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広告よりも信頼性が高い?UGCがもたらす効果とは

過去のマーケティングでは、ブランドが主導権を握り、消費者に対してメッセージを一方的に送り込むことが一般的でした。ですが近年主流となっているのが、消費者が主役となり、ブランドとの関係をより深く結びつけるUGC(ユーザー生成コンテンツ)を用いたマーケティングです。
今や、SNSの普及により、誰もが自分の声を発信し、独自のコンテンツを作成できる時代となりました。InstagramやYouTube、TikTokなどのプラットフォームは、人々に広大な舞台を提供し、彼らの才能や情熱を世界中に発信する場となっています。
しかし、UGCは単なる個人の発信手段に留まりません。それは、ブランドと消費者との関係を新たな次元に引き上げる力を持っています。消費者はブランドの製品やサービスについての感想やエピソードを自由に共有し、他の消費者とつながることで、オーガニックな口コミ効果を生み出すのです。
本記事では、UGCの力と魅力、そして成功事例を通じて、ブランドが消費者とより深い絆を築くための戦略を考察していきます。

1.UGC(ユーザー生成コンテンツ)とは?
2.消費者主導のマーケティング時代の到来
3.UGCマーケティングの成功事例と戦略

 

 

1.UGC(ユーザー生成コンテンツ)とは?

UGC(user-generated content:ユーザー生成コンテンツ)は、ユーザー自身がブランドや企業に関連するコンテンツを主体的に作成し、共有するマーケティング手法です。消費者が自発的にブランドに関わり、自身の経験や意見を発信することによって生まれるコンテンツは、広告や宣伝に比べて信頼性が高く、オーガニックな広告効果が期待できます。

UGCの特徴とメリット

UGCはいくつかの特徴とメリットを持っています。

信頼性とオーガニックさ: UGCは消費者自身が作成するため、一般の人々による生の声や意見を反映しています。そのため、広告や宣伝に比べて信頼性が高く、よりオーガニックな形で広がります。

エンゲージメントの促進: UGCは消費者とブランドとの間に参加型の関係を築くことができます。消費者は自身の体験や感想を共有することでブランドとのつながりを感じ、より深いエンゲージメントを生み出すことができます。

コンテンツの多様性とクリエイティビティ: UGCは多様な形式やコンテンツで表現することができます。写真、動画、レビュー、ストーリーなど、さまざまな形式で消費者が自身の表現力を発揮できるため、クリエイティビティが刺激されます。

UGCの種類と例

UGCはさまざまな形式で表現できます。以下にいくつかの一般的なUGCの種類と具体例を紹介します。

写真や動画: 消費者が製品やサービスを使用する様子を写真や動画で共有することがあります。たとえば、レストランでの美味しい料理の写真や、新しい商品を使用したメイクアップチュートリアルの動画などがあります。

レビューやコメント: 消費者が自身の経験や感想をレビューやコメントとして共有することがあります。これによって他の消費者は実際の評価や意見を参考にすることができます。例えば、Amazonの商品レビューやホテル予約サイトでの宿泊者のコメントなどがUGCの一形態です。

ストーリーやエピソー: 消費者が自身の体験やストーリーを共有することもあります。これによってブランドとの関わりや製品の利用方法などが伝えられます。例えば、旅行中のエピソードをブログやSNSで共有することや、ブランドに関連するコミュニティでの体験談の投稿などがUGCの一例です。

クリエイティブなチャレンジやコンテスト: ブランドが消費者に対してクリエイティブなチャレンジやコンテストを呼びかけることで、UGCを促進することができます。消費者は自身のアイデアやスキルを活かしてブランドのコンテンツに貢献し、参加者同士で競い合うことができます。例えば、写真コンテストやハッシュタグキャンペーンなどがあります。

上記のUGCの種類はあくまで一例です。ブランドや企業は消費者の創造力や表現力を引き出すために、これらのコンテンツを活用してエンゲージメントを促進することが重要です。

 

2.消費者主導のマーケティング時代の到来

SNSが流行する以前のマーケティング手法では、ブランドや企業がメッセージを一方的に送り込み、消費者に対して影響を与えることが主流でした。しかし、新たな時代の訪れとともに、マーケティングの様相は大きく変わりました。

過去のマーケティングとの違い

伝統的なマーケティング手法では、テレビ広告や新聞広告、ラジオ広告などのマスメディアを中心に広告を展開し、消費者に対して情報を伝えました。ブランドがコントロールし、一方的にメッセージを発信することが特徴でした。しかし、デジタル時代の到来により、消費者の役割が大きく変化しました。

