どんな業種の人にも役立つ!“人を動かす”ライティング02
“人を動かすライティング”第二回は、「絞り込む力」です。前回で見つけたFACT(事実)の中から、より魅力的なFACTを絞り込み、「書く」ための材料を厳選します。
たとえばこんなフレーズ、よく見ませんか?
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これらもすべてFACT(事実)ですが、これは現状をスケッチしたに過ぎません。これらのFACTが、ユーザーにとって「何がいい」のか、「何がどんな風に得」なのか、「限定ってどんな限定」なのか、「クーポンはどうすれば手に入る」のか、などが伝わっていませんよね。FACTだけをどれだけ伝えても、ユーザーにとって“どんなメリットがあるか”が伝わらなければ、ユーザーは行動を起こしません。今回は、発見したFACTの中から受け手にとって魅力的なFACTをさらに絞り込む方法をお話します。
1. 「絞り込む力」とは
2.「絞り込む力」の鍛え方
3.「絞り込む」はライティング
1.「絞り込む力」とは
“人を動かす”ライティングのコツ 第二回は「絞り込む力」についてご紹介します。
書く力を磨くには、書くべき内容“何を言うか”をFACTの中から選択することが重要です。第一回の「聞く力」を鍛えることで、書くための情報“FACT(事実)”を集めたら、そこからユーザーが求める情報は何か?を考え、絞り込む力が必要になります。上記でも描きましたが、届かないコピーは現状をスケッチしているだけです。FACTを“絞り込む”とは、そこから一歩踏み込み、ユーザーを幸せにする言葉に置き換えること。
魅力的なFACTが“イキの良い材料”だとしたら、FACTを絞り込む作業は料理でいうと“下ごしらえ”です。素材の良さをより引き立てるためのひと手間。出汁をとったり、下味をつけたり。ここを怠ってはいけません。お味噌汁も出汁が無ければただの「味噌を溶かしたお湯」になってしまいますよね。つまりFACTを見つけただけでは、食材がまだ“ナマ”であるのと一緒、ということです。「それで、私をどう幸せにしてくれるの?」というところまで具体的に語る必要があります。
ユーザーの立場を思いやって、「だからどうなる?」を見つけ出す
とはいえ、抽象的でいまいちどういうことかがわかりにくいですよね。というわけで、具体例をご紹介していきます。
たとえば、下記のようなFACT(事実)のある画期的な発毛剤が開発されたとします。
(こんな魔法のような商品は存在しませんが笑)
・一週間で利用者の8割が発毛を実感している
・発毛力がありすぎて頭髪だけでなくほかの部位の毛も濃くなることがある
・一日一錠、薬を飲むだけ
ここから“何を言うか”を絞り込んでいきます。
このように、「商品」と「ユーザー」の2方向で“何を言うか”を絞り込めます。
商品に爆発的な力がある場合は「特長=FACT(事実)」をヘタにいじくらず、ストレートに直球で絞り込む方法も有効です。また、「ユーザー」については、商品から得られるベネフィット(恩恵)を絞り込む方法です。「この商品を使うとこんな良いことが起きます」ということを伝えます。ユーザーの身になって、「何が得られるか=FACT(事実)」を探し、共感を誘います。
2. 「絞り込む力」の鍛え方
「絞り込む」ことがどういうことかわかりましたか?『どういうことかは分かったけど、どうやればいいの?』そんな方に、プロのコピーライターから学んだ、絞り込む力を伸ばす、練習方法をご紹介します。
世の中にあるキャッチコピーの「何が言いたいか」を読み解く
上の図のように、すでにアウトプットされたあとの、世の中にある広告物のキャッチコピーを逆算して「このキャッチコピーは、つまり何が言いたいのか?」を読み解く練習をします。早速挑戦してみましょう。
これらは、静岡県沼津市にある「沼津港深海水族館」のポスターです。このポスターたちのキャッチコピーから、つまりどんな「水族館」と言いたいのか、考えてみてください。
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それでは答えを発表します。
見たことのないものに出会えます!
(それってわくわくしませんか?)
言葉のニュアンスはすこし違うかもしれませんが、だいたいこんな意味の言葉が浮かんだのではないでしょうか?
このように、世の中にあるコピーを逆算して読み解くクセをつけると、そのうちに世に出ているコピーの良し悪しが分かってくるようになるのだといいます。「これは伝えたいことが伝わる良いコピー」「これは抽象的で何が言いたいかわかりづらいコピー」など、そんな風にコピーを評論できるようになったら“何を言うか”を絞り込む力がかなり鍛えられていると思っていいでしょう。
また、コピーを読み解くことに慣れてきたら、さらにそのコピーがどういう背景によって制作されたのか、成り立ちも調べてみましょう。
「沼津港深海水族館」は、2011年にオープンし、オーナーは地元の水産会社です。沼津では、人工減少や、水産会社の相次ぐ倒産など、さまざまな課題がありました。そこで、“新しい沼津の誇りをつくろう” 日本一の深海「駿河湾」の“深海をブランドにしよう”と考え、開業に至りました。最初こそ業界では「成功しないだろう」といわれていましたが、「見たこともないものに出会える、ワクワク感」と、好奇心を刺激する見せ方で、今では年間40万人以上の集客を実現しています。そのおかげで沼津の観光客数は約1.8倍にもなりました。
このように、コピーを取り巻く背景を調べ、「自分ならどんなコピーにするだろう」と想像を膨らませてみるのも良い特訓になるためおすすめです。
3. 「絞り込む」はライティング
いかがでしたか?「絞り込む力」を鍛えるにはユーザーの気持ちを理解することが大切です。相手の気持ちがわからなければ“何を言うか”は決まりません。そしてユーザーの気持ちを理解する方法は、「自分で体験する」か、「疑似体験する」かしかありません。上記で紹介した練習方法で「絞り込む力」を磨きましょう。言うべきことを「絞り込む力」を鍛えることは「書く」を鍛えること。ライティングの上達に近道はありません。「聞く力」、「絞り込む力」一歩一歩習得していきましょう。
次回はいよいよ最終回、“人を動かす”ライティングSTEP3「書く力」をレクチャーします。