広告研究|朝日広告賞2021の受賞作品から読み取る広告の法則
少し前の話題になりますが、朝日広告賞2021の結果が発表され、そして2022年の課題も公開されました。
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弊社でもデザイナーとディレクターでタッグを組み、1作品応募しましたが残念ながら受賞には至りませんでした。今年もまた挑戦したいと考えているので、それに向けて2021年の結果がどのような傾向にあるか分析し、作品づくりの参考にしていきたいです。
1.朝日広告賞「TOMBOWの文具のブランド広告」
2.準朝日広告賞「人にも環境にもやさしいナイガイ「みんなのくつした」の訴求広告」
3.その他で気になった広告
4.まとめ
1.朝日広告賞「TOMBOWの文具のブランド広告」
まずは最高賞である『トンボ鉛筆「TOMBOWの文具のブランド広告」』は新聞の4コマを彷彿とさせる4連作。一番カギとなるマスが空いており、受け手に想像してもらい、そのコマを書いてもらう体験型の面白い広告です。毎年新聞広告賞へ応募する際はつい大きい紙面で勝負したくなってしまいがちです。今までの私では新聞の4コマに目を向けるということはできなかったので、新聞広告ならではの魅力を発揮できていると感じます。小型広告でここまで受け手に刺さるものを作るためには、媒体を理解し上手に利用することが大事です。今後はただ大きいからという理由で15段・30段を選ぶのではなくアイデアに見合った段数で考えるようになりたいです。また、こちらの広告は「トンボの鉛筆を使用して実際に書いてもらう」という企業側のメリットも叶えている広告です。こちらもアナログならではの表現が活かされており、新聞という媒体に相応しいと感じました。過去にはKINCHOの「超難解折り紙」と称して、折るとゴキブリになるという広告も受賞しているように、企業に対する課題解決や受け手に面白さを体験させるといった理に適った行動を促すデザインは興味を惹くフックの1つといえるでしょう。
2.準朝日広告賞「人にも環境にもやさしいナイガイ「みんなのくつした」の訴求広告」
次は『ナイガイ「みんなのくつした」の訴求広告』。こちらの広告はイラストと言葉遊びが特徴的です。朝日広告賞に受賞している作品はイラストを見て良いと感じるものが多く見受けられます。特にシンプルなイラストで、独特なタッチや色使い・画面構成が上手になされているものが多く、グッと惹きつけられてしまいます。こちらの広告もそれに該当しているといえるでしょう。また、穴の空いた靴下が「あなたにつくした。」というダジャレを喋っているようなコピーの配置が穴の空いた靴下の可愛らしさを引き出せていて審査員のコメントにもあるように「いい広告」と率直に心に残りました。
3.その他で気になった広告
ナイガイの広告でも取り上げたようにイラストで勝負している広告が多い中、特に気になったのが『真光寺「樹木葬」』の課題で入賞した作品です。「樹木葬」というポジティブに捉えづらいテーマを爽やかなイラストで表現しています。「どうせしぬなら、のびのびしたい。」という全てひらがなのコピーが画全体ののびのびとした印象を増長させており難しい課題をクリアしていると感じました。小型広告賞は例年デジタル媒体に落とし込んだものを表現していることが見受けられますが、今年もメッセージアプリで表現されているものがありました。『「新潮文庫」新しい読書体験の提案』がテーマのこの作品は、シリーズ毎の様々なシーンで相手から来たメッセージを小説のタイトルで返すというユーモアに富んだものでした。新潮文庫ロゴ上のタグライン「良いトリップを。」で小説の世界へ没頭することを旅行と例え、しっかり落とし込めていてまとまりがある良い広告だなと率直に感じました。普段から使用しているSNSをただボーッと眺めるだけでなく、少し違った角度から見ると面白い発想が生まれるかもしれないので意識してみようと思う作品でした。
4.まとめ
今年の朝日広告賞を小型広告が勝ち獲ったことにはとても驚かされました。前述したように目立とうと思いつい大きい段数を選んでしまったり、1案で決め打ちしていまったりするので、それに囚われることなくあえて小さい方が面白いかもと思うアイデアやシリーズで魅せるテクニックなども駆使して、今年はもっと自由にアイデアを練っていこうと実感しました。まだまだ課題を提供してくださる企業が増えると思いますので、楽しみながら高みを目指していきたいです。
朝日広告賞2021に受賞した作品の研究もしているので良かったら併せてご覧ください。