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どんな業種の人にも役立つ!“人を動かす”ライティング03

“人を動かすライティング”最終回は、いよいよ「書く力」です。一回、二回で「書く」ことが決まったら、どのように書けばいいか、を考えます。

書く力を磨くといっても、これまでの二回でご紹介したように、「書く力」とは、書くべき“FACT(事実)”を見つけること。そしてそのFACTから「何を言うか」を“絞り込む”ことが一番大事であるとお伝えしました。それができたら、あとは「どう書くか」です。
私がセミナーを受けたプロのコピーライターさん曰く、文章とは「誰かに振る舞う料理のようなもの」だそうです。それはパッと見で食べたくなる(読みたくなる)ような見た目の整えられた文章であること。また、一口食べたら二口、三口と食べたくなるような、読み進めたくなる文章であることが理想です。ここでは、そんな文章を書くための、「型」や方法をご紹介します。

 

1. 文章のさまざまな“型”
2. 文章を読みやすくする5原則
3. まとめ

 

1.文章のさまざまな“型”

「言いたいこと」が決まったらどんな文章にしたいか、“型”に当てはめて書いてみましょう。ここではビジネスシーンでよく使われる3つの型をご紹介します。

①PREP(プレップ)法

Point Reason Example Point の頭文字をとったもので、コンパクトに論理的な文章を書く時に便利です。

P:冒頭で「私はこう考える」などの要点(結論・主張)を示す。
R:なぜそうなのかの理由を説明する。
E:智勇に至った具体的な実例(エピソード・データ)を描写する
P:もう一度、要点(結論・主張)をまとめる

PREP法を使った例文を見てみましょう。

『販促活動をおすすめする理由は?』

Point: 販促活動は、商品やサービスを消費者に広く知ってもらうために非常に効果的な手段です。

Reason
: 販促活動は、テレビCMや広告、SNSやメールマガジンなど様々な方法があり、大勢の人々に効果的にアピールすることができます。また、キャンペーンやセール、ポイント還元などの特典を設けることで、消費者に購買意欲を喚起することができます。

Example
: 例えば、ある化粧品会社が新製品を販売する際に、新聞広告やテレビCMを利用して大々的に宣伝を行い、さらに商品を購入した人には特典としてポイントを還元するキャンペーンを行った結果、多くの人々に商品を知ってもらい、購買意欲を高めることに成功しました。

Point
: 販促活動を通じて、企業の売上向上やブランドイメージの向上などの効果が期待できます。
以上のように、販促活動は企業にとって非常に有効な手段であり、広く消費者に訴求することができるため、積極的に活用することが重要です。

②ヘーゲルの弁証法

自分の意見を書くときに便利な型です。

①冒頭に「自分の意見(仮)」を述べる(テーゼ)
②その意見について否定もしくは、想定される反論をする(アンチテーゼ:反)
③反論を組み入れたより高い次元の「自分の意見」を展開する(シンセシス:合)

それでは早速例文を見てみましょう。

『販促に予算をかけて取り組んだ方が良い理由』

Thesis(テーゼ): 販促に予算をかけて取り組むことは、企業の成長にとって重要な要素である。

Antithesis(アンチテーゼ): 販促に予算をかけなくても、商品やサービスが優れている場合は、口コミや紹介などの手段で消費者に広く知られることができる。

Synthesis(シンセシス): しかし、競争が激化し、顧客の選択肢が増えた現在、商品やサービスの優位性をアピールするためには、広告や販促活動が必要不可欠である。予算をかけて販促に取り組むことで、商品やサービスの魅力を的確に伝えることができ、消費者の関心を引くことができる。

つまり、販促に予算をかけて取り組むことは、企業の成長や競争力を維持する上で不可欠である。競合他社と差別化するためには、優れた広告や販促活動を行うことが重要であり、そのために予算を割くことは、長期的な視野に立った経営に必要不可欠な投資であると言える。

