投稿日:|更新日:

AIモデル・AIタレントを起用した販促効果と注意点

2023年以降、AI生成による販促が急増しています。その中でも、AIモデルやAIタレントを起用した広告が注目を集めています。最近では、東京都知事の「AIゆりこ」やファッションセンターしまむら 下高井戸店のAIモデル「瑠菜」が話題になっています。このブログでは、AIモデルやAIタレントを起用した販促の効果や注意点についてご紹介いたします。

AIモデル・AIタレントとは、人のような容姿・声、ときには性格などを併せ持った生成AIで、実在する人物ではなくバーチャルヒューマンとも呼ばれています。実在するタレントや広告モデルのように、広告や動画サイト、SNSなどを通して情報を発信し、人々に大きな影響を与えています。具体的な事例として、以下の企業が挙げられます。

起用事例

【伊藤園】日本初!CMにAIタレントを起用

伊藤園は「お〜いお茶 カテキン緑茶」のテレビCMに、生成AIで作成したタレントを起用しました。健康的に歳を重ねるために、若いうちからカテキン緑茶を飲もうという内容です。
SNSでAIタレントであることが拡散され話題になりました。
https://youtu.be/XHowu-a4aHw?si=3g6ZLSiCRrNJ3GYP

【パルコ】最先端の秘術を駆使したAIモデル

実際のモデル撮影は行わず、人物から背景にいたるまで、プロンプト(画像を生成するための言葉)から構成されています。グラフィック・ムービーの他、ナレーション・音楽も全て生成AIにて作成した最先端の画像生成AIを駆使したファッション広告です。
https://predge.jp/280305/

【AIゆりこ】東京都知事 小池百合子がAIで発信

これまでの都政での取り組みをわかりやすく伝えるために、生成AIによる動画を作成しました。
現職都知事として公務に邁進している小池ゆりこ本人に代わって、AIゆりこがお伝えしています。
https://www.youtube.com/watch?v=il3SwO7rWKc

【ファッションセンターしまむら】AIモデル「瑠奈(るな)」

「しまむら 下高井戸店」の販促活動にAIモデル「瑠奈」を起用。他にも年齢(20歳)や身長(158cm)、職業(服飾専門学生)、さらには特技や趣味、家族構成など細かなプロフィールが設定されています。自撮り写真以外にも、普段の生活の様子なども発信しています。
https://www.instagram.com/lunagram_158?utm_source=ig_web_button_share_sheet&igsh=ZDNlZDc0MzIxNw==

【近畿大学】実際には存在しない近大生(「第43回 新聞広告賞 新聞広告大賞」を受賞)

実際の近大生の顔写真400枚をAIに学習させ、「いそうでいない近大生」を作り出しました。ひとりの大学生がわずか1ヶ月で完成させたというプロセスも話題となりました。
https://www.pressnet.or.jp/adarc/ex/ex.html?a2064

【野村グループ】新NISAの広告ポスターにバーチャルヒューマンのimmaを起用

新NISAを若年層に対してアピールするために、コンピューターで生成されたインフルエンサー「imma(イマ)」を起用。インスタグラムのフォロワー数が39万人を超えるなど影響力の大きい「インフルエンサー」です。
https://www.instagram.com/imma.gram?utm_source=ig_web_button_share_sheet&igsh=ZDNlZDc0MzIxNw==

事例からもわかるように、AIモデルやAIタレントは様々な企業で効果的に活用されています。しかし、これらにはメリットだけでなくリスクも存在します。
次に、AIモデル・AIタレントのメリットとリスクについて詳しく見ていきましょう。

AIモデル・AIタレントを起用するメリット

1.ブランディングやプロモーションの最適化

テレビCMや広告展開において、統一されたビジュアルを提供しやすくなります。モデルは常に同じ見た目と品質を保つため、ブランドイメージを一貫して伝えることができます。

2.コスト削減

AIへの初期投資はかかりますが、実在する人間のタレント・俳優・モデルを起用する時のギャラ、撮影のリードタイム短縮やキービジュアル制作にかかる費用など継続的な費用を抑えることができます。人間のモデルと違い、撮影場所や時間に制約がないため、柔軟にプロモーション活動を行うことができます。

3.不祥事の心配がない

不祥事を起こさないため、企業やブランドイメージを損なうリスクがありません。

4.休みが不要

「休みなく働ける」という最大のメリットがあります。

AIモデル・AIタレント起用する際のリスクと注意点

1.肖像権侵害のリスク

外部データから学習するAIを用いる場合、実在する人物に似てしまうことがあります。これは肖像権侵害のリスクを伴い、企業イメージの低下につながる可能性があります。弁護士の見解を得るなど、事前に法的なチェックを行うことが重要です。

2.ファンの喪失

これまで起用されていたタレントを応援していたファンが、AIモデルに置き換わることで商品を買わなくなる可能性があります。ファンとの関係性を維持するための戦略が必要です。

3.ブランドイメージの不一致

生成したAIタレントが広告起用した商品のイメージにそぐわず、その価値を毀損するリスクがあります。事前に商品のイメージに合ったAIタレントを選定することが求められます。

4.若手タレントの機会損失

若手タレントが企業のブランド力を借りて知名度を高める機会が減少し、将来的に企業が起用できるタレントを失うリスクもあります。人材育成の観点からもバランスを取ることが大切です。

まとめ

AIモデル・AIタレントの起用は、物価が高騰している今、企業にとっては救世主のように感じますが、人間だからこそ表現できる魅力や感情があります。AIモデルだけに頼るのではなく、適切に共存し、上手く活用することが重要です。また、リスクと注意点にも気をつけなければなりません。
近い将来、AIモデルが進化し、人間ならではの魅力や感情も、AIモデルが表現できるようになるかもしれませんね。