投稿日:|更新日:

マーケティングと行動心理学 その12―シャルパンティエ効果―

「レモン100個分のビタミンC」や「東京ドーム10個分の広い敷地」など、全く別のものを例題にして紹介されることがよくありますよね?これは「シャルパンティエ効果」と呼ばれる心理効果が使われています。今回は皆さんが持っている認識をうまく利用し、商品の魅力をイメージさせやすくするテクニック、シャルパンティエ効果を紹介します。

1. シャルパンティエ効果とは?
2. シャルパンティエ効果を使った広告例
3. シャルパンティエ効果の活用法
4. 今回のまとめ

シャルパンティエ効果とは?

シャルパンティエ効果とは、「重さの感覚が視覚的に見える大きさの影響を受け、物理的な重さの等しい物でも、体積が小さい方が小さく感じられる現象」と定義されています。もっと簡単に言うと、重さが同じでもその物のイメージによって重いとも軽いとも思われてしまうという現象です。例えば、綿と鉄球では重さは同じ1kgと伝えられていても鉄球の方が重そうに感じてしまいませんか?このようなイメージによって重さの判断が変わってしまう錯覚を「シャルパンティエ効果」と言います。なぜそう呼ばれるようになったのかと言うと、1891年に、フランス医師オーグスチン・シャルパンティエ氏が大きさと重さの錯覚についての実験を行ったことから、この名がつけられたと言われています。

シャルパンティエ効果を使った広告例

このシャルパンティエ効果は、なにも重さに限った物ではなく、様々な対象に効果を発揮します。冒頭に紹介した「レモン100個分のビタミンCを配合」といった広告を例題として取り上げると、「ビタミンC2000mg配合」と言われても、それが多いのか少ないのか、私達にはイメージすることが難しい。しかし、レモンが酸っぱくてビタミンCがたくさん含まれていることは皆さんの頭の中に先入観として存在しています。よって「レモン100個分」という表現をすることによって先入観のままビタミンCが多く含んでいるのだとイメージさせることに成功するのです。これは余談ですが、実はビタミンCの含有量で言えばレモンよりアセロラの方が多くビタミンCを含まれています。よってレモンよりアセロラを例えに使った方が効率良いように見えますが、「アセロラ3個分のビタミンC」と言ったところであまりピンと来ませんよね?これはアセロラがレモンに比べ普段あまり口にしないのでイメージしにくいという理由と、「3個分」と言うことで、たいした量ではないように錯覚されてしまうため、レモンに軍配が上がります。このようにシャルパンティエ効果は相手の持つイメージを利用するので、事実は関係ありません。実際はアセロラがレモンよりビタミンC豊富でも、相手が「ビタミンCといえばレモン」というイメージを持っていれば、レモンで例えた方が印象に残るということです。

シャルパンティエ効果の活用法

心理抵抗を小さくする活用法

「年会費12万円」のスポーツジムだとすると、「月会費1万円」や「週会費2,500円」とした方が、お客様の価格に対する抵抗感を減らすことが出来ます。お気付きの通り支払う費用はどれも同じです。しかしシャルパンティエ効果を考慮した表現によってお客様の印象を変えることに成功しました。

お得感を大きく表現する

お買い物のシーンで「30%OFF」さらにレジにて「10%OFF」というような割引をみたことがあると思います。「40%OFFでお得!」と感じられた方、錯覚させられています。30%OFFからさらに10%OFFだと、実際には37%OFFというのが正解です。しかし殆どの方が40%と錯覚して実際よりお得感を感じて購入していることになります。

今回のまとめ

今回は私達人間が持つ先入観を使った心理テクニックとしてシャルパンティエ効果をご紹介しましたが、この効果も使うのにも注意が必要です。それは「あからさまに用いない」こと。シャルパンティエ効果は、多くの商品やサービスの宣伝ですでに利用されています。そのため、手法に見覚えがあるユーザーも大勢いるはずです。あからさまな宣伝は「裏があるのかも?」「誇大広告なのでは?」と疑念を与えかねませんのでご注意ください。正しく理解し皆様のビジネスにお役立てください。

> 関連記事
NEXT
「マーケティングと行動心理学 その13―コンコルド効果―」
BACK
「マーケティングと行動心理学 その11―バーダー・マインホフ現象―」