③FABE法

自社のプレゼンや、営業の構成を考えるときに有効な型です。

F – Feature(特徴)商品or企業の特徴をひと言で表現すると◯◯◯です。
A – Advantage(利点)他社よりこんなところが優れています。
B – Benefit(ベネフィット(+負のベネフィット))採用するとこんな「お得なこと」「嬉しいこと」があります。採用しなかったらこんな「損をすること」があるかもしれません。
E – Evidence(証拠)これだけの実績があります。こんな部分でこんな成果が上がっています。

例文を見てみましょう。

『スズキモダンのおすすめポイント』

F – Feature(特徴):お客様が掲げる目標を達成するための最適なプロモーション方法を策定した上で、求める成果に最短距離でアプローチするデザインを制作します。

A – Advantage(利点):スズキモダンのメリットは、デザイン性の高さ、クオリティの高さだけではなく、売上に直結することを第一に考えている点です。またお客様とのコミュニケーションを大切にし、ご予算や要望に寄り添った無理のないご提案をしています。

B – Benefit(ベネフィット): ベネフィットは、成果にこだわりたいお客様に寄り添い、KGI(最終目標)達成に向けてお客様とともに伴走する点です。また、スズキモダンの独自の提案によって、お客様のニーズに最適な商品を提供することができます。

E – Evidence(証拠):これまで多くのお客様から高い評価を得た実績があります。また、商品の品質やデザインについて、賞を受賞している点も証拠となっています。

このように文章にはさまざまな“型”があります。初心者はまず型にはめて文章を構成してみると良いでしょう。TPOに合わせて文章を構成する力が身につきます。
しかし、型は道案内に過ぎません。フレームに沿いつつ、自分の言葉で書くことが大切です。

 

.文章を読みやすくする5原則

せっかく良い文章が書けても読んでもらえなければ意味がありません。“読みやすい文章”とはどのようなものでしょうか。企画書や報告書などでついついやってしまいがちなことから、改善ポイントをご紹介します。

①黒い文章を避ける

以下の文章を見てどう思いますか?

とても読みづらいですよね。これを「黒い文章」といいます。行間が狭く、パッと見た印象が黒っぽい文章は、読みづらいので行替えや余白をとって整えましょう。

いかがでしょうか。とても読みやすくなりましたよね。いくら内容が良くてもパッと見の印象で「読みづらい」「読みたくない」と思われてしまわないように。冒頭でもお話しした、「誰かに振る舞う料理」だと思って整えることが大切です。

 

②見出しをつける

見出しは文章の“顔”です。見出しには大きく分けて「要約型」と「キャッチコピー型」の2つがあります。

要約型…Yahoo!ニュースなどのタイトルはこのタイプが多い(14.5文字)タイトルを読めば大体内容がわかる。

キャッチコピー型…内容はわからないが読みたくなるような内容に

 

【要約型の見出しの例】

【キャッチコピー型の見出しの例】

③伝えたいことを絞る

伝えたいことは一つに絞りましょう。伝えたいことを一つに絞ることで、文章の焦点が明確になります。読み手は、何を伝えたいのかが明確であれば、文章を読みやすく理解しやすくなります。一方、複数の要素が混在すると、読者は何を重要なポイントとすべきかわかりにくくなり、理解が難しくなる可能性があるためです。

④耳で書く

読みやすい文章は口に出しても読みやすいもの。また、音として聞きづらい時は読みづらいものであることが多いといいます。キャッチコピーや、ここぞ!という時の文章は声に出して読んでみましょう。

⑤一度冷やして温める

デザインなどでもそうですが、一晩寝かせてからもう一度冷静な頭で読んでみましょう。プロのコピーライターも、文章を一度冷静になって読み直し、もう一度手を加え温めることで心を動かす文章になるのだといいます。ただ、冷ましすぎも注意です。最初に書き上げた時の“良い熱”も大切に。

 

 

3. まとめ

いかがでしたか?ライティング技術を鍛えるためのポイントを全三回に分けてご紹介しました。
最近は、ChatGPTや、Notion AIなど、AIの技術の進歩により、さまざまなライティングサービスが出てきましたよね。しかし、AIによって作成された文章の内容が媒体やTPOに合ったものであるか、最後には人間が判断しなくてはなりません。どれだけ技術が進歩したとしても、それが正しいものであるかをきちんと判断するために文章力を身につけるべきであると考えます。