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広告研究 | 日常のあるあるにフィーチャーした広告事例3選

この世の中では日々新しい広告が各地でどんどん生み出されています。今回はSNS上で見つけた広告を3作品ご紹介します。3作品の共通する部分は受け手が「あるある!」と共感を得てもらえるよう訴求していることを意識している点です。多くの共感を得ることで広告に注目してもらえるので、近年ではSNSで拡散するという文化も根付き、それが起爆剤となり多くの人の目に触れる機会も増え共感の連鎖が生まれます。よって近年では、共感をテーマにした広告がますます増えているように感じます。過去に時代や媒体の観点からバズった広告の事例も挙げているのでぜひご覧ください。

https://s-modern.com/column/3380/

事例1:ロート製薬・ロートZ!電車ジャック広告
事例2:oVice 電車中吊り広告
事例3:シャウエッセン 断髪式
まとめ

 

事例1:ロート製薬 Z!  電車ジャック広告

こちらは東京メトロ銀座線・丸ノ内線の車両内のドア横や座席上・床一面など至るところに長〜いスマホのアラーム画面でジャックされている、一度見たら忘れられないとても見た際のインパクトが強い広告です。実はこれ、目薬の広告なんです。朝に二度寝をしてしまう人も多いかと思いますが、その大半の理由は、実はまだ眠いからではなく目の渇きを眠気と勘違いしているからであり、ロートの目薬を挿せば眠気も一発で吹き飛ぶということを訴求しています。通勤時に眠気と戦っている人が見ることを想定して電車という媒体を選びジャックするという点に内容と媒体の親和性の高さを感じ、考え抜かれていて、かつユーモアもあるクリエイティブ力の強い広告です。二度寝をしたいがためにこのように細かく時間を刻んでアラームを設定している人は多いのではないでしょうか?私のアラーム画面はここまで細かく設定はしていませんが、二度寝する用に予め早い時間で1つだけ設定しており、結局朝起きるのがつらいのでとても刺さる内容でしたし、「買ってみて、この目薬を挿したらシャキッと起きれるかな?」と率直に思いました。また、アラーム画面以外にも青い背景にコピーが書かれたものもあり、その中の1つの「好きな曲をアラームにしたら3日後に嫌いになったよ!」というコピーも実際に体験してきたことなので思わず心の中で(分かる……。)とつぶやいてしまいました。SNSでも「これ、私のアラーム画面だ……。」や「毎朝のお布団との戦いを想起させられた」などとても多くの共感の声を目の当たりにしました。また、この広告は制作するにあたり、SNS上で朝の弱い人たちに声を掛け、実際にその方のスマートフォンのアラーム画面を使用しているとのことです。このようにインターネットを駆使して身近な存在に寄り添いやすくなった時代ならではの広告だなと実感しました。

 

事例2:oVice 電車中吊り広告

次はバーチャルオフィス「oVice(オヴィス)」を提供するoVice株式会社の電車中吊り広告です。ニューノーマルな時代になったここ約2年、働き方も随分変わったように感じます。
リモートで働く機会が増え、それに伴い「テレワークあるある」を耳にすることも増えました。oViceはそこに着目して電車の中吊り広告で沢山の「テレワークあるある」を展開掲出しました。その中でも一際目立っていたのが「もう猫吸いながらしか仕事できません」というコピーの広告です。これは猫を飼っている人や猫が好きな人にはたまらないコピーなのではないでしょうか?そもそも猫吸いとは?という方もいるかと思いますが、言葉の通り、飼い主が猫の体に顔をうずめる行為です。臭いを嗅ぐと同時に、息を吸ったり吐いたりするので、猫吸いと呼ばれており、飼い主が愛猫に対する深い愛情表現を示す方法として世間では扱われています。私も電車で実際にこの広告を見ましたが、やはり他のコピーが書いてある広告が霞むほどに「猫吸い」というワードに目がいきました。私はペットを飼っていないですが、飼っている側の人の立場になって考えると、ペットに癒されながら仕事ができる幸福感をひしひしと感じることができ「テレワークしたい!」「どんなサービスなんだろう?」と思ってしまうだろうなぁと想像が膨らむ、今までに見たことのない秀逸なコピーでした。また、ペットを飼っている人は常に様子を見ていられる安心感もあるのでとてもいい労働環境ですよね。この広告のシリーズ展開で「ペット…飼っちゃいましたけど…」というコピーも「ペット」というキーワードの別視点からの切り口で面白かったです。

 

事例3:シャウエッセン 断髪式

日本ハムが販売しているあらびきウインナー「シャウエッセン」。スーパーなどの売場で見かけるパッケージは上部が金のテープで縛られた特徴的な形のものを想起する方が多いのではないでしょうか?しかし、2022年2月、37年間変わらなかったパッケージを一新することになりました。リニューアル後のパッケージは、先ほど述べた特徴的な縛ってある部分を削ぎ落としたシンプルな形の袋になります。それによりプラスチック使用量が28%カットされるので、環境へ配慮していることが伺えます。ただこの取り組みをより多くの人に知ってもらい企業の環境への配慮をアピールするため、なんとシャウエッセンの縛ってある部分を「ちょんまげ」に見立て、断髪式の様子をWEBムービーなどで発信しました。(動画制作にあたり日本相撲協会に監修を依頼したそうです。)ここまで豊かな発想をユーモアに振り切ってやり切っており、現在Twitterでは約2万リツイート、4.3万いいねがつくほどの反響です。37年も変わらなかったとなるとシャウエッセンといえばあの形!という固定観念(ここではこれをあるあると定義します)があると思います。それを払拭しつつ、企業努力も伝わる大成功した企画ではないでしょうか?下記にWEBムービーのURLを掲載しておりますので、チェックしてみてください。

シャウエッセン断髪式
https://www.youtube.com/watch?v=gZ2F4uN7OXI

 

まとめ

3つの事例を分析してみて、やはり自分目線に立てる広告というものは興味を惹くだけでなく伝えたい内容もしっかり入ってくると再認識できました。クリエイティブなアイデアを練る際、「あるある」をヒントに進めていくととんでもなく面白いモノができるかもしれません。私もぜひ実践に取り入れていきたいです。