人物の写真を活用して訴求力の高い販促を
人間の脳には「顔の認識」だけを専門に行っている領域があるのをご存知ですか?
「紡錘状回顔領域」と呼ばれ、脳のこの領域が顔の知覚に特化していることによって、顔を他の物体の情報よりも素早く瞬時に識別できるようになっています。
ある研究によると、生後1時間未満の新生児でも顔の特徴を備えたものを見たがるそうですよ。
また、「脳が顔の認識を優先する」という法則を利用して、歩行者や対向車が存在をすぐ認知できるよう、自動車メーカーによっては二つのヘッドライトを人の両目に見立てて車に表情があるかのようにデザインしている、という説もあります。
以上のことを広告・販促に置き換えて考えてみると、ポスターやチラシ、WEB広告などで人間がまず目線を向けるのは、テキストや物の写真などよりもまず「人間の顔」です。ただ、だからといって人の顔があれば訴求力が高い、というわけではなく、あくまでも「目が向けられやすい」というだけです。たくさんの広告が掲載されているような場所で文字だけの広告と比較したら、人の顔がある広告の方が目にとまりやすくなる確率は上がるかもしれませんが。
では、人物の写真を活用して、より訴求力の高い広告・販促にするにはどうしたらいいでしょうか?いくつかの手法をご紹介します。
1. 3Bの法則を活用する
2. 関係者・利用者の写真を活用する
3. 権威付けを活用する
4. まとめ
1. 3Bの法則を活用する
「3Bの法則」とは、広告・販促の制作において以下の「3つのB」を用いると、好感を持たれやすくなるという法則のことです。
❶美人(Beauty)
❷赤ちゃん(Baby)
❸動物(Beast)
❶の「美人(Beauty)」は、「美人な女性」のこと。「美」は人を惹きつけます。外見だけではなく内面的な美しさを表現した写真を用いれば「憧れの存在」となり同性異性問わず興味を惹きつけられるものになります。ファッションブランド、化粧品メーカー、美容サロンなど、特に「美」を取り扱う業界はこの効果を広告・販促に利用してブランドイメージの向上を図っています。
安心感を与えたい場合は❷の「赤ちゃん(Baby)」の写真を使うといいでしょう。以前こちらのコラムでも取り上げた「ハロー効果」の中のひとつに「ベビーフェイス効果」という心理現象があります。「丸い顔」「童顔」といった、赤ちゃんのような特徴を持つものに対して、人は親しみや安心感を抱き警戒心を解く、という心理現象を利用するのです。自動車メーカーが「こども店長」という名称をつけ子役を起用した、一昔前のあのテレビCMはその効果を狙っていると言えます。
❸の「動物(Beast)」は今回のコラムテーマから少し逸れますが、動物を起用する事で、イメージアップ・親近感を持たせることができます。これも一昔前ですが、消費者金融がテレビCMで愛らしいチワワを登場させ一躍有名になり、企業のイメージアップに成功した例もあります。
2. 関係者・利用者の写真を活用する
たとえば、スーパーでたまに目にするのが、私たちがつくりました!というPOPの付いた「生産者の顔」がわかる商品。生産者の生き生きとした笑顔の写真が添えてあればまず、親近感を抱かせることができますし、「顔出しをしているんだから余程商品に自信があるんだな」「顔出しをしている以上不正や悪いことはしないだろう」と消費者に潜在的安心感を与えられます。特に日本の消費者は安全性・品質に厳しい目を持っているのため、そのような工夫をすることで商品を選んでもらえる可能性は高くなります。
また、同じく効果を発揮するのが「実際の利用者の顔」。口コミをただ文章で掲載するよりもでっちあげや不正をしにくいため、写真を添えた方がより説得力が上がります。
3. 権威付けを活用する
商品・サービスのイメージを向上させる手法に「権威付け」というものがあります。
食品であれば「モンドセレクション金賞」、プロダクトであれば「グッドデザイン賞」といった受賞歴を主張したり、「顧客満足度No.1」「リピート率90%」など、数値化したデータを用いたりして消費者の不安を払拭する手法を「権威付け」といいますが、写真を活用して権威付けを行うことも可能です。
❶知名度の高い人物を起用する
有名人・著名人、業界で名前を知られている人の推薦文やコメントとともに写真を掲載します。最近よく見かける、インフルエンサーによるPRや口コミ、芸能人が愛用している写真を掲載することも権威付けの手法のひとつです。
❷専門家を起用する
専門的な知識を持った研究者たちや、医療関係者などの専門家による評価や推薦とともに写真を掲載します。栄養管理士の監修を謳い文句にしているお弁当の広告などもこれに当たります。メディアの露出が激しいような人物でなくとも効果があります。
4. まとめ
広告・販促における「人物の写真活用法」をご紹介しました。
当然ですが、ターゲット層や製品・サービス特性によって有効な手法は異なります。写真を使用しない方が良いパターンももちろんあります。
マーケティング分析や効果測定なども行い、最適な広告・販促を練っていきましょう。