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ターゲットの可視化|シニアに向けたマーケティング戦略

2025年には日本の総人口の30.3%が65歳以上になると言われており、3人に1人が高齢者ということになります。高齢者向けの市場規模も年々拡大し、101.3兆円と予想されており巨大市場となる見込みです。その市場規模を狙ったビジネスに多くの企業が参入しています。その流れに乗り遅れないために今回は高齢者(ターゲット)の理解を深めていきたいと思います。

 

目次
1.ライフステージによるシニアの分類
2.アクティブシニアに向けたマーケティング
3.今回のまとめ

 

 

1.ライフステージによるシニアの分類

シニア市場には、異なる属性や趣味嗜好を持った方たちが多く存在します。そのため、すべての高齢者=シニア市場として一括りで考えることは不可能です。これは他の世代にも言えますが、年齢、性別、健康状態、経済状況、地域などによって多種多様ということです。新たにシニア市場に参入しようとする企業の中には、シニアの多様性を深堀りしないまま、シニアを一括りで考えたマーケティング戦略を実践し、失敗してしまったケースも多く存在するそうです。ここでは一番分かりやすいライフステージによるシニアの分類を紹介します。

 

アクティブシニア(全体の40〜50%)
趣味やボランティア、旅行などを楽しむことができる健康なシニア。

 

サポートシニア(全体の30〜40%)
日常生活において多少のサポートを必要とするシニア。

 

フルサポートシニア(全体の10〜20%)
介護が必要な状態のシニア。

 

 

2.アクティブシニアに向けたマーケティング

今回はアクティブシニア(約40〜50%)について深堀りしていきたいと思います。アクティブシニアは65歳以上の高齢者の中で、身体的にも精神的にも活発で、積極的に社会活動や趣味、フィットネス、旅行などを楽しむ高齢者を指します。アクティブシニアは健康意識が高く、自立しており、最新の技術などにも積極的で、経済的にも安定していることが多く、購買意欲も旺盛です。70歳までの就業機会の確保を企業の努力義務とする「改正高年齢者雇用安定法」が施行されたこともあり、働いている方も勿論おります。ちなみに総務省のデータでは、1990年代の高齢者に比べて男女ともに10歳以上若返っているとの研究結果も発表されているそうです。

 

① 健康とウェルネスの価値
健康とウェルネスの価値は、身体的健康、精神的健康、生涯学習など多面的です。定期的な運動やバランスの取れた食事は、病気予防と免疫力向上に寄与し、認知機能の維持やメンタルヘルスの改善も促します。新しいスキルの習得は自己実現感を高めます。

例:フィットネス機器のプロモーション
フィットネス機器の広告で、実際に使用しているシニアの成功事例や健康改善のデータを紹介する。

 

②快適性と使いやすさの価値
快適性と使いやすさの価値は、生活の質を大きく向上させる重要な要素です。快適な住環境や簡単に操作できる家電製品は、日常のストレスを軽減し、リラックスした生活を提供します。使いやすいデジタルデバイスやアプリは、シニアがテクノロジーを活用して情報収集やコミュニケーションを容易に行えるようにします。これにより、自立した生活が可能となり、健康で充実した毎日を過ごすことができます。快適性と使いやすさは、シニアの全体的な幸福感を高める鍵となります。

例:オンラインサポートの提供
製品の使用方法を詳しく解説するオンラインサポートやビデオチュートリアルを提供する。

 

③安全性と信頼性の価値
安全性と信頼性の価値は、安心して生活を送るために不可欠な要素です。安全な住宅環境や信頼できる医療サービスは、事故や健康リスクを減少させ、心身の健康を守ります。信頼性の高い製品やサービスは、日常生活の利便性を高め、長期的な満足感と安心感を提供します。特に、シニア向けのテクノロジーやヘルスケア製品は、安全性と信頼性が高いことで、シニアの自立と生活の質を大いに向上させます。これにより、より安心して豊かな生活を送ることができます。

例:顧客レビューの活用
実際の顧客からのポジティブなレビューやテスティモニアルを広告やウェブサイトで紹介する。

 

④ソーシャルインタラクションとコミュニティの価値
ソーシャルインタラクションとコミュニティの価値は、生活の質と幸福感を高める重要な要素です。社会的なつながりは孤独感を減少させ、精神的健康を促進します。地域の活動やボランティア、趣味のクラブに参加することで、共通の興味を持つ人々と交流し、支え合う関係を築けます。これにより、シニアは自己実現感と充実感を得られ、地域社会も活性化します。強固なコミュニティは、災害時の助け合いや情報共有を円滑にし、全体の安全性と安定性にも寄与します。

例:ユーザーコミュニティの立ち上げ
シニア向け商品のユーザーコミュニティを立ち上げ、オンラインとオフラインでの交流を促進する。

 

⑤経済性とコストパフォーマンスの価値
経済性とコストパフォーマンスは、限られた収入で最大限の価値を引き出すために重要です。コスト効率の高い商品やサービスを選ぶことで、日常生活の質を向上させる一方で、経済的負担を軽減します。これにより、シニアは安心して自立した生活を続けることができ、経済的な安定と満足感を得られます。

例:長期使用の経済的メリットの提示
商品の耐久性と長期使用による経済的メリットを広告で強調する。

 

⑥デジタルテクノロジーの価値
デジタルテクノロジーの価値は、生活の質を向上させる重要なツールです。オンラインコミュニケーションは、家族や友人とのつながりを維持し、孤独感を軽減します。健康管理アプリやオンライン医療サービスは、健康維持と迅速な医療支援を可能にします。また、デジタル学習プラットフォームを通じて、新しいスキルや知識を習得し、生涯学習を促進します。デジタルテクノロジーは、シニアが自立し、充実したアクティブな生活を送るための強力なサポートとなります。

例:デジタルワークショップの開催
シニア向けのデジタルワークショップを開催し、テクノロジーの利便性と使用方法を教える。

 

これらのマーケティング視点と想定するターゲットを組み合わせることで、アクティブシニアのニーズに応え、彼らにとって魅力的な商品価値を提供することができます。ライフスタイルや価値観を深く理解し、それに応じたアプローチを取ることが成功の鍵となります。

 

 

3.今回のまとめ

自分がシニアになる約20年後の未来を想像した時に、アクティブシニアに変わるネオアクティブシニアとして一体どこまで価値観やライフスタイルが変わっているのかとても気になります。今回まとめたアクティブシニアだけが特別ということではなく、年齢、性別、健康状態、経済状況、地域などによってもマーケティングは変わります。シニア層とひとくくりにするのではなく、まずは知ることから始めて、理解したうえで、広告・販促を考えることで先を見据えた関係性を築きあげていきましょう。