校正とは?校正の知識を身につけて販促の質を高めよう
デザインや編集の仕事に携わる人なら、入稿をする前に必ず誤字・脱字や文法に間違いがないか「確認」をしますよね。この確認作業=校正、流れ作業になっていませんか?
もしあなたの会社を宣伝するポスターに文字の間違いがあったらどうでしょう…?誤字・脱字によるイメージダウンは思った以上に大きく、しっかり校正しないと顧客や取引先からの信頼を失う事態になることも。
そのうえインターネットが普及し拡散速度が増す現代、そのミスが瞬く間に有名に。あなた自身が校正の知識を身につけて、デザインの質を高めてみませんか?
1.そもそも校正とは?
2.なぜ校正が必要?
3.間違いに気付けますか?
4.修正指示は誰が見ても伝わるように
5.まとめ
1.そもそも校正とは?
校正とは、文章や文書の内容を確認し、誤字・脱字や文法の間違い、表現の不適切さなどを修正する作業のことです。これは、出版物、ウェブ記事、学術論文、ビジネス文書など、さまざまな種類の文書で行われ、正確で一貫性のある内容を確保するために重要です。
校正のプロセスでは文法的な正しさだけでなく、文章の流れや、論理の整合性も確認されます。
2.なぜ校正が必要?
販促においては、「情報を消費者へ正しく伝えるため」に校正が不可欠です。文字と情報の誤りを正すための工程です。文字の誤りは誤解につながりますし、不適切な表現は受け手を不快にします。金額や日付の間違いは消費者を混乱させ、すぐには収拾がつきません。これらを未然に防ぐために校正が必要なのです。
現代においては印刷物にとどまらず、ホームページやブログのウェブページ、SNSでも校正は必要な過程です。特にSNSでは変換ミスによる間違いをよく見かけます。個人ならまだしも、企業の広報として発信する文章に間違いがあっては恥ずかしいですよね。
原稿執筆者や制作者は長時間作業に向き合っているため、ミスには気が付きにくいもの。「校正者」が客観的に文字を読むことで誤りの指摘や改善点の提案が可能になります。※本来校正は、校正紙(入稿前のデザインされた紙面)と元原稿が一致しているかを突き合わせる作業を指しますが、ここでは校正紙上の誤りを指摘し正す作業を意味します。
また、タイポグリセミア現象という言葉をご存知でしょうか?タイポグリセミア現象とは、単語の最初と最後の文字以外の順番が入れ替わっても、正しく読めてしまう現象です。以下の文章を読んでみてください。
こんちにはみさなんおんげきですか。 わしたはげんきです。
「こんにちはみなさんおげんきですか。わたしはげんきです。」と読めてしまったのではないでしょうか?
人間は単語を一文字ごとの理解ではなく、一つの集合として視覚的に認識しており、人間の脳が単語を瞬時に予測・補正しているため読むことができるとされています。
そのため、一度読むだけだと誤字を見落としてしまう可能性があります。さらに、モニター上でのチェックは、全体像を把握しようと脳が働くため、細かい部分を見落としがちです。プリントアウトして、一文字ずつ読み進めるとわかりやすく、確認漏れの防止にもなります。
3.間違いに気付けますか?
文章を書くときの大半はパソコンが利用されているが故に、人がペンを持たなくても漢字が画面上で書けてしまう、という現代。ですが今も昔も変わらず、日本語や漢字の知識が必要です。間違いに気づけるよう、普段から文章を読むことを習慣づけましょう。例えば以下の言葉たち、どこが間違いか気づけますか?
①人込みでは歩きスマホは控え、回りの迷惑にならないようにしましょう。
②この時期に異例の雨不足だったために、野菜の価格を値上げする必要がある。
③20年前に主席で卒業した彼女は、努力の末、ノーベル科学賞を授賞した。
さあ、答え合わせです。
①人込み⇒人混みでは歩きスマホは控え、回り⇒周りの迷惑にならないようにしましょう。
・かつては「人込み」の表記が一般的でしたが、現在は混雑を意味する「人混み」が推奨されています。同じ意味で表記が複数ある場合は、どれが推奨されているか確認しましょう。
・「回り」は、自分が主体となってぐるぐると回っている場合に使います。一方「周り」は、何か中心となる主体があり、その周辺のことを意味します。
②この時期⇒時季に異例の雨不足だったために、野菜の価格を値上げする⇒価格を上げる・値上げする必要がある。
・「時期」は期間を表します。文脈から梅雨の雨不足であることが読み取れるので、ここでは季節を表す「時季」が適切。
・「価格を値上げする」は「価格」と「値」の意味が重複しています。「価格を上げる」または「値上げする」が正しい日本語です。
③20年前に主席⇒首席で卒業した彼女は、努力の末、ノーベル科学賞⇒化学賞を授賞⇒受賞した。
・「主席」は、国家主席のように地位を表します。1位を表すのは「首席」。誤変換に注意です。
・「ノーベル科学賞」は存在しません。詳しくない分野でも事実確認しましょう。
・「授賞」は、賞を与えるほうの行為。この彼女は賞をもらったほうなので「受賞」です。
あなたはいくつ見つけられましたか? 間違いを見つけるためには、いかに日本語を知っているかが大切です。上記では誤字をメインに出題しましたが、脱字・衍字(えんじ・余分な字のこと)・文と写真の整合確認・用語の統一なども校正しなければなりません。
質の高い文にするために心強い1冊が、共同通信社の「記者ハンドブック」。同音類義語の使い分け、ひらがな表記と漢字表記の使い分け、登録商標の言い換え、差別語・不快用語など、現代の文章に適切な表記ルールが書かれています。参考にしてみてください。
4.修正指示は誰が見ても伝わるように
修正指示は校正紙に直接書き込む方法がベストです。口頭やメール文での修正指示も可能ですが、解釈の違いがないよう、必ず形に残すようにしましょう。校正は画面での確認よりも、紙に出力したほうが間違いを見つけやすいといわれています。手間と感じるかもしれませんが、この方法がいちばん修正漏れがありません。修正指示は必ず「赤字」で。修正内容を余白に分かりやすく誰もが見つけられる大きさで書き、線で修正箇所とつないでください。スキャンして共有する場合はカラー設定にしましょう。
修正指示を書き込んだ校正紙は、次の校正が届くまで手元に保管してください。校正が届いたら修正指示が反映されているかを見比べられるので、修正漏れが発見しやすくなります。主な確認項目を以下にまとめました。
校正のチェックリスト
●誤字脱字の指摘
●用語の統一
●文全体の整合性
●不適切な表現
●事実関係
●デザイン的なミス
●年号・日付・曜日
●ノンブル(ページ番号)
●住所・電話番号
●固有名詞(商品名・企業名など)
●人名
●外国語のスペル
●写真・イラスト
おすすめのサイトをご紹介します。校正に関するコラムが読みやすくわかりやすく書かれています。
【ひとつ上いく広告校正】https://ueiku.dank.jp/
まとめ
印刷物は一度流通したら訂正が難しいですが、ウェブは簡単に修正や削除が可能です。とはいえ、ウェブも一度発信されたら誰が見ているか分かりませんし、スクリーンショットで保存され拡散されたら信頼を損ないかねません。執筆や校正を外注したとしても、最終責任はリリースする企業にあります。媒体にかかわらず、情報を正しく伝えられるものを発信しましょう。