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担当したデザイン、上司を納得させるポイント

広報や広告・宣伝の担当者で、デザイナーへ発注する方は多いのではないでしょうか? その制作物を完成させる過程で、上司・上長に承認が必要な企業が大半だと思います。この「承認」を得る際、上司の好みでダメ出しされたり、事前打ち合わせから内容が二転三転したり、大どんでん返しを喰らったり…とやりきれない気持ちを抱えてがんばる皆さん。今回は、企業の元広報・現デザイナーの私が双方の経験を踏まえてお話しします。特に若手社員のみなさん、自信を持って作ったものを上司の一言で根負けしないよう、これを読んでコツをつかんでいただければと思います。

 

1.デザインに宿した「意思」を「論理」で説明する
2.伝えたいことはひとつ。見せ方は無限である
3.上司ともデザイナーとも関係づくりが大切
4.今回のまとめ

 

1.デザインに宿した「意思」を「論理」で説明する

打ち合わせで方向性や内容が確定し、デザイナーと一緒にゴールを目指していたはずなのに、上司の気分や好みでやり直しになってしまっては本当にもったいないです。そうならないために、

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①打ち合わせで決まった方向性・内容をもう一度伝え、原点に立ち返ってもらいましょう。社内打ち合わせの段階でラフやサンプル画像、エビデンスを添えて方向性を固めるのも一手です。
②ターゲットに届けるためのデザインで、ターゲットの購買行動に繋がる、または潜在顧客獲得のためのものであることを伝えましょう。
③なぜこの写真なのか、なぜこのコピーなのか、なぜこの色なのか、などデザイン要素ひとつひとつに根拠があることを説明できるようになりましょう。
④ターゲットに対し、自分が届けたいことを伝えましょう。
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上司は忙しいあまり、見せたデザインを感覚で判断しているのかもしれません。もちろんそのデザインの第一印象など感覚で見ることも大切ですし、上司の言葉が制作物をよりよいものにするためのヒントになるかもしれません。ですが、担当者自身が感覚で善し悪しを判断しないよう、論理の観点でもデザインを見るようにしましょう。デザイナーに制作意図を聞くと説明材料が増えることも。制作に携わる人はデザインを言葉にできるようになりましょう。

 

2.伝えたいことはひとつ。見せ方は無限である

某有名スキンケアブランドを例に見てみましょう。化粧水を主力商品として、20〜40代の女性をメインターゲットとしています。30年以上の歴史を持ち、今まで名だたる女優さんたちが広告塔を務めてきました。このブランドが伝えたいことと、どのような見せ方をしているのかを紹介します。

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伝えたいこと:すべての女性がきれいな素肌になれる化粧水

見せ方:
①30代女優によるテレビCM…美しい景色の中を走っていく→美しいイメージを強く印象付ける
②30代女優と60代女優によるテレビCM…スキンケアについての会話→今から始めると美しい60代になれることを印象付ける
③20代女優と30代女性芸人によるウェブCM…ふたりがスキンケアについておしゃべり→きれいになれることを笑いを取りながらPR
④40代俳優による駅広告…人物写真と短いキャッチコピー→男性から女性へのプレゼント候補になる

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…などなど他にもたくさんの広告を打ち出していますが、伝えたいことひとつに対し、こんなにもたくさんの見せ方があるのです。上記の①と③ではハマる人が異なるように、ターゲットを多角的に考えることで見せ方の幅が広がります。④は化粧水の利用者ではなく、贈る側にアプローチしたところが素晴らしいアイデアだと思いました。同ブランドは、限定パッケージでキャラクターコラボやポップなデザインにしたりと、広告以外でも新しい顧客をつくり出しています。このように視野を広げて方向性を探ると、消費者を飽きさせることなく、さらに今まで届かなかったターゲットを顧客にできる可能性にも繋がっていきます!

 

3.上司ともデザイナーとも関係づくりが大切

制作物をよりよいものするためには、上司・デザイナーと意思疎通が的確に図ることが大切です。あなたがデザインに宿したい意思がデザイナーに伝われば良いデザインができるでしょう。上司へは「承認を取りにいく」のではなく、「意見をもらいにいく」というスタンスで見せるといいかもしれません。同じ目線で議論できればさらに高められる助言をくれたり、あなたに任せて大丈夫と信頼を得られるかもしれません。デザインは見ればわかる、読めばわかる、という考えではいいものはできません。時にはターゲット層に近い人に話を聞いてみるのもいいでしょう。デザインを言語化することは本当に重要です。

 

4.今回のまとめ

七転八倒の繰り返しだと、視野が狭くなりマンネリの原因になってしまうことも。関わる人たちとコミュニケーションを取って、多角的な視点を持ち、自社商品・自社サービスが選ばれるデザイン作りを目指してください。