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ユーザーインサイトとは?顧客の本音を解析して販促に活かす方法

この10年でよく耳にするようになった「ユーザーインサイト」。その意味や重要性を正しく理解していますか?

Webマーケティングや販促活動の効果を高めるためには、ユーザー(お客様)についてより深く知ることが大切です。そのために活用すべきなのがユーザーインサイトです。

この記事では、ユーザーインサイトとは何か、その重要性や解析方法と注意点をご紹介します。

ユーザーインサイトにしっかり向き合うことで、あなたが知らなかったユーザーの「本心」を見出すことができるかもしれません。

1.ユーザーインサイトとは

インサイト(insight)は「洞察力」や「物事の本質を見抜くこと」を意味します。つまり、ユーザーインサイトとは、「ユーザー自身ですら気付いていない、心の中にある本音」のことです。

たとえば、ある商品を購入するためにWebサイトを訪れたとき、何か明確な意図を持って行動しているときもあれば、なんとなくそのときの気分で行動していることも多いのではないでしょうか?

ユーザー本人が無意識のうちにおこなった「なんとなく」の行動にも、ユーザーの心理や潜在的なニーズが隠されていることがあるのです。

ユーザーインサイトを的確に把握できればユーザーの隠れたニーズにも応えることができ、販促・マーケティング活動やWebサイトの改善に活かすことができるのです。

ユーザーインサイトとニーズとの違い

ユーザーインサイトとよく比較混同されるのが、「ニーズ(needs)」です。ニーズは「欲求」や「需要」を意味し、ユーザーが具体的に必要としているものや解決したい課題を指します。

ニーズは比較的表面に現れやすくユーザー自身が自覚している場合が多い一方で、ユーザーインサイトはもっと無意識化にあるものなので、ニーズよりも深い領域に存在します。

ユーザーインサイトを理解することで、単にニーズを満たす以上の価値を提供しユーザーの共感を得ることができます。

2.ユーザーインサイトの重要性

ある商品を売るためにWebサイトやチラシを制作するとき、自分たちが伝えたい思いや商品の強みだけを押し出していたのでは、ユーザーの欲求とずれていて受け入れられない可能性があります。

ユーザーに興味関心を持ってもらうためには、ユーザーの行動や心理をできるだけ明確に捉えて、自社の商品の価値や効果を伝えなければいけません。

ユーザーインサイトを解析し、ターゲットユーザーが求めているものを把握することで結果的に集客や売上向上に繋げることができます。

また、潜在的なユーザーの心理を理解することで、新たな事業のアイデアやビジネスチャンスを得られるケースも少なくありません。

3.ユーザーインサイトを解析する方法

ユーザーインサイトを解析するにはユーザーからの情報を集めることが大切ですが、ユーザー自身の無意識な行動を可視化しなくてはいけないので容易ではありません。

さまざまな観点からデータを集めて、ユーザーの傾向を把握していくことが求められます。

ユーザーインサイトを知る手段として一般的な5つの方法をご紹介します。

アクセス解析

Googleアナリティクスを始めとするアクセス解析ツールは、Web上でのユーザーの動きの把握に役立ちます。

Google Analyticsの画面のスクリーンショット

・ユーザーの属性(性別・年齢・使用デバイス)
・閲覧ページ
・滞在時間
・流入経路
・遷移や離脱状況
・コンバージョン数
などを解析できます。

ユーザーがどのページに多く訪問しどれだけの滞在時間なのかを把握できたり、コンバージョンに到達するまでの経路を分析したりすることで、より効果的なWebサイトの制作や改善に役立てることができます。

Webサイトの運営には欠かせないツールです。

ヒートマップツール

ヒートマップツールはWebサイトやアプリのユーザー行動を可視化するためのツールです。

ヒートマップツールのスクリーンショット

・ユーザーがよくクリックする部分
・スクロールの深さ
・マウスの動き
などが視覚的にわかるので、ユーザーの興味関心を引いているコンテンツとスルーされているコンテンツを直感的に理解できます。

