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今さら聞けない!ブランディング講座4 ペルソナ・ジャーニーマップ

いよいよ「今さら聞けない!ブランディング講座」も最終回をむかえました。1回目では「ブランド」「ブランディング」の定義について、2回目では「ブランドの提供価値」について、そして3回目では企業が思う品質と生活者が感じる品質にはズレがある、「知覚品質」についてお話しました。詳しくは第1回目コラム「今さら聞けない!ブランディング講座 その1―ブランディングって結局何ですか?―」と、第2回目コラム「今さら聞けない!ブランディング講座 その2―ブランド提供価値―」、第3回目コラム「今さら聞けない!ブランディング講座 その3―知覚品質―」をごらんください。今回は、ブランディングの領域からよりマーケティング色の強い実践的な内容として「ペルソナ」「カスタマージャーニーマップ」ついてお話します。

1.  ペルソナとは何か?
2. カスタマージャーニーマップとは?
3. 今回のまとめ

ペルソナとは何か?

ペルソナとは「典型的なユーザー像」のことを言います。本来ペルソナ(Persona)とは心理学の用語で、スイスの心理学者カール・グスタフ・ユングが提唱した概念です。もともと劇で役者が使う「仮面」を意味しますが、ユングは「人間の外的側面・自分の内面に潜む自分」をペルソナと定義しました。マーケティングの世界では、この「仮面の自分」という考え方を発展させて「架空のユーザー像・人物モデル」という意味で使われています。設定の仕方は実際にその人物が実在しているかのように、年齢、性別、居住地、職業、役職、年収、趣味、価値観、家族構成、ライフスタイルなどリアリティのある詳細情報を組み立てて設定していきます。また、マーケティング用語の中に「ターゲット」という言葉もありますが、基本的には同じですが、人物像をより深く掘り下げて設定するのがペルソナだと思ってください。簡単に一例を表にまとめてみました。

基本的に同じ意味として捉えられるターゲットとペルソナですが、並べて比較してみるとこんなにも差があることがわかります。ターゲットとは違い、ここまで細かく設定するのがペルソナです。なぜそんなまわりくどいことをするのか?と思われる方もいると思いますが、架空の人物をより具体的に作り上げることで、より具体的なアイデアが出しやすくなったり、判断に迷ったときの指針になったりするというメリットがあります。「この人物はきっとこんな生活をしているから、この商品が求められているはず」と想像力を促進させます。また、ペルソナは第2回のブランディング講座で話したブランドターゲットとも違いますから、キャンペーン毎にペルソナを設定したり、複数設定して比較したり、様々な使い方ができるのも特徴です。

カスタマージャーニーマップとは?

カスタマージャーニーマップとは「顧客が商品・サービスとのかかわりの中でたどる一連のプロセスを視覚化したもの」と言われています。もっと簡単にいうと、お客さんがそのブランドに触れるのはどんな時で、それぞれどんな施策を行うとより良いかを図式化したもの。カスタマージャーニーマップを作る目的は、時系列で顧客の行動・思考・感情を可視化し、課題を見つけ改善策を探すことにあります。先程あげたペルソナを活かし、とあるスーツ屋さんを例にして考えてみましょう。

・好きなモデルがSNSで着ている服を見て興味を持つ。
・ブランドのサイトを見て、他ブランドや商品との比較検討もしつつ詳しくリサーチする。
・ショップに行って、実際に試着してみる。
・気に入ったので購入する。
・実際に着用して生活する。
・着用した姿をSNSにアップする。

といったユーザーの行動から追っかけて、この時々でユーザーはどんなことを思うだろうか?ユーザーの立場からこの時点での問題や課題は何だろうか?を洗い出し、最後にそれぞれの課題を解決するためのアプローチ方法は何かを考えるといった手順で組み立てます。ユーザーは、「認知」から「購入」の中でどれか一つのステージでも「違う」と思えば、離脱してしまう可能性が高くなります。例えば、試着したときに「ちょっとイメージと違ったかも」と思えば、購入に至らない結果となるでしょう。一方で、こうした「顧客が期待する体験」と「現状の体験」の間でギャップが生まれている箇所に気づき、改善することでブランド体験の価値を高めることもできます。

今回のまとめ

今回は、ブランディングを通じて規定してきたブランドの提供価値を基に、より実践的なマーケティング手法についてお話しました。ブランディング講座でなぜマーケティング?と疑問に思う方もいるかも知れませんが、それは私達スズキモダンが、ブランディングとマーケティングを切り離して考えていないから。ブランディングとはマーケティングの川上の存在であり、つながっていると認識しているからです。第1回講座でも触れましたが、ブランディングはロゴを作ってお終いではありません。しっかりと提供価値を規定したとしても、そこで終わっていたらまるで役に立ちません。せっかく立ち上げたブランドです。売れなくては意味がない。クライアントの商売の役に立ってはじめてブランディングの価値が生まれます。ブランディングについてお困りな方がいらっしゃいましたら、ぜひ私達にご相談ください。

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「今さら聞けない!ブランディング講座 その2―ブランド提供価値―」
「今さら聞けない!ブランディング講座 その3―知覚品質―」