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UGCとは?ユーザーコンテンツを活かしたマーケティングと活用事例

商品を購入する前のリサーチとして、検索エンジンで「ググる」という行為からInstagramなどのSNSで「タグる(=タグ機能を使って検索する)」という行為が重視されるようになってきています。

「タグる」が注目され出した理由は、企業側が出す情報よりも実際に利用しているユーザー目線のレビューや写真のほうが信頼できる情報源だと、ユーザーが捉えているからと言えます。

こうしたユーザーが作ったコンテンツは「UGC」と呼ばれ、うまく活用できれば消費者の購買行動を促すことができ、企業にとっても影響力の大きい存在です。

そして、Web広告に対する規制の強化や押し付け感が強い広告に対する嫌悪感の増大も、UGCを活用するマーケティングの追い風となっているかもしれません。

UGCのメリットやマーケティングでの活かし方、企業の活用事例を詳しくご紹介します。

UGCとは?UGCの意味と注目される理由

UGCとは「User Generated Content」の略で、「一般ユーザーによって作られたコンテンツ」のことです。

企業によって作られたコンテンツではなく、個人のSNSの投稿や写真やECサイトのレビューなど、ユーザー発信のコンテンツを指します。

具体的には下記のようなコンテンツです。

SNSに投稿された画像や動画、テキスト
・個人ブログで投稿された商品の評価
・オンラインストアでの製品レビュー
・掲示板サイトに投稿されたコメント
など。

インターネットの普及によって、多くのユーザーの意見や感想が簡単に公開されるようになりました。

1.UGCとIGC、CGMの違い

UGCと似た言葉に、IGCとCGMがあります。

IGCは「Influencer Generated Content」の略で、「インフルエンサー生成コンテンツ」のことです。おもにインフルエンサーが企業側から依頼されたプロモーションのために発信するコンテンツを指します。

そして、よくUGCと混同されがちなのがCGMです。こちらは、「Consumer Generated Media」の略で、一般ユーザーの投稿で成り立つメディアそのものを指します。
・アットコスメ
・Yahoo知恵袋
・COOKPAD
・食べログ
などのサイトが有名です。

2.向き、不向き

UGCはユーザー発信の情報なので、マーケティングに活かせるのは基本的にはBtoC業界です。

その中でもファッション・コスメ・グルメ・観光スポットなど、自分の体験をシェアしたり勧めたくなるようなサービスや商品は、UGCが発生しやすく企業側も活用がしやすいでしょう。

一方で、利用していることを他の人には知られたくないような商品は、個人の拡散力に期待できないのでマーケティングの活用には不向きと言えます。

3.なぜUGCが注目されるようになったか

UGCが注目されるようになった理由は、近年押し付け感のある広告に嫌悪感を抱く消費者が増えているからと言われています。

また、商品購入の際にはネット上の口コミ情報を参考にするというユーザーが多く、株式会社トリドリが2023年に全国の10〜40代の男女を対象に行った調査によると、「商品購入の際に、購入の決め手となる要素を3つまで選択してください」という問いに対し、「ネットの評判・口コミが良かったから」という回答が43.0%で最多でした。
参考元:https://ecnomikata.com/ecnews/40618/

売り込みのようなコンテンツではなく、リアルな生活者の発信のほうが信頼性を得られ共感してもらえるので、UGCは企業のマーケティング手法として広く活用されるようになりました。

UGCをマーケティングに活用するメリット

UGCを活かしたマーケティング手法は企業にとってもメリットが多いです。

1.信頼性の向上

先述の通り、広告は「企業からの一方的な発信」と捉えられ、ユーザーに嫌悪感を抱かれることがあります。

一方で、UGCは実際に商品を使った人のリアルな口コミです。企業と利害関係がないユーザー目線のコンテンツなので、信頼性が高い情報源だと感じる人が多いです。

2.商品開発の参考になる

ユーザーが実際の生活の中で撮影された写真は、時には企業が想定していない使い方や利用シーンが垣間見えることもあります。企業側はユーザーの新たなアイデアをこれまでにないコンテンツとして、SNSなどで活用ができます。

また、リアルなレビューは貴重なデータとして蓄積されます。
「ここがいまいちだな…」
「こうなればもっと良いのに!」
というような、ユーザーが挙げる不満点を企業側が把握することで、今後の製品改良や新たな商品開発に活かすことができます。

顧客満足度の向上にも繋がります。

3.制作コスト、広告コストの削減

自社のSNSでユーザーの投稿をリポストしたり、ホームページ上で紹介したりすることで、ユーザーのリアルの声が盛り込まれた魅力的なコンテンツになります。企業側はコンテンツを企画したり制作したりする手間が省けます。