1ページ単位で情報を解析していくツールなので、Webサイト全体のパフォーマンスを知るには前述のアクセス解析と組み合わせて使うのが一般的です。

ヒートマップツールで代表的なものは、Sitest、ミエルカなどがあります。Microsoft社が提供しているClarityは無料で使えるため、多くのWebサイトで活用されています。

インタビューやアンケート

前述のアクセス解析やヒートマップツールと違い、ユーザーの生の声を収集できるのがインタビューやアンケートです。データ分析だけでは掴めないユーザーの背景や動機への理解を補完することができます。

データの収集方法は利用者に直接伺うこともできますが、インターネット調査会社に依頼する方法もあります。

ただし、インタビューやアンケート結果には質問の仕方や選ばれたユーザー層によって偏りが生じる可能性があるので注意が必要です。

少数のインタビュー結果やアンケート結果を鵜呑みにすると、誤った解釈をしてしまわないようにしなければいけません。

集めたサンプルが限定的な場合は追加調査をしたり、他のデータも参照して全体像を把握するようにしましょう。

Q&Aサイト

「Yahoo!知恵袋」や「おしえてGoo!」など、人々の質問や悩みを投稿するサイトもユーザーインサイトの把握に役立ちます。

Yahoo!知恵袋のTOPページのスクリーンショット

ユーザーが自発的に質問や回答を行う場なので、ユーザーが抱える悩みがリアルタイムかつ自然な形で表現されるのが特徴です。

商品やサービスに対する具体的な評価やユーザーが感じている価値、改善希望などが読み取れたり、競合商品に関する比較もされていることもあるので、自社のポジショニングを見直す参考になります。

インタビューやアンケートと同様、部分的な意見に依存しすぎないことが大切です。

ソーシャルリスニング

ソーシャルリスニングとはXやInstagramなどのSNSやオンライン上の投稿をデータ収集・分析しユーザーの意見や感情を把握する手法です。

問いかける(Asking)のではなく、自然な会話を傾聴する(Linstening)ことで、ユーザーの本音を把握します。アンケートやインタビューと違い、ユーザーが自然に発する感情や意見を集められるので、より率直なインサイトが得られます。

ソーシャルリスニングは、積極的に発言するユーザーや特定の層に偏りがちなので、得られたデータが全体のニーズを反映しているか、信頼性の高い情報か、を慎重に判断しなくてはいけません。

4.ユーザーインサイトを活用する上での注意点

最後に、ユーザーインサイトを自社マーケティングや販促活動に活用する際に注意すべき点をお伝えします。

部分的なデータを鵜呑みにしない

ユーザーインサイトのデータが特定のユーザー層に偏っていたりサンプルが少ない場合、誤った判断を招くリスクがあります。

得られたデータが代表的なものなのかを慎重に判断し、複数のデータソースを組み合わせて総合的に判断することが大切です。

表面的なインサイトに捉われないようにする

ユーザーが発する意見の背後に、根本的なニーズや課題が潜んでいることがあります。言葉にされた表向きのリクエストにそのまま応えるのではなく、その背景にある本当のニーズを掘り下げて考えていくことが重要です。

まずは試験的に導入する

ユーザーインサイトから得た改善点やアイデアは、いきなり全体に適用するのではなく、まずは小規模でテストを行い効果を確認するのが理想的です。

また、ユーザーの声を重視するあまり、過剰に反応してあらゆる要望に応えようとすると自社の商品やサービスの方向性がブレてしまう原因にもなります。

ユーザーの意見を冷静に解釈し、自社のビジョンや戦略に基づいた意思決定をしましょう。

まとめ


ユーザーインサイトを理解することで、ユーザーのニーズに沿ったメッセージやコンテンツを提供できるようになり、マーケティング効果の向上が期待できます。

ただし、ユーザーインサイトのデータを正しく分析し解釈するには、一定のマーケティングスキルが必要になってきます。社内にマーケティング担当者がいない場合は、外部委託することも検討すべきかもしれません。

企業が商品価値をただ伝えるのではなく、商品によってどう生活の価値を高めるのかを伝える時代です。実際、ターゲットのインサイトを身を持って知らないことには、本当の意味でニーズを満たせないからです。

ユーザーに支持されるために、ユーザーの「本心」をよく知り、寄り添える存在を目指していきましょう。