SNSとUGCの相互関係

ソーシャルメディアの普及により、誰もが自分の声を発信し、情報を共有するプラットフォームが広がりました。特にSNS(ソーシャルネットワーキングサービス)は、UGCの主要な発信地となっています。消費者は自身の経験や意見、クリエイティビティを自由に表現し、他の人々とつながることができます。一方で、ブランドや企業はSNSを活用してUGCを促進し、消費者とのエンゲージメントを図ることが重要になりました。消費者がブランドに対してポジティブな経験・体験を共有することで、信頼性の高い広告効果や口コミの拡散が生まれます。

UGCがもたらすブランドへの影響力

UGCは消費者自身の声や経験を反映しているため、広告や宣伝よりも信頼性が高く、ソーシャルプルーフ(他の人々の行動や意見を通じて、自身の意思決定や判断の正しさを裏付ける効果)を提供します。また、消費者はUGCを通じてブランドとの関わりを感じ、自身の声や意見を反映させることで、ブランドに対する愛着や忠誠心が深まります。ソーシャルメディア上で拡散されることにより、新たなターゲットにもブランドが認知されるようにもなります。

 

3.UGCマーケティングの成功事例と戦略

UGCマーケティングは、多くのブランドや企業が成功を収めています。以下にいくつかの具体的な事例と戦略をご紹介します。

1. Coca-Colaの「Share a Coke」キャンペーン

画像引用:https://cocacolaunited.com/blog/2015/05/18/share-coke-bigger-better-ever/
コカ・コーラ社は「Share a Coke」というキャンペーンを展開し、UGCマーケティングを活用しました。このキャンペーンでは、個別の人名が入ったCoca-Colaのボトルが販売され、消費者は自分や友人の名前が入ったボトルを見つけたり、シェアしたりすることができました。このキャンペーンはオーストラリアで実施されたのがきっかけですが、そこから話題となり、世界70カ国で成功を収めるキャンペーンとなっていき、さらにさまざまな形で「シェア」を促すキャンペーンへと変化を遂げています。

2. GoProのユーザー動画の活用

画像引用:https://www.youtube.com/@GoPro/featured
アクションカメラブランドのGoProは、ユーザーが撮影したエキサイティングな動画を活用することで、UGCマーケティングに成功しました。ユーザーは自身のアウトドアアクティビティや冒険の様子を撮影し、その動画をGoProの公式チャンネルやSNS上で共有できます。ユーザーは自分の撮影した動画を広く公開する機会を得ることができ、同時にGoProの魅力を体現するプロフェッショナルなカメラとしてのイメージを高めました。GoProはこれらのユーザー動画を積極的に公式のチャンネルやSNS上でシェアし、その中から特に素晴らしい作品をフィーチャーしました。これにより、ユーザーは自分の作品がブランドの一部として認められることを実感し、より熱心なファンとしての参加意欲が高まりました。

3. Starbucksの「#WhiteCupContest」キャンペーン

画像引用:https://storybox.io/blog/2017/7/25/tourism-queensland-best-job-in-the-world-z3csp
コーヒーチェーンのStarbucksは、ユーザーが紙コップに描いたアートの写真を共有する「#WhiteCupContest」というキャンペーンを展開しました。ユーザーは自身の創造性を発揮し、ブランドとの共有体験を楽しむことができました。作品を「#WhiteCupContest」のハッシュタグと共にSNS上で共有し、投票を募り最も人気のある作品が選ばれ、そのアートが実際のコーヒーカップに採用される機会も与えられました。ユーザーの創造性が発揮されることで、コミュニティの一員としての誇りや愛着が高まるキャンペーンとなった一例です。

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UGCマーケティングは、消費者が主役となる新しいマーケティング時代を切り開いています。これまでの広告や宣伝の方法に頼るだけではなく、消費者自身の声や意見を活かし、共感を生み出すことでブランドの魅力を高めているのです。
多くの成功事例を見ると、UGCマーケティングの戦略は個別性の強調や共有の促進、ユーザーの参加意欲の喚起などが重要な要素となっています。UGCマーケティングの成功は単なるキャンペーンや一時的なトレンドにとどまりません。消費者が積極的に参加し、ブランドと共にストーリーを作り上げる新しい形態なのです。
ブランドや企業はUGCマーケティングを通じて、消費者との関係を築き、共感を生むコミュニティを形成することが求められています。UGCの力を最大限に活用し、マーケティング施策に役立てましょう。