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グラフィックデザインとは?|番外編 -デザインとまごころ-

みなさんは「まごころ(真心)」と聞くとどんな印象を受けますか?感覚として、さりげない、あたたかい、やさしい、などの印象を抱く方が多いのではないでしょうか。それは時に気配りであったり、思いやりであったり、何かをする際にまず相手のことを考える姿勢や、誰かのことを思った行動にまごころを感じます。これは、日常生活ではもちろん、デザインをする上で1番大切なことかもしれません。今回はデザイナーとして持っていたいまごころについて、日常生活との共通点を探りながらお話しさせていただきます。

1. 届ける相手へのまごころ
2. 内容へのまごころ
3. 今回のまとめ

1.届ける相手へのまごころ

デザイナーが持っていたいまごころには大きく分けて2種類あります。ひとつめは「届ける相手へのまごころ」。日常生活の中で、どんなときに「届ける相手」のことを考えますか?届ける相手とは、お客様や会社の人、家族、友人、恋人など、自分が日頃コミュニケーションをとる機会が多い人で想像してみてください。例えば会社で、誰かにメールを送るとき、資料などを渡すとき、どんなことを考えているでしょう?相手に失礼はないか、わかりにくい内容になっていないか、補足で伝えておくと助かる情報はないかなど、相手に不安を感じさせないよう、少しでも役に立てるよう、などといった思いから、相手の立場になって伝え方を工夫されているのではないでしょうか。それは「社会人なら当然」「大人なら当然」なんて思いがちかもしれませんが、まごころにおいて「〇〇だからできて当然」なんてことは無いと思います。人によってまごころの形もさまざま。デザインをする上でもそれは同じで、情報を届けたい相手になりきったつもりで興味や知識、気分を想像し、それに寄り添うアウトプットを考えます。人によって経験や知識、感覚、意識するポイントが違うからこそ、それぞれの寄り添い方ができ、時にそれがデザイナーの持ち味となり、新しいアイデアやデザインを生み出します。

 

2.内容へのまごころ

ふたつめは「内容へのまごころ」です。これは、デザインする対象を深く理解し、良いところを確認し、そして見つけ出し、最もふさわしい姿にしようとする気持ちのことを指しています。デザインをする際に、お決まりのパターンに内容を当てはめていくのではなく、内容そのものからデザインを見つけ出すということが良いデザインを生み出すためには大切です。デザイナーの作りたい、やってみたい表現からスタートすると、内容の良さを犠牲にしたデザインになってしまいがちです。内容を深く理解すればするほど、優先すべきことが見えてきて、本当に必要な要素はなにかを見極めることができます。「内容のことを考え抜いて作っていたら、勝手にデザインはこうなっていました」というのが理想的なアプローチとも言えます。それでは参考に、下記のデザインをご覧ください。

【制作について考えられていたこと】
低予算ながらもchaconneeらしい個性と「あたたかいもの」を表現するために、はがきの断裁をカッターではなく手で破ったことが最大の特徴です。デザイナーが紙の販売店に出向き多くの紙の選択肢の中から和紙のような手触りの良い紙を選択しました。副題が作家を意識した「ていねいな手仕事」であることから、作家のクラフト感、季節のあたたかみを感じられる仕上がりにしたいと思いデザインした結果、見ても触っても楽しめる個性的なDMが完成しました。

【まごころポイント】
告知テーマに通ずる手仕事のあたたかみを感じてもらえるDMを制作するため、実際に販売店に出向き、テーマの印象に合う手触りの紙選びをされていたり、紙をカットする際にハサミやカッターナイフなどの刃物を使用せず、手作業で行われていることに「内容へのまごころ」を感じます。これは、制作者の内容の良さを深く理解しようという姿勢が、低予算という条件の下でも実現可能で、魅力を犠牲にしない心地良いデザインを生み出したのではないかと思います。また、テーマの魅力と同時にクライアントらしさも感じられるデザインは、DMを受け取る顧客の期待感を膨らませてくれ、「届ける相手へのまごころ」が感じられます。まさに「届ける相手へのまごころ」と「内容へのまごころ」を併せ持った理想的なデザインです。

こちらの制作物については下記のページで詳しくご覧いただけます。

〈DMデザイン 6|シャコンヌ様〉
https://s-modern.com/works/3368/

 

 

3.今回のまとめ

「グラフィックデザインとは?|番外編 -デザインとまごころ-」はいかがでしたか?今回ご紹介させていただいた「届ける相手へのまごころ」と「内容へのまごころ」はデザイナーにとって忘れてはならないものであり、強い武器にもなり得るものです。良いデザインを作るためには、技術や知識はもちろん必要ですが、何よりもまごころを大切にすることが唯一無二のデザインを生み出す近道なのかもしれません。みなさんもぜひ、自分にとってのまごころとはなにか?考えてみてください。

 

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参考書籍
なるほどデザイン