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マーケティングと行動心理学 その16―プライミング効果―

「ピザって10回言って?」皆さんも子供の頃にやりませんでしたか?ついついつられて「肘」のことを「膝」って言ってしまうあのクイズです。実はこの「10回クイズ」、あらかじめ与えられた情報によって、行動が無意識に影響される「プライミング効果」という心理効果を利用した遊びだったんです。今回はビジネスシーンでもとても活用できるこの心理効果を紹介しようと思います。

1. プライミング効果とは?
2. 2つのプライミング効果
3. ビジネスシーンでの活用法
4. 今回のまとめ

プライミング効果とは?

「プライミング効果」とは、先に知覚した情報にその後の判断が無意識に左右されるという心理効果で、「前もって教え込む」という意味の英単語「 prime 」に由来しています。例えば「サンタさんはどんな服を着ている?」という質問をした後で「今思いつく好きな果物は?」という質問をすると、サンタの赤い服に刺激を受けて、赤い果物を応える確率が高くなります。これがプライミング効果です。この効果、重要なのは当人がそれに気付いていないケースがほとんどということ。つまり無意識です。例えばあなたは昨日のランチで唐揚げを食べたとします。なぜですか?と聞かれてもうまく説明できますか?ハンバーグでも生姜焼きでも選択肢がたくさんあったはずなのに、迷わず唐揚げを選んでいるので、食べたい理由があったはずです。しかし「ただなんとなく…」とこたえる人が多数です。ひょっとしたらメニューを決める際、唐揚げの美味しそうな匂いを嗅いだのかもしれないし、通り過ぎた唐揚げ専門店の看板が気になったのかもしれない。テレビで唐揚げを食べているタレントを見たからかもしれません。何が引き金になるかわかりませんが、風景や匂い、音、会話、テレビや隣のテーブル、新聞やネットニュースなどで得た何らかの記憶の断片が突然行動につながる。これこそがプライミング効果の特徴と言えます。先程あげた例題「サンタの服の色」についてもですが、実はそれもプライミング効果が働いています。当たり前のようにサンタの服は赤いと説明しましたが、そのイメージが定着したのは1931年にはじまったコカ・コーラのクリスマス広告の影響だと言われています。それ以前のサンタクロースのイメージは、小さな妖精だったりふとっちょだったり、服も緑や青とバラバラで、決まったイメージが有りませんでした。そこへ大きな体に真っ赤な衣装を着て、白いあごひげをたくわえた陽気なおじいさんサンタが登場して、アメリカ中に認知が広まったという話は有名です。しかしこの広告の真価はこれだけでは有りません。プライミング効果を使って、「サンタクロース・コーラ・赤色・家族・恋人・愛情・幸せ」を結びつけ、無意識にコーラを飲みたくなるように仕向けてしまったことにあるのです。

2つのプライミング効果

無意識のうちに次の行動に影響を与えてしまうプライミング効果ですが、実は2つの種類が存在します。どんな違いがあるか説明します。

1. 直接プライミング

プライミング効果とは、「先行刺激(プライマー)」と、「後の刺激(ターゲット)」に分かれていますが、そのプライマーとターゲットが同じであることを「直接プライミング」と呼びます。例えば、カレーの匂いを嗅いでカレーが食べたくなったというケースだと、カレー(の匂い)がプライマーで、カレー(を食べたくなる気持ち)がターゲットになる。つまりどちらもカレーということで「直接プライミング」と言います。

2. 間接プライミング

「間接プライミング」とは、先程の直接プライミングと異なり、プライマーとターゲットが異なる場合を指します。例えばサンタクロースの話をした後に「果物と言えば何を思いつきますか?」と聞くとイチゴやりんごなどの赤い果物を思い付くというようなことです。このようにプライマーとターゲットが一致しない場合のプライミング効果を「間接プライミング」と言います。

カレーの例を使って2つを対比すると、共通の目的としては「顧客にカレーを買ってもらうこと」としたとき、直接プライミングは上記例で上げた通り、「匂いを嗅がせる」や「TVCM」「カレーのポスターを見せる」などの分かりやすい手段が考えられます。一方、間接プライミングを使って販促するとしたら、「カレー」というターゲットに対してプライマーは「インド」「香辛料」などが考えられます。顧客にインドや香辛料の情報を与えることでカレーの購買を促す手段が考えられます。

ビジネスシーンでの活用法

ではプライミング効果はどのようにビジネスシーンで活かせるのか?もっとも効果的な方法は「アンケート」です。PRしたい商品に関するアンケートを取ることにより潜在顧客に気付かれることなくプライマーを与えることができます。例えばアウトドア商品を売っていると仮定して、アンケートで「健康のために気をつけていることは何ですか?」「リフレッシュするためにしていることは何ですか?」などと聞いてみると、これらの質問がプライマーとなり、アウトドアを連想し、通常より遥かにアウトドアに関心を向けさせることになります。しかもこの方法は直接商品を売り込んでいるわけではなく、あくまで自発的な連想を促しているだけなので潜在顧客の抵抗心がありません。メルマガやSNSも同様に発信する情報にプライマーとなる質問を混ぜることにより、影響を与えることができます。

今回のまとめ

このように「プライミング効果」は販売したい商品やサービスをさり気なく印象付けさせ想起させることが可能な心理効果です。よって潜在顧客に影響を与え、商品購入のきっかけにつなげることができます。この「プライミング効果」を正しく理解し、ビジネスシーンに活用してみてください。

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