SDGs|これからのビジネスに必要不可欠な取り組み
今やテレビ番組、雑誌、新聞などでも日常的に目にするようになったワード、「SDGs」。
日本のビジネスにもかなり浸透してきている上に、消費者の認知度も年々高くなっており、SDGsに取り組んでいるかどうかが企業の評価にも影響するほどになってきました。最近では「SDGsに取り組みたい」「SDGsに取り組み始めているが、もっと意味のあるものにしたい」というようなお客様の声も増えてきています。
今回の記事では、理解しておきたいSDGsの基本をまとめていきます。
1.SDGsとは?
2.SDGsを実践する下準備
3.SDGsを実践する
4.取り組みを「見える化」して選ばれる力に
5.SDGsに取り組む際のリスクを理解しておく
1.SDGsとは?
「SDGs(Sustainable Development Goals:持続可能な開発目標)」は、国連で採択された2030年をゴール年とする世界共通の国際目標です。「誰一人取り残さない」という理念のもと、持続可能な世界を目指すための17の目標が設定されています。
ビジネスにもこの17の目標と強い結びつきがあり、企業における旧来のビジネス観に変化が求められています。
自然災害の多発などで、ビジネスの今までの常識は通用しなくなりつつあります。自然災害を含む環境(Environment)、社会(Social)、組織統治(Governance)の頭文字を取って「ESG(イーエスジー)」といわれるこの3つの観点が配慮できていないと、ビジネスの成長を脅かす要因となります。
それは自然災害のように「認識しやすい問題」だけでなく、「認識しづらい問題」も含まれます。低賃金やサービス残業、少子化による採用難、出産育児による女性の活躍機会の損失、労働法令の強化、製品の偽装、などなど…数多くあるこのような「ESG問題」を、ビジネスを通して解決していくことが企業における「SDGsの取り組み」になります。
SDGsの実践において決まった方法はないですが、ESG問題に対して「実際に効果があるかどうか」が重要なポイントとなってきます。企業はSDGsを一過性のブームとして捉えるのではなく、「自社でも取り組める範囲で」「自社らしさを活かした方法で」、ゴールの2030年以降も継続して取り組んでいくことが求められています。
2.SDGsを実践する下準備
いざ、SDGsの実践!…とその前に、大事な下準備を行うことが必要です。
SDGsに取り組むためにまずやるべき事が「古いビジネス観」の断捨離です。固定観念にとらわれたままでいると、ビジネス環境の変化を見逃し、リスク対策が手遅れになる可能性があるためです。
具体的には「うちは○○業なので○○だけすればよい」「仕事は会社でやるもの」「売上が企業価値を決める」「顧客からの評価”だけ”を意識すればよい」「休みを欲しがるのは甘え」「女性は出産育児で辞めるもの」というような考えです。もはやビジネスは、眼前の顧客満足度を追求する単純な営利行為だけでは成り立ちません。また、持続可能なビジネスの実現には従業員の人権の尊重が不可欠です。
次に、古いビジネス観から脱却したところで、自社のビジネス環境と組織の現状をチェックします。
SDGsを実践するには、自社の内外の状況を理解し、SDGsにチャレンジする準備ができているかどうかを知っておく必要があります。変化しつつあるビジネスのトレンドを把握し、その変化に対応できるポテンシャルが自社にあるかどうかをチェックします。さらに、現状の「自社のSDGs度」、「企業理念」「経営計画」をチェックし、従来のビジネスモデルが今後も有効かどうかを多面的に検討していきます。ここまでが「下準備」です。
3.SDGsを実践する
SDGsの取り組みとしてどのようなテーマに挑むとしても、押さえるべきポイントがあります。
まず最初に取り組むべき事は、SDGsの「全社的学習」です。セミナーのようなサービスやツール、イベントなどを用いて社内に浸透させていきます。
リテラシーの向上が図れたら、社内外のESG問題をリサーチし、自社が取り組むべきテーマを決定していきます。ここでは、従来の常識にとらわれず、自由にアイデアを出せる環境作りが重要になってきます。テーマによっては自社だけの解決が難しいものがありますので、専門家に相談しながら進めていきましょう。大きな課題に取り組んでいくというより、限られた影響力の中で最善の努力を尽くしていくことをまずは目指してみます。改善は時間が必要だからこそ、気づいたらチャレンジしていくことが、SDGsを実践していく上で必要不可欠です。
4.取り組みを「見える化」して選ばれる力に
SDGsの実践は自社の自己満足だけで終わるものではありません。実践を適切な形で発信することで、ビジネスをさらに成長させるチャンスをつかむことができます。
取り組み内容を現場レベルで詳細に記録しておき、社外に「見せる化」するのです。
「見せる化」のもっとも基本的な方法が「サステナビリティレポート」の発行や自社メディア、店舗などにおけるSDGsの取り組みの発信です。発信の仕方によっては、販促活動につなげる事もできます。
参考1:イケアのサステナビリティレポート FY20|IKEAhttps://www.ikea.com/jp/ja/this-is-ikea/sustainable-everyday/
参考2:地球と社会 | Unileverhttps://www.unilever.co.jp/planet-and-society/
参考3:サステナビリティ | 株式会社良品計画https://ryohin-keikaku.jp/sustainability/
どれだけSDGsの実践を通じて社会のニーズに応える準備ができていても、「見せる化」ができていなければ、存在しないことと同じです。だからこそ、記録に基づいた見せる化に取り組み、選ばれる力を高める必要があるのです。
5.SDGsに取り組む際のリスクを理解しておく
SDGsの実践は良い行いですが、その実践を掲げている以上、企業にはそれに見合った行動が求められます。社内の重大なESG問題を隠蔽したり、取り組んでいないSDGsの推進を偽装して企業イメージを高めようとしたりなど、このような詐欺的な行為を「SDGsウォッシュ(ウォッシュ=washing:塗りつぶす)」と呼びます。発覚すれば、社会的信用や顧客を失う重大なリスクとなります。
SDGsウォッシュを予防するには、社会から信頼される行動の積み重ねをしていく事、社内のESG問題の抑制に組織的に取り組んでいくことが大切です。役員や従業員個人の自発性にゆだねるのではなく、組織として取り組まなければならないのがSDGsです。企業は安易にSDGsに便乗するのではなく、着実な実績と適切な発信の両立を図ることが求められます。
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ESG問題への取り組みを「建前」として利用する企業は見破られ、本気の経営課題として取り組む企業のみが将来生き残っていける、といわれています。今後はこのように、SDGsに真正面から取り組む企業が優先して選ばれるような動きになってくるため、価格設定を強めに出ても売れる可能性が大きくなる、というメリットもあります。
SDGsは一回挑戦して終わりというものではなく、この先ビジネスをしていく上で大企業・中小企業関係なくどの企業にも必要不可欠な考え方となってきています。
簡単ではありませんが、取り組んでいこう・継続していこうという気持ちを持って、誰一人取り残さない持続可能な社会を、次の世代に受け継いでいく事が今の人類の課題です。
また、企業での取り組みももちろんですが、各家庭での小さなアクションも積み重ねていく事が大切です。