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ユニバーサルデザイン| 全てのひとにやさしいデザイン

弊社のデザイナーは、グラフィックデザインに留まらず、様々なコンペに挑戦しています。現在はプロダクト系のデザインのコンペに向けて動き出そうとしています。取り掛かる上で様々な資料などを見て情報を集めていたら、プロダクトデザインとユニバーサルデザインが密接な関係にあることが分かりました。「モノ」を使ってもらう上で、誰が使っても利便性が高いことは今やプロダクトデザインの基本となっているようです。誰もが知っている消費財化メーカーの「花王」は1970年ごろからユニバーサルデザインについて意識していたようで、公式サイト内にまとめたページがありました。どの商品も誰もが使いやすいだけでなく、商品を使う際に楽しめる工夫などもなされていて興味深かったので、ぜひご覧ください。

花王 | UDの取り組みの歴史
https://www.kao.com/jp/corporate/sustainability/topics-you-care-about/universal-design/initiatives-history/

 

ユニバーサルデザインを調べていく中で、グラフィックの領域にも転用できそうなの要素があることを知ることができました。今回は大きく3つに分け、事例も交えつつ紹介していきたいと思います。

1.カラーユニバーサルデザイン
2.UD(ユニバーサルデザイン)フォント
3.パッケージデザイン
4.まとめ

 

 

1.カラーユニバーサルデザイン

まずは、以前のコラムでもご紹介したカラーユニバーサルデザイン。前回はカラーユニバーサルの定義について説明しましたが、今回は実際にカラーユニバーサルが配慮されている事例をご紹介します。

カラーユニバーサルデザイン|誰もが見やすい広告づくり
https://s-modern.com/column/2090/

 

「三菱鉛筆」の水性マーカー「プロッキー」の「うすピンク色」は、8色セットのうちの1色であり、その中でも壁新聞づくりや工作で使われるなど主に小学生に人気の商品です。三菱鉛筆さんはその小学生というターゲットの特性について着目しました。子供たちに人気の配色として水色×ピンクが挙げられます。従来の「桃色」のインクは少し紫がかった色味で、水色のインクと合わせて使うと色弱者にとって視認性が悪くなってしまいます。そこで、色弱者の意見を参考にしたり、製作と測色を重ね、少しオレンジによった現在の「うすピンク色」にインクの色を改良しました。ピンクらしさを残しつつ、水色と合わせて使ってもしっかり区別が付きます。より愛される商品になるよう、使用するターゲットの特性と色弱者の特性をしっかりと考え試行錯誤した、企業の努力が垣間見える事例でした。

 

 

2.UD(ユニバーサルデザイン)フォント

私たちが普段から見ている「文字」にもユニバーサルデザインが施されたフォントがあるのはご存知でしょうか?目の不自由な方も含め、より多くの人が読みやすく、誤読されにくいよう考慮された書体でUD(ユニバーサルデザイン)フォントと呼ばれます。「イワタ」や「モリサワ」など複数のフォントメーカーが作成しており、 明朝体・ゴシック体など種類も豊富です。日常では駅や食品の表示、教科書などさまざまな生活の場に浸透しつつあります。「モリサワ」はUD書体の定義として「文字のかたちがわかりやすいこと」「文章が読みやすいこと」「読み間違えにくいこと」の3点を挙げています。その過程では、“小サイズですべての文字が問題なく判別できること”をひとつの基準として、ベースとなる書体の各文字が見直され、繰り返しUD書体のコンセプトに適合しているかどうかを検証したそうです。文字の中の空間を広くとったり、濁点を大きくしたりすることで、上記3点を達成し、誰もが不自由なく読むことができるフォントが完成しました。

 

 

また、「ユニバーサルデザインに気を遣いたいけどUDフォントを持っていない…。」という方は極力ゴシック体を使用するよう心がけましょう。明朝体は線の強弱やハネ・はらいなどがあり、視力の悪い方や視覚過敏の方が見ると細い部分が認識しづらく、視認性が下がってしまいます。ゴシック体を使用する際も、見出しは太くする・本文は細くするなどの強弱を付けることが大事です。本文に太すぎるゴシック体を使ってしまうと文字が潰れてしまう恐れがあるからです。

文字は情報を与える中で一番重要事項です。販促物・資料など、たくさんの方に情報を伝えたい場合にUDフォントを意識してみてはいかがでしょうか。

 

3.パッケージデザイン

最後はパッケージデザインについてです。こちらは手触りや使いやすさを重視する点で、プロダクトデザインのユニバーサルデザインと近しいものを感じました。例えば、皆さんが普段から飲んでいる牛乳パックの上部に「切り欠け」があるのはご存知でしょうか?このくぼみが実はユニバーサルデザインなのです。これがあることで、目が不自由な人でも「これが牛乳である」と容易に判断することができます。また、これは生乳100%のものにしか施されていません。低脂肪乳や加工乳との差別化も図ることができるのです。また、切り欠けは開け口とは反対方向に施されているので、開け口がどちら向きかを伝えることも実現しています。パッケージの一部分を欠けさせる一手間でこんなにたくさんの役割を担っており、こういった細かい配慮がものづくりには欠かせないということがいえます。

もう1点、街で発見した秀逸なパッケージデザインは「ファミマソックス」のパッケージ。こちらはコンビニエンスストアの「ファミリーマート」が2020年より展開しているアパレルブランド「コンビニエンスウェア」から発売されており、絶大な人気を誇っています。こちらはパッケージが透明で、商品の色・形が直感で分かるだけでなく、商品の情報が全面に羅列されており色名もしっかり表記されており、上記したカラーユニバーサルデザインもクリアしています。また、その表記方法がひらがな・カタカナであることも更に認識しやすく、たくさんのユーザーが手に取りやすいという観点からグッドデザイン賞も受賞しています。個人的にも、ファミリーマートで陳列されているのを見かけた際、「分かりやすい!」という第一印象を抱きました。スタイリッシュに見せようとして色名や情報を英語で表記したりすることで情報が伝わりにくいデザインも多い中(企業ブランディングなどでそのようなデザインがあることも大事ですが)、コンビニエンスストアという老若男女が利用する場所でどんな方にも伝わるよう、余分なデザインを削ぎ落としつつスタイリッシュに昇華している事例です。今後もどんな商品展開がなされていくのかとても楽しみです。

4.まとめ

今回はグラフィックデザインにも活用できるユニバーサルデザインについてご紹介しました。普段から様々なデザインを制作していますが、つい誰の目に触れるかをおろそかにしてしまいがち。本当に見やすいか?誰にも伝わるか?を意識していきたいなと改めて感じました。また、序盤で述べたプロダクトのコンペの構想を練る際にも、ぜひユニバーサルデザインを盛り込んで「誰もが使いやすいモノ」を制作できるよう進めていきたいです。