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いろんな印刷を知ろう!印刷方式とその特徴について

私たちの身の回りは印刷物で溢れています。印刷物といっても、さまざまな方式で印刷されているのはご存知でしょうか?作りたい印刷物によって、印刷方式を使い分ける必要があります。今回は、代表的な印刷方式とその特徴をご紹介します。是非チェックしてみてください。

1.平版印刷(オフセット印刷)
2.凸版印刷(活版印刷、フレキソ印刷)
3.凹版印刷(グラビア印刷)
4.孔版印刷(スクリーン印刷)
5.オンデマンド印刷(デジタル印刷)
6.まとめ

 

1. 平版印刷(オフセット印刷)

平版印刷は、版にほとんど凹凸がない平らな版を使用する印刷方式です。平版印刷にはNHK朝ドラ「らんまん」でも注目された石版印刷、オフセット印刷がありますが、現在ではほとんどがオフセット印刷となっています。版に付けたインキをブランケット胴に転写(オフ)し、紙に転移(セット)して印刷することから「オフセット印刷」と呼ばれています。商業印刷、書籍印刷、美術印刷などの幅広い分野で使用されています。短時間で鮮明な印刷を大量に行えるので、大部数のチラシ、雑誌、パンフレット、ポスターなどの商業印刷に適しています。反対に、少部数の印刷にはあまり向いていません。出来ないわけではないですが、製版コストがかかるため、大部数の場合に比べて料金が割高になります。少部数の場合は後に記載するオンデマンド印刷を選ぶなど、印刷する数にあわせて最適な方法を選びましょう。

2. 凸版印刷(活版印刷、フレキソ印刷)

凸版印刷は、文字や図柄などの印刷したい部分が凸状になる版を作成してインキをつけ、紙に直接圧力をかけて転写する印刷方式です。その際に押し出されたインキによって周囲に濃い部分が生じ、輪郭がはっきりした仕上がりが得られます。しかし濃淡を表現する網点の数が少ないため、細かいグラデーションで表現しなければならない絵柄や写真などの印刷には向いていません。
活版印刷は凸版印刷のひとつであり、活字を組んで作った版で新聞、雑誌、書籍などのほか、文字の印刷に広く使用されてきました。圧力をかけた箇所が凹むことで全体に凹凸ができ、デザインにアクセントを付けることができます。名刺やショップカード、コースターなど少し個性を出したいときにおすすめです。
また、凸版印刷ではもともと木版や亜鉛版などが使われていましたが、時代とともに技術が発展し、樹脂やゴムなどのやわらかい版でも印刷できるフレキソ印刷も登場しました。フレキソ印刷は段ボールや紙袋、布などの印刷に用いられています。使用できるインキは油性、水性、UVと幅広く、なかでも環境に優しい水性インキが最適と言われています。近年、環境問題に関心の高いヨーロッパでは、フレキソ印刷への移行が活発に行われています。しかしインキがやや滲みやすいため、日本では印刷の再現性を重視するあまり、フレキソ印刷の導入は遅れをとっています。ただ近年の印刷技術の向上により品質が飛躍的に向上しているため、今後ますます環境への配慮が求められる印刷業界において、フレキソ印刷はより注目を集めていくでしょう。

3. 凹版印刷(グラビア印刷)

凹版印刷は凸版印刷とは反対に、版に凹みを作ってそこにインキを流し込み、紙やフイルムに印刷をする方式です。凹んだ部分に溜まったインキの量でグラデーションを表現できることにより、濃度領域が広く、特に写真の再現度が高いという特徴があります。グラビア印刷は、その高品質なカラー表現力から、プラスチックフィルムや金属箔など、紙以外の軟包装材料によく使用されています。繊細で複雑な絵柄もきれいに印刷できるため、偽造防止対策として紙幣やパスポートの印刷にも使用されています。かつてはカラー雑誌の印刷にもよく使われていましたが、製版が複雑でオフセット印刷よりもコストがかかるため、現在ではオフセット印刷が選ばれることが多くなっています。

4. 孔版印刷(スクリーン印刷)

孔版印刷は、版にインキを付けて印刷するのではなく、版自体に穴をあけ、そこからインキを擦りつける印刷方式です。スクリーン印刷も孔版印刷の一種で、版にかつては絹(シルク)を使っていたので、シルクスクリーンという呼び名がありましたが、現在はテトロン、ナイロン等の化学繊維のスクリーンを利用しています。スクリーン印刷はガラス、プラスチック、合成樹脂、金属、布等、ほとんどどのような素材にも印刷ができるため、紙以外に印刷する必要がある場合によく利用されています。また、平面ばかりじゃなく瓶やコップのような円筒形円錐形・曲面にも印刷できるのが大きな特徴です。最近では簡単に自作でTシャツなどにシルクスクリーン印刷できるキット商品なども市販されていますので、興味のある方は是非試してみてください。
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5. オンデマンド印刷(デジタル印刷)

オンデマンド印刷方式は、印刷用の版を必要とせず、トナー方式やインクジェット方式などを利用したデジタル印刷機で印刷を行うものです。「オンデマンド」とは「要求に応じて」という意味を持ちます。版の出力を必要としないため、パソコンから直接印刷機にデータを送り印刷します。印刷にかかる時間を大幅に短縮できますので、低コスト・短納期の場合が多いです。また小ロットのものに適しているため、少しだけ印刷したい場合は、オフセット印刷でなくオンデマンド印刷などを選んだほうがコストを抑えられる場合があります。たとえば名刺、ポストカード、ポスターなど小部数の印刷に向いています。印刷する数に合わせて最適な方法を選びましょう。

6. まとめ

今回のコラムでは代表的な印刷方式と特徴などについてご説明させていただきましたが、いかがでしたでしょうか?
「どんな印刷物を作りたいのか」「どういった目的で印刷物を作るのか」によって、適した印刷方式は変わってきます。印刷を手配する時には、利用用途にあわせて最適な印刷方式を選びましょう。

 

・出典
ぷりんとぴあ
プリントネット
繁盛シール工房