投稿日:|更新日:

広告研究|新時代に” バズった“広告とその起因

広告を制作したり、SNSで情報を発信したりしていると、一度は誰もが「バズりたい!」という衝動に駆られたことがあるのではないでしょうか?狙って何かをバズらせるということはなかなか難しいですが、バズる広告には必ず何かしらの理由があるはずです。今回は、筆者の観点からバズった広告を分析して、話題性を生む広告を作るヒントを見出していこうと思います。
ここ近年、デジタル媒体の普及により「バズマーケティング」という概念が誕生しました。主にSNSを使用して、ハッシュタグを用いたキャンペーンや、インフルエンサーを起用して商材を戦略的にアピールしてもらう手法です。バズマーケティングを生業とした企業もあるそうです。今回はバズらせるためにコストをかけたり、先述したものに頼っていない、クリエイティブの力やアイデアの力などでバズっている事例をピックアップしました。

 

1.デジタル媒体を皮肉った紙媒体のバズ広告
2.コロナ禍ならではのバズ広告
3.バズりやすい媒体が増えてきている?
4.まとめ

 

1.デジタル媒体を皮肉った紙媒体のバズ広告

まずは株式会社キンチョーさんの新聞広告です。キンチョーさんは過去にも超難関折り紙広告を掲出したり(完成させると皆さんの大嫌いな黒いアレになります)、特に新聞広告にこだわりを持っている印象を受けます。今回ご紹介する広告の内容を見てみると、インターネットが普及している今、あえて新聞広告がいいよねというデジタル広告へのアンチテーゼとなっています。以前紹介したデジタル媒体の特徴やメリットで紹介したパーソナライズやクリック数等が数字で見えるということを皮肉るような記載をしつつもinternet/daisukiというアドレスの特設サイトも用意されており、QRを読み込んでみるとそのサイトのデザインはインターネット黎明期のようなノスタルジーを感じるものになっています。このデザインは刺さる人にはとてもに刺さるということで話題を生みました。
デジタル媒体が普及している中、あえて新聞広告のクリエイティブに力を注ぎ、それでありながら最終的にしっかりとユーモアのあるインターネットのコンテンツに誘導するという落とし込みがあるところに、新聞広告・デジタル広告どちらにも話題性を生むしかけがあり、バズるための要素を秘めた広告であると感じました。キンチョーさんのサイトでは過去の新聞広告をまとめたページがあります。どれも面白いのでぜひチェックしてみてください。

 

 

 

キンチョー新聞広告

 

また、上記で紹介したデジタル媒体の特徴やメリットを紹介した記事も併せてご覧ください。

広告媒体の種類と特徴・効果的な活用方法|デジタル広告編

 

2.コロナ禍ならではのバズ広告

次は株式会社サイボウズさんの新聞広告です。この広告が打たれたのは2020年3月。全国で1回目の大規模な自粛が起こりはじめたニューノーマル時代の幕開けとなった時期です。社会の情勢が変わり戸惑う中、追い打ちをかけるようにその時期まだ未知だったテレワークを推奨する動きも現れはじめ、右も左も分からない企業が多い中このメッセージが発信されました。その内容はサイボウズさんは10年前からテレワークを実施しており、そのノウハウを活かして「出社=感染リスクが高まる」ことを踏まえてテレワークのメリットを語ったり、テレワークに関する相談も受け付けたりすることで日本の多くの企業がテレワークに移行することへの抵抗を和らげるというものです。そして、TVCMへと連動してコロナ禍が終わったあともテレワークを継続させる呼びかけをすることで、「新しい働き方をしよう」という訴えを伝えています。
当時、この先一体どうなってしまうんだろう?という空気感が国全体を漂う中、「がんばるな、ニッポン。」という「え、がんばらなくていいの!?」と思ってインパクトあるキャッチコピーでどんな広告なのかと心を掴み、自社の経験を活かして世の中に救いの手を差し伸べる内容が読むと分かるという受け手を引き込む広告構造が面白いと感じました。ニューノーマル時代の状況・人々の心理を把握したからこそ話題になった広告の良い例です。

 

 

 

 

3.バズりやすい媒体が増えてきている?

近年東京を中心に今までに見たことのない広告媒体が設置されています。まずご紹介する「新宿ウォール456」はその名の通りなんと横幅が45.6mもあるデジタルサイネージで世界最長だそうです。さまざまな企業がPRにこの媒体を起用していますが、インパクトの大きさからSNSで拡散されているのが見受けられます。とても横長のサイネージなのでこの媒体ならではの表現なども可能で、クリエイティブの幅も広がりそうです。次に、中国で3Dと錯視を駆使し立体感のある映像を映し出す屋外ビジョンが話題になりましたが、2021年7月、とうとう日本にも同じ技術を駆使したものが設置されました。こちらも東京新宿にある「クロス新宿ビジョン」。7月1日からの仮放映期間には巨大な猫が突如町中に現れ大きな反響を呼びました。
このように、媒体自体のインパクトの大きさや、もの珍しさで(もちろんクリエイティブの技術もすごいですが)バズるという現象が近年とても多くなっていると感じます。今後さまざまな企業が、どのような広告を打ち出していくかとても楽しみですし、他にも真新しい媒体がどんどん日本に上陸して街中がユーモア溢れる広告で埋め尽くされていってほしいですね。

 

 

 

4.まとめ

今回自分なりに分析してみて、これまでバズること=むやみにただ面白いアイデアを考えよう!という頭でいたのですが、それだけでなく社会情勢や技術の発達などもバズる要因に関わってくるということがわかり、時代に合ったアイデアや掲出する場所を考えることで、消費者の受ける印象を変えることがバズることへのカギになるのではでしょうか。そのためには最新の情報にアンテナを張り続け、それをうまく汲み取って落とし込んでいくことが大切です。