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Tama Design University | 編集を学ぶ

 

 

先日Twitterのタイムラインに、12月1日より東京ミッドタウン・デザインハブにて第94回企画展「Tama Design University」が開催中という情報が流れてきました。このイベントでは、デザインを知るための聴講無料の50プログラムが会場とオンラインで毎日行われています。

 

ひとつひとつの講座に対してグラフィカルなアイコンが設定されており、どの分野に近いかマッピングされているのも美術大学らしい情報の伝え方で面白いです。

 

本イベントのねらいは
「2000年代になって、デザインは急速に社会に浸透していきました。ソーシャルデザイン、コミュニティーデザイン、デザイン思考、インクルーシブデザインのように、その対象はかたちあるものだけではなく、関係や考え方、社会的な制度までに及んでいます。我々は今、環境をはじめとした様々な課題や、テクノロジーによる急減な変化と向き合っています。その状況の中でどうデザインするかの前に、何をデザインしていくべきなのかを問い直していくことが重要ではと考えました。多摩美術大学は、自らの枠にとどまらず、第一線で活躍されている研究者、実務家をお招きして、これから重要と思われるデザインについて伝え、共に考えるための場をつくることにしました。デザイナーはもちろん、研究者、今までデザインに触れてこなかった方々まで、誰もが参加できる期間限定のヴァーチャル大学“Tama Design University”を東京ミッドタウン・デザインハブに開校します。」とのことです。(ウェブサイト参照)私自身、デザイナーではありますが美術大学を卒業しておらず、美術大学が普段どのような講義を行っているのか昔から非常に興味があったので、気になったコンテンツを聴講させていただきました。今回はその中の1つを紹介いたします。

 

1.「編集とは一体何だろう?」 菅付雅信さん
2.まとめ

 

1.「編集とは一体何だろう?」 菅付雅信さん

まず現在、自身がブックデザインを制作しているのと、エディトリアル分野について詳しく学んだことがなかったので興味を惹かれた菅付雅信さんの「編集とは一体何だろう?」という講座を聴講しました。菅付さん曰く、「世の中は編集物に溢れている」とのことで、新聞や雑誌のみならず、映像や音楽にも編集するという言葉が使用されたり、今では「街の編集」という言葉の表現の広がりもあるそうです。それを踏まえ、編集の定義を「企画を立て、人を集め、モノをつくる」としてそれを軸に講義を展開していきました。ここから話は編集の基礎ともいえる、編集の歴史へ移り変わります。初めてこの世に出た編集物は5000年前、メソポタミア文明のシュメールの粘土板で、人類は誕生したときからメディアを使ってコミュニケートし、そのためにより伝わるようにクリエイトし、より多くの人により良く伝えるという歴史を歩んできたと仰られていました。現在ブックデザインをする中で、限られたページでいかに読み手に分かりやすく伝わるか、他のデザイナーやディレクターと考えている私にとって、とても納得のできる内容でした。管付さんは編集の3大要素は「言葉」「イメージ」「デザイン」が入っているとそれは編集物になると定義しており、それを三位一体として人類は編集物を作ってきたとのことです。編集物ができた当時は印刷技術がなかったため、本や巻物などは全て一点物で非常に高価なものでしたが、ドイツで活版印刷が発明されてから本のみならず新聞などの新しいメディアが生まれ、一般層にもメディアが広がりを持つようになり、「広告」という概念も同時に生まれました。さらに時は流れラジオ→文庫本→雑誌→テレビと紙媒体以外のメディアもどんどん発達していき、1986年にはとうとうパソコンでDTP作業ができるようになり、編集の可能性が一気に広がりました。また同時にインターネットも誕生、現代ではSNSが爆発的に拡大しメディア媒体は今や無数にあります。冒頭でも述べた「世の中は編集物で溢れている」という言葉がとてもしっくりくる世の中となりました。今後はシームレスなデジタルメディアが普及していくと予想されており、編集の形もますます進化しそうな印象を受けました。

編集物のルーツを辿り、デザインの歴史の細分化された根の深い部分を知ることができるだけでなく、「企画を立て、人を集め、モノをつくる」という編集の定義として挙げられた言葉が、1人で編集物を完結させることは到底難しいことで、たくさんの人の力があってこそ、良いモノが出来上がるのだと改めて実感しました。

「編集とは一体何だろう?」

2.まとめ

講座を受けてみて、自分が学んできた技術やソフトの使い方ではなく、歴史になぞってどのようにデザインとしての「編集」の概念が出来上がっていったのかそれを踏まえてどのようなことを念頭に置いてデザインをしていかなければならないか、どちらかというとアタマを使うための術を教えていただいたという印象を受けました。このような時代背景を知っておくことで引き出しも増えていくし、基本的な知識を知っておくことでデザイナーとしての説得力も変わってくると感じました。

普段では受けることのできない美術大学の様々な分野の講座を、無料で50プログラムも受けられるチャンスです。興味のある方は是非YouTubeからご覧ください。

TUB Tama Art University(多摩美術大学 TUB)