中小企業向け|売れる商品をつくる為に必要な3つのこと
同じような商品が溢れる中で、売れる商品をつくることは容易ではありません。しかし見え方や考え方を少し変えるだけで、売れる商品になるヒントを掴めるかもしれません。今回は売れる商品をつくる為に必要な3つのことを紹介したいと思います。
1.商品の用途を細分化する
2.顧客の可能性を探る
3.適正な価格と生産量の関係を見極める
4.今回のまとめ
1.商品の用途を細分化する
商品の用途を安易に捉えていると、商品の可能性を潰してしまうことがあります。例えば、アウトドアの際に使う飯盒であれば「ご飯を炊く」のような、ひとつの用途に囚われてしまいがちです。そうなると商品の性能や機能が狭まってしまい、他社の商品との差もなくなり埋没してしまいます。そもそもご飯を炊くだけでは、商品の個性を引き出すこともできずに開発し難くなるのは確実です。そういった時に商品の用途を細分化することで、今まで見えていなかった特長が出てきたりします。飯盒で売れた事例を紹介します。トランギアメスティンは、ご飯を炊くという用途では他社の飯盒と変わらないのに、何故爆発的に売れたのか?その理由が商品の用途を細分化したからなのです。従来の飯盒の用途ではなかった煮る、焼く、蒸すなど、どんな調理にも対応でき、キャンパーの需要とマッチしキャンプ飯の可能性を引き上げました。ユーザーのレシピを集めたメスティンレシピという書籍が出るほどです。ご飯を炊く→万能の調理道具となれば、市場でこの差は明らかです。今回の例でも分かるように、自社で考えるだけでなくユーザーの意見を聞いてみるのも良い方法です。弊社でも商品開発をする際に、以下のような手法を行います。
手法1 顧客の視点 例:インスタグラムでのモニター調査など
手法2 売り場の視点 例:販売店の調査、販売員との意見交換など
手法3 競合の視点 例:他社分析(商品背景、ターゲット調査など)
本来の企画開発とは違う使われ方をしている可能性もあるからです。その他にも商品の用途を細分化するメリットとして、まだその用途を満たす商品が市販されていないというケースがあり、潜在的な需要を掘り起こす上でも有効な方法です。
2.顧客の可能性を探る
商品によっては値段に変えられない価値があります。趣味性が強く、ハマる、マニア、沼など顧客に支持され、価値を高めていきます。例えば、スポーツカーやカメラ、美容器具や調理器具など、自分の期待を最大限に引き出してくれる商品なら、いくらでもお金を出すという人もいるでしょう。でもそんな市場ではヒット商品にはならないのではないか?そんな疑問が生まれると思います。結果、ヒット商品は生まれません。しかし顧客をニッチ層に向けた商品群の売り上げ合計がヒット商品の売り上げを上回る「ロングテール」という現象があります。ニッチではあるが確実な顧客がいて、市場規模は小さいが競合も少なく継続的な需要が見込めます。また一つ一つの売り上げ規模は小さいものの、合計すると大きな売り上げになるという考え方です。ここでの考え方は、価格競争に陥るリスクを極力減らしながら、最高の商品を求める顧客に最高の技術で応える。ものづくりの醍醐味を感じることができます。自分たちが培ってきた商品や技術を、今一度、見直してみましょう。意外なお宝が埋もれているかもしれません。
3.適正な価格と生産量の関係を見極める
大量生産、大量消費の幻想は捨てた方が良いです。それで生き残れるのは一部の大手企業だけです。「良い商品を安く提供することで、お客さんが満足している」一見企業の良い心意気を感じるのですが、お客さんの満足は「安く提供する」というところだけで、他社がさらに安い商品を出したらその満足は消えてしまうかもしれません。そもそも安く提供しているということは利益が少ないということです。利益が少なければ、商品プロモーションにかける費用も少なくなり、当然次の商品開発費も少なくなります。大量生産、大量消費は高度成長期、物が不足している時代にはマッチする思想でしたが、しかし今は「良い商品」の基準が多様化しており、いくら良い商品でも、皆と同じような大量生産商品を好む人は少なくなっています。ここで必要なのが適正な価格と生産量の関係です。大規模な生産ラインをいきなり作るのではなく、小さく始めてみることが大切です。無駄をできるだけ排除した形で実行し、成功と失敗から自社独自のノウハウを蓄積し、パターンが見えてきた後で規模を大きくしても遅くはありません。価格面も大企業には敵わないなら、争わなければいいのです。1.2で話したことを実践し、まずは市場を絞ることをオススメします。
4.今回のまとめ
売れる商品を考える時に、強みにばかり着目しがちですが、弱みの中にも商品にとって武器となるものがあります。一度自社の商品を見つめ直しませんか?