自社を知るためのマーケティング分析①|3C分析
弊社のホームページにて、「販促ノウハウブック」という、初心者に向けた販売促進のハウツー資料の提供をはじめました。本書は、販促のノウハウを一冊に分かりやすくまとめており、「自社にあった戦略で販促を強化したい人」や、「市場や競合他社の状況を知り、差別化を図りたい人」、「店舗の集客に役立つ情報を得たい人」のような方々に役立つ一冊です。ぜひダウンロードしてみてください。
さて、この「販促ノウハウブック」でも紹介している、販促の“基盤”となるマーケティング分析のフレームワークの方法を、事例を交えてより詳しくご説明していきます。すでに資料をダウンロードしている人で、「分析のやり方が難しくてよくわからなかった」と、断念してしまったという人は、こちらをご覧いただき、再度チャレンジしてみてください。またフレームワークのテンプレートは、資料からダウンロードできますので、マーケティング分析に興味のある人は、まずは「販促ノウハウブック」をダウンロードしてみてください。
1.3C分析とは?
2.3C分析のやり方 3STEP
3.まとめ
1.3C分析とは?
3Cとは、「Customer(市場・顧客)」、「Competitor(競合)」、「Company(自社)」3つの頭文字を取ったもので、その3つの環境の、強み・弱み・状況を客観的な視点で把握するための分析、それが3C分析です。マーケティングには「環境分析、基本戦略、施策」という3つのステップがあります。3C分析は最初のステップである、環境分析に位置し、事業の成功要因を把握するための手法として使われます。
2.3C分析のやり方 3STEP
3C分析は「マーケティング分析の基本」といわれており、取り組みやすい分析ですが、この後に続く「PEST分析」「SWOT分析」にも関わる重要な分析です。
それでは、以下の3ステップに従ってフレームワークを埋めてみましょう。
企業例:スズキチキンフーズ株式会社(仮称)
愛知県の創業100年を超える、鶏肉を使った商品専門の老舗お土産メーカー。手羽先を甘辛く煮た「手羽煮込み」が看板商品。
STEP1 市場・顧客の分析
ここでは、以下の6つの項目を書き出します。
・ターゲット
・顧客ニーズ
・ベネフィット
・潜在顧客のニーズ
・成長する顧客属性
・購買行動
ターゲットの制定
まずターゲットとなる顧客を定めましょう。自社において「どのようなお客さまを対象としたいか」を明確にします。
顧客ニーズ
マーケティングにおける「ニーズ」とは、必要・欲求・需要を意味する「need(s)」が語源といわれており、人は日常生活の中で、「豊か(リッチ)な生活がしたい」「モテたい」「家族や会社の部下に慕われたい」など、さまざまな“理想”を持っています。しかし、現実は「金欠で節約生活」「彼氏・彼女ができない」「家に居場所がない」などのギャップがあります。ニーズとは、これらのギャップを埋める「欲求」を指します。「顧客が欲しがっている商品やサービス=顧客ニーズ」と捉えられがちですが、「〇〇が欲しい」はニーズを解決する手段なので、「なぜ〇〇が欲しいのか」まで突き詰めて考えましょう。
【注意点】
ここでの「顧客」とは、利用客全般を幅広く対象とする場合と、最初に設定したターゲット顧客に焦点を絞って考える場合があります。ターゲット顧客に焦点を絞った場合、より具体的に定義できます。またターゲットに焦点を絞る場合は、実在するターゲットに近い人物にヒアリングすることをおすすめします。3C分析では必ず、事実、もしくは事実になるべく近い情報を記入します。ここで根拠のない想像上の架空の情報や、事実と遠ざかった情報を書いてしまうと、分析が失敗してしまう可能性があるためです。
ベネフィット
ベネフィット(benefit) とは直訳で、「利益」「恩恵」「便益」を意味します。マーケティングにおいて「顧客が商品から得られる恩恵や利益」と解釈されます。商材そのものではなく、これらが与えるプラスの効果や、ポジティブな影響。それがベネフィットです。
潜在顧客のニーズ
