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広告研究|朝日広告賞の受賞作品から見るクリエイティブの力

2021年度の朝日広告賞の課題が公開されました。
https://www.asahi-aaa.com

朝日広告賞は今回で70回という長い歴史があり、毎年受賞しているものは様々な観点からクリエイティブ力を感じられ、企業から出される課題を解決しつつ、その企業のイメージを良くするものに仕上げている作品が多いように見受けられます。今回は毛色の違う過去の受賞作を3つほどカテゴリ分けして紹介しつつ、その広告がなぜ受賞したか、その魅力について分析していきたいと思います。

1.グラフィックが秀逸なデザイン
2.アイデアが秀逸なデザイン
3.ユーモアに振り切ったデザイン
4.まとめ

1.グラフィックが秀逸

まずは富士急ハイランドでおなじみ「富士急行」の広告。タイトルは「ビューン。」こちらは2020年度の「朝日広告賞」を受賞しています。一目見ただけでもの凄いインパクトを与えつつ、富士急ハイランドの売りである日本屈指の絶叫マシーンの怖さ・スピード感をシンプルかつダイレクトに表現できています。よく見ると写真なのか?イラストなのか?造形物なのか?どこかアートチックなビジュアルも興味喚起させられます。新聞に載っていたら思わず目を留めてしまうと思い、掲載される媒体のことも考えてビジュアルを作らなければな、と勉強になりました。コピーが入っていないところもこの広告の驚かされる点で、グラフィックのみでここまで伝わるという可能性を感じる作品です。

 

次は「パナソニック」の「乾電池エボルタネオ」の広告。タイトルは「子供が先に電池切れ」。こちらは2019年度の「朝日広告賞」を受賞しています。まず子供が無造作に寝ているとても可愛らしいビジュアルが興味を惹きます。一体なんの広告だろう?と思わせて左上の小さく入ったコピーを見て(多分これも意図的に小さく入れているのだと感じました)ビジュアルの意味も理解できるし、電池の持ちがいいというベネフィットも伝えられているところが秀逸だなと観じました。電池の写真を「長持ちな私のおかげです」と擬人的な表現のコピーと共に入れていることで商品の親しみやすさも感じさせ、イメージアップもしっかりできている素晴らしい構造の広告です。

 

 

2.アイデアが秀逸

強い色を用いたビジュアルもさながら、これが体毛の広告ということに驚いた「マンダム」の広告。タイトルは「Funny GATSBY」。2019年の「準朝日広告賞」を受賞しています。街中でも体毛を扱う広告を見かけることはありますが、どうしても生々しくなりがちで、魅力ある広告に見せるのは難しいと思いますが、イラストを用いて、花と組み合わせることでまるで美術館に飾ってあるアートのような「キレイ」と思わせる新聞広告に落とし込んだ“新しい表現“という印象を受けました。個人的には身体を表す白の余白と青の背景のコントラストの使い方もとても上手で目を引かれました。

 

次は「救心製薬」の「心臓にくる通知」という作品です。こちらは2020年の「小型広告賞」を受賞しています。今時らしいスマホの画面をビジュアルにした広告。よく見ると全部、思わず「ドキッ!」としてしまう通知が届いているという広告です。課題である“責任世代の方に「救心錠剤」“の責任世代の方たちには特に、どのシチュエーションを見てもしっかり刺さるのではないでしょうか?こんなにたくさん「ドキッ!」とするシチュエーションを思いつくことに思わず関心してしまいました。個人的には、グラデーションがキレイなスマホ画面のビジュアルがZ世代くらいの若者の目にも飛び込んできやすそうで、その親である責任世代の方たちにこんな広告あったよ!と教える広がりなども頭の中に浮かんできました。

 

 

3.ユーモアに振り切ったデザイン

最後にユーモアに振り切ったすごく好きな作品をご紹介します。ポンジュースでおなじみ「えひめ飲料」の「今朝のジュース」という作品です。こちらは2017年の「小型広告賞」を受賞しています。「今朝のニュース」と「今朝のジュース」をかけたダジャレ案で、やりきった感がひしひしと伝わってきます。それでいて面白いのに堂々としている点や、飲料の広告に、果実やジュースを用いない、コピーと朝焼けの街の写真のみで思わず朝に飲みたくなってしまうような朝のフレッシュなシズルを感じさせる技法に他の審査員もおっしゃっているように「やられた!」と思ってしまう作品でした。TVの画面を新聞広告で表現しているのも面白いです。

 

 

4.まとめ

今回ご紹介したのは受賞した一部ですが、他の受賞作を見ると、この広告賞で受賞する偏った傾向みたいなものはなく、本当に「良い」と思ったものに票が集まっているという印象を受けました。また、表記されている審査員の講評が受賞しているのにも関わらず肯定的なものだけでない所に、受賞者の今後の制作活動の可能性を広げる姿勢を感じられるのも、この広告賞の良い点であると感じました。当社ではこれ以外にもさまざまなコンペに応募しております。販促コンペでは5組に分かれて各組1案ずつ企画を提出し、うち2案が応募総数4631本の中の2.26%をかいくぐり2次審査まで進みました。残念ながら受賞には至りませんでしたが、今後もコンペには積極的に参加していき、クリエイティブの質を向上していきたいと考えております。

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