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販促に欠かせない「費用対効果」とは?概要と測定方法をご紹介

売上や利益を拡大するには、費用対効果が良い効果的な販促の施策を打つことが欠かせません。しかし、「費用対効果とは何だろう」「どう分析するのだろう」など、費用対効果について実は詳しく知らない企業担当者も多いのではないでしょうか。そこで今回は、販促の成否を分析する上で欠かせない費用対効果について、その基礎知識と具体的な測定方法、測定する意義などを解説していきます。

1.費用対効果とは

費用対効果は、効果的な販促を目指す上で非常に重要な指標となります。うまく使いこなすには内容を正しく理解しておくことが大切なので、まずは費用対効果の基礎知識を押さえておきましょう。

そもそも「費用対効果」とは?
費用対効果とは、企業が販売する商品・サービスの製造から管理・販売までにかかった費用に対し、どれほどの効果が得られたかを示す数値のことです。コストパフォーマンスとも呼ばれ、費用対効果が高いほど効率良く売上を伸ばせていることになります。詳しい測定方法は後述しますが、一般的に費用対効果は「利益-投資金額」で表すことができます。たとえば100万円かけてAというシステムを導入して300万円の利益を得た場合、Aの費用対効果は200万円です。同じく100万円かけてBというシステムを導入し、400万円の利益が出た場合、Bの費用対効果は300万円になります。両者を比較すると、AよりもBのシステムのほうが費用対効果が高いことがわかるのです。

このように、費用対効果はどれほど効率良く利益を出したかを示す指標にもなっており、経営方針などを決める際に重視されることも珍しくありません。費用対効果を用いれば、規模が異なる部署や事業、販促施策の成果などを比較することも可能です。「その費用が売上の拡大に効果があるのかどうか」を客観的に判断する材料となるため、新たな事業や広告の出稿など、投資前の検証としてよく利用されます。企業が効率良く成長する上で無視できないものであり、費用対効果を正確に把握・分析していくことが重要です。

「費用」や「効果」は何を示す?
費用対効果を考える上で、そもそも何が「費用」「効果」に該当するかわからない人もいるでしょう。費用には、金銭的なものだけでなくその事業にかかった時間や労力なども含まれています。具体的には商品のデザインを考える時間や労力、営業に必要な時間や労力、広告活動にかかる時間や労力などです。これらは数値で表すのが難しいですが、事業のために欠かせない立派なコストの一部と言えます。

一方の利益は、金銭的なものに加えて消費者の反応やイメージなども含みます。商品・サービスの売上だけでなく、販売によって発生するさまざまなプラス要素も利益とみなせるのです。たとえば、広告活動を行った際の集客数やブランドイメージの向上、自社の公式サイトへのアクセス数なども将来的な売上につながる可能性があり、利益の一部と考えられます。

投資対効果とはどう違う?
費用対効果とよく似た指標に、「投資対効果」というものがあります。費用と投資はどちらも事業の成功を目指してつぎ込むものという意味では同じですが、「対象の期間」に違いがあるため注意しなければなりません。費用対効果は短期的なコストに対する効果を表すものであり、コストをかけなくなると効果もほぼ同時期にストップするのが基本です。これに対し、投資対効果はコストをかけなくなっても将来的なリターンを期待できるものであり、中長期的な効果を測定しています。

たとえば、自社を宣伝するべくWeb広告を出稿したとしましょう。大きな目的が新商品の売上アップなら費用対効果として測定しますが、企業の認知やブランディングが目的なら投資対効果を測定する必要があります。費用対効果と投資対効果は似ていますが、それぞれ特徴が異なるのでシーンや目的に合わせてうまく使い分けることがポイントです。

 

2.測定方法

費用対効果の測定方法は、上述した「利益-投資金額」以外にもいくつかあります。「ROI」「ROAS」「CPA」という指標を表す代表的な3つの計算式と、それらを用いて費用対効果を測定する意義について見ていきましょう。

「ROI」を用いた計算方法
ROIは投資利益率を示すものであり、投資金額に占める利益率を計算します。投資対効果と非常に似ていますが、短期的な効果を測定したい場合はこのROIによる計算を用いると良いでしょう。「ROI(%)=利益÷投資金額×100」で計算でき、結果が100%以上なら利益率が高く、費用対効果に優れていることになります。

「ROAS」を用いた計算方法
ROASは、かけた広告費1円あたりにどれほどの利益が出たかを示すものです。「ROAS(%)=広告からの流入ユーザーによる売上÷広告出稿費×100」で計算でき、数値が大きいほど費用対効果が優れていることになります。売上をどこまでカウントするかは商品・サービスの内容にもよりますが、消費者が広告から流入してそのまま購入した売上、流入後一定期間内に購入した売上など、必要に応じて範囲を設定しましょう。

「CPA」を用いた計算方法
CPAはコンバージョン1件を獲得するためにかかった費用を示すもので、広告運用の費用対効果を知りたいときによく用いられるものです。効果にはアクセス数や会員登録数、商品・サービスの購入といったものが該当し、一般的に「CPA(円)=広告費用÷コンバージョン数」で計算します。たとえば100万円の広告費用をかけた場合、成果が100件ならCPAは1万円、成果が50件ならCPAは2万円です。CPAが低いほど少ない費用で多くの成果を得たことになり、費用対効果が優れていると言えます。

費用対効果を測定する意義とは?
費用対効果を測定すると、「利益をどれほど効率良く生み出せたか」を客観的に把握できるようになります。一見売上額が大きく見えても、費用が多くかかっていればその分利益は減ってしまいます。売上額の大きさに惑わされ、経営方針や事業展開など誤った判断をしてしまう恐れもあるでしょう。この点、費用対効果の測定によって「効率」がわかれば、売上げの規模や額にかかわらず、その事業の純粋なパフォーマンスを把握できます。パフォーマンスが悪ければ、無駄なフローを改善したりノンコア業務を外注したりするなど、内容を見直して改善を図れば利益拡大を実現できることもあるでしょう。パフォーマンスが良ければさらに事業を展開するなど、企業の安定的・継続的な成長のために正しい判断を下しやすくなります。

販促においても、かけた費用に対して十分な販促効果が得られるのかという点は非常に重要です。費用対効果の低い施策をいつまでも打っていては、せっかくの売上を無駄にしてしまうかもしれません。利益拡大には売上に占める費用の割合を減らすことが欠かせないため、施策ごとに費用対効果を測定・分析して施策の絞り込みや改善を行い、より効果的な施策の立案・実施を目指すことが大切です。経営陣だけでなく現場の従業員たちも「費用と効果」という意識を持つことで、自然と費用対効果の高い商品や施策を実現するために動くようになるでしょう。このように、費用対効果を測定して結果に応じた意思決定を行うことは、企業の利益拡大だけでなく人材育成などにも大きく貢献することが期待できます。

 

3.費用対効果を測定して効果的な販促施策を打とう!

費用対効果は、かけたコストの効率を図る上で欠かせない指標です。費用対効果が悪い業務・商品・販促施策などをそのまま放置していると、売上を伸ばしても得られる利益が減ってしまいます。今回紹介した費用対効果の基礎知識をしっかりと理解し、費用対効果を測定した上で無駄なフローを見直すことや、より効果が期待できる販促を検討するなど、改善点を模索してみましょう。