潜在顧客のニーズとは、顧客自身に明確に自覚がない欲求を示します。顧客自身も意識していないため、潜在顧客のニーズの発掘には苦労することがあります。しかし、潜在顧客のニーズを知ることは、自社の商材の改善策を練るためにとても重要です。
そのため潜在ニーズを引き出すには、顧客になりきってシュミレーションを行います。たとえば、顧客がお土産物店で、自社の商品ではなく競合の商品を購入したとしましょう。そして、他社の商品を選んだ理由をヒアリングします。その理由が「他社の商品の方が安かったから」だとすると、「安価で名古屋土産を購入したい」が潜在顧客のニーズとなります。
成長する顧客属性
成長する顧客属性とは、今後顧客に成り得る人物のことです。自社の商材とマッチする可能性のある人物像を書きましょう。
購買行動
顧客が自社や競合の商材を購入する場所、またはサービス(オンライン含む)のこと。
STEP2 競合分析
次に競合の分析を行います。
ここでは、以下の5つの項目を書き出します。
・ベンチマーク企業
・製品力・技術力
・サービス力・営業力
・販売チャネル
・ブランド力
ベンチマーク企業
マーケティングの分野では、自社の経営やマーケティング戦略を改善するために用いる、優良他社の戦略や指標をベンチマーク (ベンチマーキング) といいます。ここでは、競合他社の中でも、特に業績の良い企業や、自社が目標としている企業、また近年自社よりも売上や知名度の上がっているライバル企業などを書きましょう。自社よりも業績や商材が優れていると思う企業を書くことで、自社の課題が見えてきます。
製品力・技術力
各ベンチマーク企業の製品の優れた特徴や、特許取得の製法など、各企業の独自の魅力を書きます。
サービス力・営業力
各企業が独自に行う優れたサービスや、販促策、PR活動など、顧客の満足度を向上させるために実施していることを書きます。
販売チャネル
販売チャネルとは、顧客に商材を販売する方法や販売する場所のことです。販売チャネルは、企業が顧客との接点を持つための重要な役割を担っており、商材の販売だけでなく、マーケティング、リサーチ、プロモーションといった活動も含まれます。
ブランド力
ブランド力とは、企業や商材が持つ価値を意味します。同じジャンルの商材が数多くある市場において、唯一無二の強みや魅力は、そのブランドが持つブランド力です。たとえば、知名度の高さや、独自製法で特許取得、SNSのフォロワーの数など。競合の市場での立ち位置が見えてきます。
STEP3 自社分析
最後に自社分析です。
ここでは、以下の5つの項目を書き出します。
・ビジネスモデル
・製品力・技術力
・サービス力・営業力
・販売チャネル
・ブランド力
ビジネスモデル
ビジネスモデルとは、自社が誰に(販売相手は企業?一般消費者?)何(商材)をどのように(製造も行っている?卸業?小売?)して収益を得ているのか、ということです。
製品力・技術力
自社製品の優れた特徴や、製法など。また逆に競合と比べ劣っている部分があれば記入します。
サービス力・営業力
自社が独自で行う優れたサービスや、PR活動など。またこちらも、競合と比べて劣っている部分も記入します。
販売チャネル
STEP2の競合分析と同じく、顧客に商品・サービスを販売する方法や販売する場所のこと。
ブランド力
STEP2の競合分析と同じく、自社を客観的に見た世間からの評価を記入します。
3.まとめ
3C分析において気をつけたいポイントは、「事実」を書く、ということ。STEP1の「市場・顧客分析」についても、根拠に基づいた事実を書くようにしましょう。
シンプルで取り入れやすい3C分析ですが、主観で捉えてしまうと正しい分析ができません。また、市場・顧客→競合→自社の順番を必ず守って分析を行ってください。市場・顧客から分析を行うことで自社目線ではなく顧客目線で客観的に自社を見ることができるためです。顧客はどのようなことに喜んでくれるのか、またどのようなことに不満を感じるのか、徹底的に洗い出すことで、今まで見えてこなかった自社や市場そのものの課題が見えてくるはずです。
次回は「PEST分析」のやり方をレクチャーします。