コロナ禍で変わった広告・販促(プロモーション)手法
2020年の4月、政府の緊急事態宣言発令により多くの企業でリモートワークが始まりました。1年半近く継続しているところも多くあり、企業の営業活動の方法が大きく様変わりました。今回の記事では変わった部分と変わらない部分を振り返り、コロナ禍の広告・販促(プロモーション)手法について考えていきたいと思います。
1.はじめに
2.コロナ禍で変わった販促
3.コロナ禍でも変わらない販促
4.今回のまとめ
はじめに
マーケティングの定義は数多くありますが、 著名なマーケター森岡毅さんはとあるテレビ番組で「売るというよりも勝手に売れるようにする状況をつくること」と言っています。
見込客に商品やサービスを見つけてもらい、選んでもらい、継続した売上を作る仕組みをつくること、それがマーケティングの考え方です。今までは目的や予算に応じて手法を選んでいましたが、前述の通りコロナ禍でビジネスの仕方を大きく変える必要に迫られました。現実での営業活動とインターネットを使った営業活動をそれぞれ「オフライン施策」と「オンライン施策」と呼び、この2つを上手く組み合わせたハイブリッドな活動が求められる時代となりました。
コロナ禍で変わった販促
① 展示会・見本市はオンラインイベントに変化。
政府の度重なる自粛要請により多くのイベントが中止や延期となり企業にとっては大きな機会損失となりました。その間、リアルで開催予定だったイベントの多くがオンラインに開催の場を移しました。距離に関係なく遠方からも容易に参加してもらえるメリットがある一方で、商品説明がしづらいなどのデメリットもあります。またオンラインイベントに「参加する」のではなく自社でウェビナーを「主催する」企業が増えてきました。これらの各種オンラインイベントを成功させるポイントは、「受付→商談→フォロー営業」の一連の流れを完璧にイメージすることにあります。また、商談に必要な動画やデジタルカタログなどの資料は画面上で共有されます。個々の営業担当者の人柄やトークスキル、コミュニケーションスキルに頼っていた今までの営業スタイルとは変わり、オンラインイベントでは共有する資料のクオリティが商談成立の鍵になります。
▷オンラインイベントのメリット
・ブース設営がないため出展費用が抑えられる
・カタログの配布がないため印刷費が抑えられる
・1対1での完全対面型の商談が可能
・参加者のメールアドレスなど個人情報を入手しやすくその後のフォロー営業に活かしやすい▷オンラインイベントのデメリット
・デジタルカタログや資料を画面共有して説明するスタイルなので、相手の反応を伺うなどの細かな対応が難しい
・設定した時間に相手が商談画面にログインしないことや最悪の場合ドタキャンもあり得る
・ネットの接続速度など通信環境に影響される
② テレアポは機能しなくなった。代わりにオンライン商談が誕生。
緊急事態宣言が発令されると会社に出社しないためテレアポや飛び込み営業などは、ほぼ機能しなくなりました。新たに営業をかけたい場合は手持ちののアドレスリストでコンタクトを試みるかHPのコンタクトフォームから問い合わせることになります。その後、運良く商談の機会を得た場合はZoomなどのアプリを使ってオンラインで商談が行われることが多いでしょう。ここで気をつけたいのはお客様に共有する資料の質です。オンラインでのプレゼンは、商品やサービスの要点が上手く伝わる資料づくりがポイントとなります。
▷上手く伝わる資料づくりのポイント
・レイアウトはなるべくシンプルに(色を多用しない)
・文字は大きく(20ポイント以上が理想)
・伝えたいことはスライド1枚につき1点に抑える
・スライドはグラフなどを使い紙芝居のようにテンポよく進める
③ PUSH型の営業 ➡ PULL施策を。
非接触の営業手法として、DMやカタログの発送はコロナ禍でも有効的です。しかし今は顧客が自ら情報を取りに行ける時代なのでそのための対策も万全にしましょう。ネット社会で育ったミレニアルズと呼ばれる世代が社会人となった今では、営業手法もアップデートしていく必要があります。セールスを受ける側の本音は「自分で比較検討したい」「営業電話に出たくない」「HPを見て納得したら会っても良い」などがほとんどです。それでも商談の機会をつくりたい営業担当者は、かつてのように「売り込む」のではなく、「問い合わせをもらう」というスタイルに変える必要があります。では、向こうから問い合わせをもらうためには具体的に何をしたら良いでしょうか?
▷問い合わせを増やすために、今すぐにやれること
・SEO対策
・お役立ち資料の提供
・ホワイトペーパーの提供
・各種SNS運用
コロナ禍でも変わらない販促
さて、ここまではコロナ禍で「変わった部分」を見てきましたが、それでも変わらない販促(プロモーション)手法もあります。それはカタログです。ホームページでの問い合わせに対して紙のカタログを郵送するほか、オンライン商談においてはデジタルに変換したカタログを使用して説明するなど、カタログやパンフレットなどの需要は益々上がっていると言えます。2021年に行われた調査によると見込み顧客の獲得に有効な取り組みは何かの質問に対して、「製品/サービスの資料請求」が1位となりました。
▷カタログ・パンフレットのメリット
・新規のカタログ・パンフレットを制作→営業職の対面商談用のツールとして使用
・データやグラフの部分を再編集→オンライン商談の共有資料として
・内容を細分化して再編集→ホームページのダウンロード資料として配布
今回のまとめ
いかがでしたでしょうか?コロナ禍で販促(プロモーション)の手法が大きく変わったことが分かりました。またこのような状況の中でテクノロジーの進化をうまく取り入れた いわゆるMAツールが多く生まれています。これからの営業職は、ホームページ内でできることはホームページに任せ、その後の工程(商談やクロージング)に注力することが多くなります。ホームページでは伝えられないさらに詳しい情報を届ける役目としてより有益な情報をお客様に届ける必要があります。ホームページでは公開されていない他社事例を直接聞ける、値引き交渉ができる、納期や商品のカスタマイズ、現場調整をお願いできる相手でなければなりません。時代とともに営業スタイルを変えることは避けては通れないようです。
まずは、コロナ禍で変わったものは何か、変わらないものは何か、そのような視点で自社の販促(プロモーション)活動を見直してみましょう。その上でそのふたつを上手く組み合わせて売上アップに繋げましょう。