販促コンペから学べる「使える販促」
販促コンペとは、㈱宣伝会議が発行している専門誌「販促会議」が毎年開催している「販促会議 企画コンペティション」で、各企業の商品・サービスのプロモーションについての課題に対し、応募者が解決策となるアイデアを企画書形式でエントリーするコンテストです。各企業の課題を解決し、「人が動く」「売上につながる」斬新なアイデアを考え、一次選考、二次選考の狭き門を突破し、ファイナリスト、各賞、グランプリを目指します。販促を生業としている弊社でも1年に一回の貴重な学びの機会です。今回は販促コンペから学べる「使える販促」についてお話ししたいと思います。
1.過去のグランプリから学ぶ「使える販促」
2.「使える販促」に必要な3つのポイント
3.今回のまとめ
1.過去のグランプリから学ぶ「使える販促」
企業「コカ・コーラ」
課題内容「ティーンのコカ・コーラ飲用者・飲用頻度の拡大につながるプロモーション提案」
企画「シークレット・メッセージ」
「コカ・コーラ」と同じ色のインクのペンを商品に添え、ペットボトルにメッセージを書き込んでもらうアイデアです。中身入っている時には書いた内容は見えないけど、ボトルが空になるにつれて、メッセージが現れる仕組みとなっています。「大切な人に向けたメッセージを、コカ・コーラのボトルに書いて、渡す」という行動を促し、「コカ・コーラを贈る=HAPPY」というポジションの獲得を狙った企画です。この企画の秀逸なところは、まず本来自分の為に買う商品を「贈り物」に変換したということです。そして誰でもすぐ簡単にできる「ペンで書くメッセージ」という手法。この手法はお菓子のパッケージなどで現在でも使われています。
コカ・コーラ「シークレット・メッセージ」
https://hansoku.co/history/1th
企業「有楽製菓」
課題内容「ブラックサンダーをもっと多くの方に食べてもらうための企画」
企画「ブラックサンダーエクスチェンジ」
ブラックサンダーエクスチェンジは、訪日外国人観光客を主要ターゲットとして、空港施設において両替できない、日本円の小銭を、ブラックサンダー1 つに対し 32 円のレート で、交換できるコーナーを設けるというアイデアです。 少額商品であるブラックサンダーの特性と、旅行者が日本円の小銭を余らせてしまうシチュエーションをかけあわせ、両替という空港特有の体験に基づいた企画です。この企画は一見大胆なアイデアに思えますが、両替をブランド体験の場所にする発想は話題性にもつながりますし、空港は出発までの滞在時間が意外と長いため、ブースを置く事で広告効果も発揮します。また搭乗時の小腹がすいた時のちょうどいいサイズであったり、この企画はとてもリアリティを感じました。
有楽製菓「ブラックサンダーエクスチェンジ」
https://hansoku.co/history/10th
2.「使える販促」に必要な3つのポイント
販促コンペの審査員の方々が着目しているポイントは、大きく分けて3点あります。これは実際の販促でも意識をしなければならないことなので覚えていただきたいです。
その1『リアリティ』
そもそも企画を実行するかどうか。たとえ面白いアイデアだとしてもゴールへの道が複雑であればあるほど参加者は離脱してしまいます。そして企画を実施したら、本当に商品の購買につながるのか。あくまでも販促なので商品が売れなければ意味がありません。これは企画内容と商品のポテンシャルやブランドイメージとのバランスが大切です。例えば、高齢者がターゲットの商品に対して、スマホを駆使した企画を提案したところで、いくら高齢者のスマホ所有率8割を超えたからといっても、現実的な企画ではないのです。
その2『クリエイティビティ』
企画の新しさ、独創性、ユニークさがあるか。人を動かす重要な要素としてクリエイティビティは必要不可欠です。「クリエイティビティ=販促コンペ」と認識されている方も多いと思いますし、デザイナー目線でも、ここに一番力を入れてしまいがちです。しかしそこに落とし穴があってアイデアばかりが先行してしまうと「アイデアのための企画」になってしまいます。ゴールがあってのアイデアなのでアイデア優先は避けなければなりません。ユーザーファーストを忘れずに、日常的な行動や心の隅に潜んでいる衝動を、後ろから後押しするくらいの無理のないアイデアを考えるのがポイントです。
その3『フィジビリティ』
ビジネスの場面においては、事業化の可能性やその事業の採算性が重要視されます。新たな企画の新規事業やプロジェクトを立案する際には、その実現可能性が求められます。具体的な数字とまではいかなくても、この企画を行うことでどれだけの有益をもたらすか、審査員が企画書を見た時に想像できないものは実現性は低いと言うことになります。
3.今回のまとめ
販促コンペは数ある広告賞とは少し違い、実践的な内容が盛り沢山です。実際に採用されているケースもあり各企業も本気で「使える販促」を期待しています。昨年は応募総数4,631本で、弊社は4本の企画をエントリーしました。一次通過(289本)が1本、二次通過(105本)の結果でした。今年も行われます第14回販促コンペにスズキモダンもエントリーいたします。昨年の経験を生かして今年はファイナリストを目指したいと思います。