムが読者の方々にとって役に立ったことを願いつつ、今後も様々な情報を提供していきたいと思います!

※既存フォントをベースに作字をする際、改変が許可されていない場合があるため、事前にライセンスを確認しましょう。