そして、ユーザーが自発的にコンテンツを拡散してくれるので、認知拡大と販売促進などの効果も期待できます。Web広告に費やしていた予算を抑えることができます。

UGCを活かしたマーケティング方法と事例

ここからは、実際にUGCを活用した企業マーケティングの手法と事例をご紹介します。

1.ホームページにInstagram投稿を掲載

インテリアショップ「unico」のUGC活用事例です。

お客様のInstagram投稿を掲載したホームページのスクリーンショット

引用元:https://www.unico-fan.co.jp/shop/default.aspx

自社のホームページのTOPページ上にて、実際にunicoの商品をインテリアに取り入れているユーザーのInstagram投稿画像を掲載しています。

リアルユーザーが暮らしに取り入れたインテリアは、企業の宣材写真では表現できない空気感が魅力です。

購入前の参考になりそうなコンテンツです。

2.ホームページにお客様レビューを掲載

次は、お客様レビューを活用した事例です。靴下のオンラインストア「タビオ」では、ECサイトに実際に商品を購入したお客様の感想を掲載しています。

お客様レビューが使用されているホームページのスクリーンショット

引用元:https://tabio.com/jp/

「また購入したい」
「配送が早い」
「安心して買える」
など、購入者のリアルなレビューは、購入を迷うユーザーの後押しとなりそうです。

3.Instagramでユーザーの投稿をリポスト

次の事例は、旅行店「HIS」が運営するInstagramアカウントです。

HISのInstagramのスクリーンショット

引用元:https://www.instagram.com/his_japan/

自社オリジナルのハッシュタグ(#his_japan2024)を設定し、ユーザーが訪れた世界の観光スポットの写真をリポストしています。

そのまま画像を投稿するのではなく国名や観光地名が記載されたデザインが施されています。視認性も高く統一感があるコンテンツに仕上がっていて、好印象です。

4.ハッシュタグキャンペーンの開催

最後は、UGCを活用したSNSでのキャンペーン事例です。玩具ブランド、「レゴジャパン株式会社」のX(旧Twitter)で実施されたハッシュタグキャンペーンです。


ハッシュタグ「#LEGO90years」「#レゴで日常を遊び場に」を使用した、ワクワクする写真を大募集しました。

豪華賞品も用意され、レゴのファンが思わず投稿したくなるような楽しいキャンペーンになりました。ハッシュタグをタップすると閲覧できる投稿画像はどれも面白く、思わず見入ってしまいます。

UGCを活用する際の注意点

企業にとってメリットが大きいUGCですが、マーケティングで活用する際には情報の取り扱いに注意が必要です。

以下のような点に気をつけましょう。

1.薬事法の抵触

おもに、美容や健康に関わる商品やサービスに関わってくるのが薬機法です。

ユーザーによって生成されたコンテンツであっても、企業が利用した時点で企業の表現物となるため薬機法の対象になります。

UGCを利用する際は、薬機法に抵触しないかくれぐれも注意しましょう。

2.著作権やプライバシーへの配慮

UGCを自社サイトやSNSなどに利用する場合は、必ずユーザーに直接事前の利用許諾をとりましょう。許可をとらずに掲載してしまうと著作権の侵害になることもあります。

3.ステルスマーケティング対策

ステルスマーケティングとは、一般的に「ステマ」と呼ばれ、企業から対価を受け取っているにも関わらず宣伝であることを公表せずに、良い口コミや評価を行う行為のことです。2023年10月1日には景品表示法が改正され、ステマ規制は今まで以上に厳しくなりました。

ユーザーが自発的に生成したコンテンツは問題ないですが、企業側からインフルエンサーやモニターに依頼した投稿には必ず「PR」「広告」など明示するようにしてください。

4.ネガティブなコンテンツの対処

UGCは一般ユーザーが投稿するので、間違った情報や不適切なコメントが発信される可能性もあります。一歩間違えると炎上に繋がるケースもあるかもしれません。

自社のホームページやSNSで活用する際は、しっかりと画像やテキストに問題がないかを念入りにチェックしましょう。

ハッシュタグキャンペーンを行う際には、不適切な投稿がないかチェック体制をあらかじめ準備しておくことも必要です。

まとめ

UGCはユーザーにとって有益で信憑性の高い情報です。今後もデジタル化が進むことを考えると、その価値はますます高まるでしょう。

うまくUGCを活用できれば企業にとって費用対効果の高いマーケティング戦略ですが、UGCが集まらないことには始まりません。

良い商品・良いサービスを提供し続ければ、ユーザーの中で「誰かに勧めたい」「この感動を伝えたい」という感情が高まりUGCは自然と集まり拡散されるはずです。

中・長期的な視点でお客様の声に真摯に向き合いながら、UGCをマーケティングに活かしていきましょう。