デザイン制作|進行管理における4つの手順
新規プロジェクトの担当・管理者に任命された!でも何から始めればいいかわからない…チームメンバーをまとめられる自信がない…そんな不安を抱える方も多いのではないでしょうか。初めて進行管理を任された方や、以前任されたプロジェクトで思うように進められず苦労した経験がある方へ、プロジェクト進行の基本的なステップをわかりやすく解説します。
これらの手順を踏むことで、チーム全体が一丸となって目標に向かって進むことができます。また、デザイン制作の分野では、柔軟なアイデアと実行可能な計画のバランスが特に重要です。明確な目標と、具体的なアクションプランを持ってプロジェクトに臨むことが、成功への鍵となります。
1. 目的を明確にする
2. 実行計画を立てる
3. スケジュールの作成と指差し確認
4. 進捗の共有は定期的に
5. まとめ
1. 目的を明確にする
まず最初に、何を実現するためのプロジェクトであるかを整理しましょう。最終目的を明確にすることで、何に向かって進めば良いかをプロジェクトのチームメンバー全員で改めて確認し、足並みを揃えます。
デザイン制作では、アイデアを形にするために、まずはターゲットとそのニーズを深く理解することが重要です。プロジェクト開始前に市場調査を行い、このプロジェクトは誰のために・何のためにやるのかを明確にしましょう。また、競合の分析を通じてどのようなデザインが受け入れられやすいのかをここで把握しておくことも大切です。
目的が明確になったら、次にそれを実現するための手段を考えます。
手段というのは、具体的な制作物のことです。目的を達成するために一番有効な手段は何かをプロジェクトチームで話し合って決めましょう。
2. 実行計画を立てる
何を制作するかが決まったら、次に制作物の作業工程を具体化しましょう。最初から細かく決める必要はありません。まずはざっくりとした大まかな作業工程を書き出してみましょう。
たとえば、何らかの印刷媒体を制作する場合
①制作物の内容決定 → ②撮影 → ③制作 → ④確認 → ⑤校了 → ⑥印刷 → ⑦納品
というように、大枠の作業工程をプロジェクトの進行管理側で把握しておきます。そのうえで、下記のようにそれぞれの作業内容を細分化していきます。
たとえば「撮影」を細分化すると、
・カメラマンの手配
・撮影スタジオの決定/手配
・モデルの選定/手配
・撮影商品の管理
・撮影当日の撮影ディレクション(ポーズやシーンのイメージ設定)
・撮影に必要なもの手配(衣装や小道具など)
など、チームメンバーと確認しながら作業内容を細かく分けていきます。この時、なるべく作業工程は細かくし、抜けや漏れの無いように気をつけます。クリエイティブディレクターやデザイナーなどプロジェクトのメンバー全員で作業工程を共有しておくことが重要です。またこの段階でプロジェクトの実行に必要な人材やツール、協力会社などの選定を行い、効率的な作業フローを計画しましょう。
3. スケジュールの作成と指差し確認
ほとんどの仕事には「締め切り」がありますよね。その期日を守るために、スケジュールを逆算して立てる必要があります。スケジュールの作成は、作業工程が多ければ多いほど細かくなり、思いのほか時間がかかるかもしれません。しかし、スケジュール管理はプロジェクト成功への「カギ」です。ここを疎かにしてしまうと、プロジェクトが進行し始めてからトラブルが発生した場合の軌道修正は容易ではありません。時間の許す限り丁寧に作成しましょう。
スケジュール作成のポイント
初めてのことが多くて何にどれだけの時間がかかるかわからない…そんな時は経験者に意見を聞きましょう。チームメンバーや社内にわかる人がいなければ協力会社や取引先に聞いてみるのも良いでしょう。絶対にやってはいけないことは、未経験の作業のスケジュールを勘や憶測で見積もることです。思ったより時間がかかり、スケジュールが押してしまった…となっては取り返しのつかない事態になりかねないため、根拠の無いスケジューリングは避けましょう。
誰が何をするか、指差し確認
スケジュールが完成したらチームメンバーに作業を振り分けます。「誰が」「何を」「どのように」「いつまでに」をメンバー全員で指差し確認します。ここではメンバーがそれぞれ何をする担当なのかを全員で共有することが重要です。作業量の偏りを防いだり、プロジェクト開始後に進行が遅れているメンバーがいた場合、誰が何をやっているかが分かっていればフォローしやすくなるためです。また、全員の前で「役割」を明確にすることで個々の責任感が高まります。
デザインプロジェクトのスケジュール作成では、各フェーズの工数見積もりが重要です。
特に重要なのは、デザインのコンセプト段階、初稿の作成、クライアントからのフィードバック受け取り、最終稿の完成までの各ステップです。デザイン案の初稿を作成後は、クライアントや関係者からのフィードバックを元に修正を重ね、より完成度の高いデザインを目指していきますが、予期しない修正や情報の追加が発生することが多々あります。そのため、スケジュールは一度作成したら終わり、ではなく、柔軟性を持って常に更新を行いながら進めることが大切です。チーム内でのコミュニケーションを密にし、スケジュール変更があれば速やかに情報を共有することで、スムーズな進行を心がけましょう。
4. 進捗の共有は定期的に
上述の通り、プロジェクト開始後は予期せぬ事態が多々発生します。プロジェクト開始後、進捗状況は定期的にメンバー全員で確認しましょう。
たとえば週1回の進捗報告会を設け、各メンバーが現在取り組んでいる作業内容とその成果を共有します。それにより、チーム内で進行が遅れているメンバーがいれば余裕のあるメンバーが手助けをするなど、トラブルになる前に問題を早期発見できるようにします。
またこの際、成果はビジュアル資料やプロトタイプなどを持ち寄り、デザインの方向性やコンセプトについて、チームで具体的に確認しましょう。進捗報告会によって、進行状況の確認をすることも重要ですが、チーム内の意見や新しいアイデアを出し合う場としても機能させ、メンバー間でのフィードバックを通じて、プロジェクトの質をさらに向上させることも大切です。
また、進捗の報告会は実際に顔を合わせて行うのがベストですが、直接会うことが難しい場合はリモートでWEB会議などでも構いません。定期的にメンバー同士が顔を合わせてコミュニケーションをとることで、信頼関係を築き、チームメンバーが気兼ねなく相談や意見を言える環境になることが理想です。チームで助け合うことで生産性が上がることはもちろん、何より全員が気持ちよく仕事に取り組めることが大切です。
5. まとめ
プロジェクトの担当者・管理者は、チームメンバーが持つスキルや特性を理解し、適切なタスクを割り当てることが非常に重要です。誰が何をやっているかを把握し、助けを求めている人はいないか、反対にフォローに回れる人はいるか、など常にメンバーや全体の状況に目を光らせていなければなりません。
また、プロジェクトがスケジュール通りに運ぶことも重要ですが、スケジュールと品質のバランスを保つことも求められます。チーム全体でコミュニケーションを取りながら志気を高め、高品質な成果物を完成させることが最重要です。
進行管理は一見地味な役回りに思えるかもしれませんが、プロジェクト成功のためにはなくてはならない存在です。進行管理がスムーズなことで、自分を含めメンバー全員が安心して業務に取り組むことができるのです。