文字とデザイン|レイアウトの前に、“文字”を整えよう

公共の場に貼られたポスター、自宅のポストに届くチラシ、街角で手渡されるパンフレット。私たちの身の回りには、日常的に多くの印刷物があふれています。
そんな中で、ふと「このデザイン、なんだか垢抜けないな…」と感じたことはありませんか?色の組み合わせや写真のクオリティが気になることもありますが、実はデザインの印象を大きく左右するのは、意外にも「文字まわりの処理」なのです。
1. 目的に合ったフォントを選ぶ
2. 読みやすい字間・行間に整え、文字の変形は控える
3. 強調や装飾は最小限に、統一感を意識する
4. 今回のまとめ
1. 目的に合ったフォントを選ぶ
たとえば極端な話ですが、アメコミのようなポップなデザインに和を感じさせるような筆文字の書体が使用されていたら、何だかミスマッチに感じますよね。
コンセプトに則ったフォントを選択する事によって、デザイン全体の統一感が生まれます。
形状の醸し出す雰囲気でフォントを選択するのもアリですが、違和感のないデザインにするためには、根拠をもって書体をチョイスすることが大切です。そのためには多少の知識が必要となります。
特に欧文書体には、同じアルファベットといってもそれぞれにルーツがあるので、調べてみると面白い発見がありますよ。
2. 読みやすい字間・行間に整え、文字の変形は控える
文字量の多いチラシやパンフレットで見落とされがちなのが、字詰め量(隣り合った文字同士の空き)や行間(行と行の空き)を適切に設定することです。これらが整っているだけでも、洗練されたデザインに近づきます。
新聞や雑誌を見てみると、文章が読みやすいように組まれているので、それらを意識して見てみるといいかもしれません。
また、横につぶして縦長にした文字を「長体」、縦につぶして横長にした文字を「平体」といいますが、デザイン的意図が無いのであれば、極力文字は変形させずに文字組みした方が美しく見えます。
一度文字を組んでみたら、遠くから眺めてみたり実際に印刷して読みやすさを見てみたり、違和感がないかを確認してみましょう。
3. 強調や装飾は最小限に、統一感を意識する
文字の強調や装飾を多用すると、紙面全体が散らかった印象になり、視覚的に読みにくくなってしまいます。例えば、太字や色文字、下線などが増えすぎると、どこが本当に重要なのかがわからなくなり、結果として視認性が低下し、伝えたい内容が埋もれてしまいます。強調は本当に伝えたい言葉に絞り、フォントや色、スタイルを統一することが大切です。そうすることで、文字情報が整理されてスムーズに読み進められ、紙面全体がすっきりと洗練された印象になります。