自社を知るためのマーケティング分析④|STP分析
弊社のホームページにて、「販促ノウハウブック」という、初心者に向けた販売促進のハウツー資料の提供をはじめました。本書は、販促のノウハウを一冊に分かりやすくまとめており、「自社にあった戦略で販促を強化したい人」や、「市場や競合他社の状況を知り、差別化を図りたい人」、「店舗の集客に役立つ情報を得たい人」のような方々に役立つ一冊です。ぜひダウンロードしてみてください。さて、この「販促ノウハウブック」でも紹介している、販促の“基盤”となるマーケティング分析のフレームワークの方法を、事例を交えてより詳しくご説明していきます。すでに資料をダウンロードしている人で、「分析のやり方が難しくてよくわからなかった」と、断念してしまったという人は、こちらをご覧いただき、再度チャレンジしてみてください。またフレームワークのテンプレートは、資料からダウンロードできますので、マーケティング分析に興味のある人は、まずは「販促ノウハウブック」をダウンロードしてみてください。
前回は分析手法のSTEP3、「クロスSWOT分析」の方法を紹介しました。
>自社を知るためのマーケティング分析③|クロスSWOT分析
今回はマーケティング分析STEP4「STP(エスティーピー)分析」の方法をご紹介します。
1.STP分析とは?
2.STP分析のやり方 3STEP
3.まとめ
1.STP分析とは?
STP分析とは、Segmentation(セグメンテーション)、Targeting(ターゲティング)、Positioning(ポジショニング)の頭文字から名付けられたフレームワークです。3C分析とクロスSWOT分析で分かった要素を活用し、ターゲット層と販促の方向性を明確にすることが目的です。
2.STP分析のやり方 3STEP
STP分析は、自社および商材の市場における立ち位置を明確にし、販促施策の計画の方向性を定めるために行います。それでは、事例に沿ってフレームを埋めていきましょう。
企業例:スズキチキンフーズ株式会社(仮称)
愛知県の創業100年を超える、鶏肉を使った商品専門の老舗お土産メーカー。手羽先を甘辛く煮た「手羽煮込み」が看板商品。
STEP1 セグメンテーション
Segmentation(セグメンテーション)は、市場を細分化し、顧客の分布を明らかにすることを指します。ブランドや商品・サービスを展開する際に重要となるのが、ターゲットとなる顧客層(セグメント)を設定することです。顧客の属性をいくつかの層に分け、誰のための商品であるのかを意識して商品開発や販促活動を行うためです。
セグメンテーションには以下の4つの視点に着目し、自社商材を求める顧客のイメージを膨らませていきます。
・人口統計的変数
年齢、性別、職歴、学歴、家族構成など
・地理的変数
居住地、宗教、慣習、気候など
・心理的変数
ライフスタイル、価値観、性格、趣味など
・行動変数
買い物の頻度や場所、利用方法、購買状況など
これらの視点から、顧客層の属性をフレームに書き出していきましょう。ここでは購入の可能性がある人全員の属性を書き出します。
STEP2 ターゲティング
次にTargeting(ターゲティング)を行います。ターゲティングは、セグメンテーションによって細分化した顧客層を参考に、狙うべき市場を選択していきます。ターゲティングには以下の3つの分類があります。
・無差別型
すべての市場に届けるターゲティング。主に日用品や食料品がこれにあたります。
・差別型
複数の市場を狙い、それぞれに適した形態で商品やサービスを提供するターゲティング方法です。1つの商品で「子ども向け」「大人向け」「家族向け」「独身者向け」といった、複数の展開を行うことや、対象ごとに料金設定を変えることなどが考えられます。
・集中型
限られた市場に集中したターゲティング方法です。高級ブランドや専門性の高い商品など、局所的なニーズに応える商材に向いています。
それでは実際にターゲティングしていきましょう。事例の商材は「手羽煮込み」なので幅広い顧客層に提供できる商品ですが、名古屋のお土産という商品の特性から、ある程度「集中型」でターゲティングしていきます。
このターゲティングにより、「どんな人がどんなシチュエーションで自社商品を購入するか」のイメージが膨らみます。色分けした「メインターゲット」から想像できる人物像をイメージしてみましょう。
出張で頻繁に名古屋を訪れる県外在住の20〜40代の働き盛りの男性。
晩酌好きの上司や同僚にいつもより上質な土産を渡したいと思っている。地方色のあるものを探している。
このように、商材を売りたいターゲットを絞り込むことで、販促施策の方向性が定まります。さまざまな市場の中から自社商材の強みが最も発揮されると思われる市場を選択することで、効率的に販促活動を行うことができます。
STEP3 ポジショニング
Positioning(ポジショニング)は、これまで検討してきた要素を元に「市場における優位なポジションを見つけること」が目的です。狙いたい市場で競合他社と自社の位置関係や違いを把握し、自社が有利でいられるポジションを探すことが重要です。
それでは事例をポジショニングしていきましょう。ここでは3C 分析でチェックした競合他社の要素を活用し、商品の価格や品質・機能などを自社と比較していきます。
この十字図からわかるように、競合と比べて自社商品の「品質」は一番高いということがわかります。また「金額」で見ると2番目に安いことがわかりました。このことから、自社商品は競合に比べコスパが一番高い商品であるといえます。また、もっと掘り下げて「品質」とは何か、まで突き詰めてポジショニングしてみても良いです。たとえば、「身の大きさ」なのか「形の良さ」なのか、「賞味期限の長さ」などもお土産という商材では重要な要素になるかもしれません。ここでは「品質」と「金額」でポジショニングを行いましたが、自社商品が競合と比べて優位になる場所を探すことが目的なので、「この比較項目では弱い」と思ったら次々に比較項目を変えてトライ&エラーを重ね、「ここだ!」と思うポジショニングを行いましょう。
3.まとめ
STP分析は、企業の立ち位置を明確にし、狙った市場で勝負するために有効な分析手法です。ターゲット分析は販促の肝です。商品開発や新事業への参入の際にぜひ取り入れてみてください。また、STP分析で出た結果は社内で共有し、共通認識を持って販促活動を行いましょう。
次回は最後の分析STEP5「4P/4C分析」をレクチャーします。